Laura Marlingの新作は母性と死生観に満ちたアルバムと言ってよい傑作。
"Patterns in Repeat" Laura Marling (Chrysalis)
Laura Marlingは極めて高いレベルの音楽を届け続ける人だ。彼女がリリースするアルバムには常に高い評価を与えてきた私だが,この新作も実に素晴らしい。エレ・ポップ的なLumpとしての"Animal"をはさんで,"Song for Our Daughter"以来約4年半ぶりにリリースされたこのアルバムには,彼女の出産が色濃く反映している。ストレートに子供に向けた歌もある一方,人生には「死」による別れが付きものであることをうかがわせる曲もあり,そうした死生観も反映したアルバムは極めて内省的な響きであるが,リスナーを感動させるに十分な作品だ。
ドラムスもベースもほとんど入らない編成での音楽は非常にパーソナルな響きを持たせる印象があるが,紡ぎ出されるメロディ・ラインが素晴らしい。これが現代のリスナーにどのように受け入れられるのかはわからないが,ちゃらちゃらしたところのない純粋に優れた音楽に接する喜びすら私は感じる。そもそもLaura Marlingの歌と演奏自体は彼女の家での宅録が中心なところも,落ち着いた印象を与える理由とは思う。それにしてもこの落ち着きに満ちた音楽には,母となったLaura Marlingの強さも感じさせるメッセージに満ちていると言ってもよい。
母性と言えば同じLauraでもLaura Nyroの"Mother’s Spiritual"を思い出しつつ,このアルバムを聞いていた私である。Laura Marling,やはり素晴らしいミュージシャンである。また彼女が生み出した傑作と評価したい。星★★★★★。
Personnel: Laura Marling(vo, g, b, p, el-p, synth), Maudie Marling(vo), Buck Meek(vo), Nick Pini(b), Dom Monks(synth-b, ds, perc, bazzouki), Katt Newlon(cello), Rob Moose(vln, vla), Harry Fausing-Smith(vln), Henry Rankin(vln), Fred Wordsworth(horn)
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