Me'Shell Ndegéocelloのデビュー・アルバム:今更ながら超カッコいい。
"Plantation Lullabies" Me'Shell Ndegéocello (Maverick)
間もなく新作のリリースも予定されているMe'Shell Ndegéocello。今年の2月のライブも無茶苦茶カッコよかったこともあり,新作にも期待がかかるが,今日は彼女のデビュー・アルバムである。私が初めてMe'Shell Ndegéocelloのアルバムを聞いたのは次作の"Peace Beyond Passion"だったのだが,同作の印象が強過ぎて,なぜかこの1stアルバムはずっと聞かないままで来てしまった。しかし,やっぱりこれは聞かねばと思ってストリーミングで初めて聞いたのがつい先日のことだったのだが,あまりにカッコよ過ぎてなぜ買わなかったのかと後悔して,ネット経由で中古をゲットしたのであった。
はっきり言ってこれは"Peace Beyond Passion"と同様に強い印象を与えてくれるアルバムで,私がこの人にはまったのはこういう世界からだったよなぁと懐かしく思ってしまう一方,こんなアルバムならもっと早く聞いておけばよかったとつくづく反省したのであった。よくよくクレジットを眺めてみると,プロデューサーの一人はDavid Gamsonではないか。David GamsonはScritti Polittiのメンバーとして"Cupid & Psyche ’85"や"Provision"という傑作を出した後,プロデュース業に転じたのだが,"Peace Beyond Passion"にもDavid Gamsonが関わっていたことを踏まえれば,本作も同様の作風であることは予想できたはずだった。こういう場合の無知は恐ろしいと思うし,今回,このアルバムを聞いたのも気まぐれの所産であったのだが,聞いてよかったと強く思えたアルバムであった。
逆に私がこのアルバムを聞かないまま過ごしていたことを想像すると,それは大げさかもしれないが,私の人生にとってはもったいないことになっていたはずだ。それぐらいカッコいいのだ。ここでMe'Shell Ndegéocelloはほかにクレジットされているゲストを除けば,全ての楽器をこなしていることになっているから,最初からマルチな才能を持ったミュージシャンだったのだ。そしてジャズ界からJoshua RedmanやGeri Allenをゲストに迎えるセンスも素晴らしいと思える。
そしてこのアルバムはジャケからしてユニークだ。ジャケは通常ならば裏の面のジャケがスリーブに印刷されていて,バック・インレイに掲げられているのが右の写真なのだ。この辺の「とんがり」具合がいかにもって感じだが,最初からMe'Shell Ndegéocelloの音楽は優れていたということを改めて再確認し,かつこの人の音楽は私にフィット感が非常に強いのだなぁと感じてしまった。こんなアルバムを聞かずにいたことを反省するのも含めて星★★★★★。ライブに感動し,古いアルバムに感動しているのでは,ますます新作に対する期待が高まるではないか。いやいや最高である。
Personnel: Me'Shell Ndegéocello(vo, all instruments), David Gamson(ds) with Wah Wah Watson(g), Geri Allen(p), Joshua Redman(ts), Luis Conte(conga), Bill Summers(shekere), Byron Jackson(vo), David "Fuze" Fiuzynski(g), James "Sleepy Keys" Preston(p), Andre Betts(prog), DJ Premier(turntable)
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