Lester Young晩年の傑作。
"Pres and Teddy" Lester Young Teddy Wilson Quartet (Verve)
このレコードは学生時代から保有している。結構な数のレコードをCDに置き換えたが,本作はアナログのままずっと残っていた。まぁそれはそんなに思い入れのあるレコードでもないし,私の趣味に完全フィットというものでもないからそうなっている。逆に売らないで残っているということが重要で,そんなに聞く頻度は高まらなくても,中古で処分しようという気持ちにもならなかったということだ。
Lester Youngは第二次世界大戦前から活動し,1959年には亡くなっているので,当然私としては同時代の人ではない。何となくベテランというイメージがあって,50歳になる前に亡くなっていたとは思わなかったが,本作でも余裕の吹奏が聞ける。同じテナーでもColeman Hawkinsとは全然違うトーンというのも面白いし,Miles DavisがLester Youngのクールな音色に影響を受けたという逸話もどこかで聞いたことがあるように思う。本作はそんなLester Youngの晩年のアルバムであるが,録音は1956年でありながら,リリースされたタイミングはLester Youngが亡くなった直後のようだから,追悼盤みたいな位置づけだったかもしれない。
オリジナル盤に収められた6曲のうち,特にB面3曲は有名スタンダードばかりであるから,ちょっとした打ち合わせをするだけで出来てしまうだろうというようなアルバムではある。A面2曲目の"Louise"とか3曲目の"Prisoner of Love"も私にはなじみがないだけで,結構知られたポピュラー・ソングなのかもしれない。そして,ここで聞かれる演奏は上質なモダン・スイングと言ってよいものばかり。A面ラストにアナログ時代には珍しく,ボーナス・トラックとして,オリジナル未収録だったブルーズ,"Lester Returns"が収められているが,これだけちょっと雰囲気が違うって感じか。あっても苦にならないが,プログラム的にはなくてもよかったかなと思えるもの。
まぁ現代人の耳からすれば,多少古臭く感じる部分はあっても,これもジャズの歴史の一頁である。やっぱりLester Youngの吹く冒頭の"All of Me"なんて,私がこの曲が好きなせいもあるが,実に魅力的に響くものだと改めて感心してしまったのであった。星★★★★☆。
Recorded on January 12 and 13, 1956
Personnel: Lester Young(ts), Teddy Wilson(p), Gene Ramey(b), Jo Jones(ds)
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