Michael FranksらしいJobimトリビュート。
"Abandoned Garden" Michael Franks(Warner Brothers)
アルバムの裏ジャケには”In memoriam, Antonio Carlos Jobim, with endless admiration, affection and love."とある通り,Michael FranksによるAntonio Carlos Jobimトリビュート・アルバムである。だからと言ってJobimの曲ばかりやるのではなく,Jobimの曲は"Cinema"1曲であり,あくまでもMichael Franksの流儀でトリビュートするという作品。"Blue Pacific"あたりのアルバムはビートを効かした曲もあって,ややオーヴァー・プロデュース気味って気もしたが,このアルバムも複数のプロデューサーが関わっていても,サウンドが落ち着いていて,ずっとMichael Franksらしい。"Art of Tea"や"Sleeping Gypsy"的な感覚が戻ってきた感じと言えばいいだろう。それにしても豪華なメンツがバックを固めていて,これもMichael Franksらしいところ。Carla BleyやArt Farmerさえも招いたミュージシャンのクレジットを見ているだけでも嬉しくなってしまうのだ。
このアルバムはJobimへのトリビュートということを反映してボサノヴァのリズムの曲が多くなっているが,これがMichael Franksの脱力系ヴォイスとマッチしている。私はMichael Franksのアルバムはそこそこ保有しているが,"Art of Tea","Sleeping Gypsy"と並んで堂々一軍の棚に収まっているぐらい結構好きなアルバムだ。マッチしているかどうかは別にして,フュージョン系のビートを効かせたバックにも合わせられるMichael Franksではあるが,やはり本質的にはこういうサウンドの方がずっといいと思えるのだ。
こういう音楽がバックに流れていると仕事も捗る,そういう音楽。Michael FranksのJobimへの敬慕を評価して甘いの承知で星★★★★★。
Personnel: Michael Franks(vo, g), Michael Brecker(ts), Andy Snitzer(as), David Sanborn(as), Joshua Redman(ss), Art Farmer(flumpet), Chuck Loeb(g), Jeff Mironov(g), John Leventhal(g), Russel Ferrante(p), Eliane Elias(p), Gil Goldstein(p), Bob James(p), Carla Bley(p), Jimmy Haslip(b), Christian McBride(b), Marc Johnson(b), Steve Swallow(b), Chris Parker(ds), Lewis Nash(ds), Peter Erskine(ds, perc), Manolo Badrena(perc), Don Alias(perc), Bashiri Johnson(perc), Brian Mitchell(vo), Bob Mintzer(fl, a-fl), Lawrence Feldman(a-fl), Diane Barere(cello), Fred Slockin(cello), Mark Shuman(cello), Randy Brecker(fl-h), Keith O'Quinn(tb)
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