D'Angeloのデビュー・アルバム:掛け値なしの傑作。
本作がリリースされてもう30年近くになるが,私が聞いたのは随分後になってからのことであった。しかしリリースからの経過時間を考えれば,この音楽の鮮度は全く衰えていない。このアルバムをレコーディングした当時,D'Angeloはまだ20歳そこそこだったことや,ほぼ全面的にD'Angelo自身が演奏を行っていることを考えれば,まさに天賦の才能を持つ者という感じだったと思える。こうした制作スタイルはStevie Wonderを想起させ,70年代の天才がStevie Wonderだったとすれば,D'Angeloは90年代に現れた天才である。しかも超寡作で,デビュー以来アルバムは3枚しか出していないというのも凄いことだ。最新作の"Black Messiah"のリリースからももう10年だ!
そしてここで演じられる音楽は,今にして思えば,新しいソウル・ミュージックを定義したと言ってもよいという感じだ。どのようなタイプの曲でも魅力的に聞かせてしまう才能には驚くしかないが,オリジナルに加えて,Smokey Robinsonの"Cruisin'"をかくも魅力的にカヴァーしてしまうところも素晴らしい。また,6曲目の"Smooth"にはギターにMark Whitfield,ベースにLarry Grenadier,ドラムスにGene Lakeというジャズ界のミュージシャンを1曲だけ招くというセンスも只者ではないのだ。
もし私がD'Angeloの音楽をアルバム・リリースの順で聞いていたら,彼の音楽にもっと早い時期からはまっていただろうと思うと,音楽に接するにあたってのリアルタイム感が欠如していたのは,今にしてみれば実にもったいなかったような後悔の念をおぼえる。それほどに優れたアルバムと評価したいし,これほど聞いていて心地よいサウンドはなかなかない。ほどよいメロウ度といい,完璧なグルーブといい,まさに鉄壁の傑作。星★★★★★しかあるまい。素晴らしい。
Personnel: D'Angelo(vo, all instruments), Bob Power(g), Mark Whitfield(g), Raphael Saadiq(b, g), Larry Grenadier(b), Will ee(b), Gene Lake(ds), Ralph Rolle(ds), Gerald Tarack, Marilyn Wright, Regis Iandorio, Matthew Raimondi, Masako Yanagita, Natalie Kriegler, Alexander Simionescu, Winterton Garvey(vln), Julien Barber, Olivia Koppell, Sue Pray, Eufrosina Railenu(viola), Jesse Levy, Seymour Barab(cello)
本作へのリンクはこちら 。
« 酷暑を乗り切るには高橋アキの弾くMorton Feldmanだ!(笑) | トップページ | とっくに記事にしていたと思っていたEnrico PieranunziのWayne Shorter集。 »
「ソウル/R&B」カテゴリの記事
- 2025年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)(2025.12.28)
- Steve Cropperを偲んで"Dedicated"を聞く。(2025.12.10)
- 3月のライブを見逃したことを強く後悔したMavis Staplesの新作。(2025.11.27)
- Dionne WarwickボックスからDisc 3を聞く。(2025.11.05)
- 先日購入のDionne WarwickボックスからDisc 2を聞く。(2025.10.17)
« 酷暑を乗り切るには高橋アキの弾くMorton Feldmanだ!(笑) | トップページ | とっくに記事にしていたと思っていたEnrico PieranunziのWayne Shorter集。 »


































































コメント