Kurt Rosenwinkel the Next Step Band@Blue Note東京参戦記。

先日,96年のSmallsでのライブ音源がリリースされたばかりのKurt RosenwinkelのThe Next Step Bandのライブを観にBlue Note東京に行ってきた。発掘されたアルバムのレコーディングからは四半世紀以上が経過し,メンツは成熟度を高める中,どういう演奏をするかに期待しての参戦となった。まぁこのメンツの音楽を聞くのに最適なヴェニューがBlue Note東京だとも思えないが,熱烈なファンを抱えるKurt Rosenwinkelだけにそれは良しとしよう。私としては本来ならCotton Clubの方がよかったが,日程が合わずのBlue Noteでの参戦となった。客席はほぼフルハウスで,前回観たCotton Clubの時とは雲泥の差であった。まぁあの時は天候不良という要素があったが,マジでえらい違いだった。
まずびっくりしたのがKurt Rosenwinkelの体重増加(笑)であった。昔は華奢な感じさえしたのに,堂々たる体格に変わっていてまるで別人の趣である。演奏はこういうメンツが揃えば,まぁおかしなことにはならないって感じだが,私はこれまで過去2回Kurt Rosenwinkelのライブには接している中で,今回のライブが一番良かったように思う。Kurt Rosenwinkelはピッキングのアタックが抑制された感じで,音的にはまるでAllan Holdsworthのようだと思える部分もあったが,フレージングは実に魅力的であり,やはり実力者だと思ってしまった。私は正直言ってKurt Rosenwinkelにそれほど思い入れがある人間ではないが,このフレージングに多くの人が参るんだろうなぁと感じるぐらいのレベルの高さって感じだった。弾いていたギターのうちの1本はYamahaのSGシリーズぽかったのは実に興味深かったが,ソリッド・ボディでも出てくる音はきっちりKurt Rosenwinkelになっているのが面白かった。
Mark Turnerは少々お疲れの様子だったが,これまたフレージングはしっかりしたものだったし,Ben Streetはきっちりボトムを支える感じだった。体力的な強さを示したのがJeff Ballardのドラムスで,眼前でスティック,ブラシ,マレットの持ち替えの技をきっちり見させてもらったが,まぁ煽る,煽るって感じで,一番パワフルだったのはこの人ではないかと思えた。
レパートリーは先日出たライブ盤やVerveから出た"Next Step"からの曲がほとんどのはずだが,1曲Kurt Rosenwinkelがピアノを弾いたのは少々蛇足ではないかと思っていた私である。おそらく聴衆の大部分は彼のギターを聞きに来ていると思われるから,余技を見せるよりも,本業のギターで勝負して欲しかったかなって気もする。それでも演奏としては非常に満足感もあり,ライブとしては成功だったと思う。
尚,全くの余談だが,Mark Turnerがテナーを吹く姿を見ていて,惜しくも閉店したかつての新橋のテナーの聖地,Bar D2のマスター,Kさんがサックスを吹いたらああいう感じだったのではないかと思わせて,何となく懐かしく思っていた私である。上部の写真と右のMark Turnerの写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借。
Live at Blue Note東京 on July 24, 2024
Personnel: Kurt Rosenwinkel(g, p), Mark Turner(ts), Ben Street(b), Jeff Ballard(ds)
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コメント
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閣下、リンクをありがとうございました。m(_ _)m
メンバーも良かったので、是非とも行きたいと思っていました。
が、、コットン・クラブでの演奏がなかったら、行かなかったかもしれません。
目の前のローゼンウィンケルは、ツッコミどころが多すぎて!!
何がなんだかよくわからないのですが、、
弾きながら口元と目が連動していることはわかりました。笑
いつか、サインをしてもらいたいな。。
そう、ジェフ・バラード、、すっごく元気でした!
頭から流れ落ちる汗をタオルで吹きまくってました。。
私のリンク先も置いていきます。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2024/07/post-d99996.html
投稿: Suzuck | 2024年8月 5日 (月) 18時02分
Suzuckさん,おはようございます。リンクありがとうございます。
>メンバーも良かったので、是非とも行きたいと思っていました。
>が、、コットン・クラブでの演奏がなかったら、行かなかったかもしれません。
確かにメンツはよかったですね。私も本来ならCotton Clubに行くところですが,今回は野暮用あり,Blue Note参戦となりました。
>目の前のローゼンウィンケルは、ツッコミどころが多すぎて!!
>いつか、サインをしてもらいたいな。。
音色というか,ピッキングのアタック音が感じられない感じで,Allan Holdsworthみたいだと思っていました。フレージングは見事なものでしたね。サイン会ってKurt Rosenwinkelはあまりやらないみたいですね。私は国立のNo Trunksでもらったんでいいんですけど。前回は代わりにピックを配ってましたね。
>そう、ジェフ・バラード、、すっごく元気でした!
>頭から流れ落ちる汗をタオルで吹きまくってました。。
結構歳なのに頑張ってました。見習います(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2024年8月 6日 (火) 07時14分