高橋アキ@豊洲シビックセンターホールを聞く。

現代音楽のスペシャリストと言ってもよい高橋アキである。彼女の現代音楽のアルバムについては結構な数を保有するに至った私であるが,その一方でシューベルトにも取り組んでいることは認識していても,私にとってシューベルトのピアノ曲と言えば,Radu Lupuと決まってしまっているので,いくら高橋アキの音楽に接する機会が多くても,そこまではフォローしていなかった。しかし,今回は現代音楽3曲+シューベルトのD.960というプログラムだったので,私にとっては高橋アキの初生演奏ということで,会場の豊洲シビックセンターホールに行ってきた。
このホール,上の写真を見て頂ければわかるが,ガラス張りで,遠くにはレインボー・ブリッジも見えるというなかなか小じゃれたヴェニューであり,キャパは300人という高橋アキを聞くには適切なサイズと言ってもよいホールであった。聴衆は7割程度の入りってところだったように思う。高橋アキは毎年のようにここでリサイタルを開いており,常に現代音楽にシューベルトの曲を加えるというプログラムで臨んでいるようだが,今回は大曲,ピアノ・ソナタ第21番をメインに据えるというものであった。
舞台に登場した高橋アキは今年で傘寿を迎えた訳だが,その佇まいはずっと若々しく見え,凛とした風情さえ感じさせるのがまず凄い。私もこうした後期高齢者となりたいと思ってしまったのがまず第一印象。前半は現代音楽3曲で,冒頭は去る7月にこの世を去った湯浅譲二の「内触覚的宇宙」からスタート。このアブストラクトな響きがたまらん!ということで,こういう音が好物の私は最初から痺れてしまった。続く佐藤聰明とPeter Garlandの2曲は献呈曲,世界初演となったが,どちらもアブストラクト度は控えめで調性の範囲内での曲に思えた。私にとっては会場にも来ていた佐藤聰明の"Pieta"におけるサステインの効いた響きが印象的であった。それに比べるとPeter Garlandの"Autumn"はやや印象が薄い。高橋アキが弾いた"Birthday Party"を聞いた時にも思ったが,どうも私はこのPeter Garlandの曲と相性がよくないようだ(それに関する記事はこちら)。
第一部は3曲で35分程度で休憩に入り,第二部がシューベルトである。上述の通り,私にとってはRadu Lupuによる刷り込みが強い。しかし,Lupuが2012年にオペラシティでD.960を弾いた時にも若干の違和感を覚えていたと書いているから,それも大したことではないかもしれない。今回の高橋アキの演奏に関しては独特の間合いのようなものを感じさせるもので,特に第1楽章の演奏時間がやや長めで,好き嫌いが分かれそうだと思っていた。その辺りは個人の主観に任せるが,これはこれでありだとしても,私が高橋アキに惹かれるのは,やはり現代音楽の方だなと思っていたのは事実であった。アンコールは小曲を2曲。曲名はよく聞き取れなかったが,カメラータ東京のサイトに情報がアップされたらこのページも更新したい。
演奏終了後にサイン会もあって,後ろ髪を引かれる思いだったが,何分現地で売られていたほとんどの現代音楽のCDを保有している私としては,購入するものがなかったので,それは来年のリサイタルに取っておこう。
Live at 豊洲シビックセンターホール on Septeber 24, 2024
Personnel: 高橋アキ(p)
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