Robert Glasperの新音源はアンビエント・ミュージックの趣。
"Let Go" Robert Glasper (Loma Vista Recordings)
先日,Robert Glasperによる新音源がリリースされた。これがApple Musicエクスクルーシブということで,媒体のリリースはないものと思われるが,これが主題の通り,アンビエント・ミュージック,あるいは瞑想的な響きさえ持つものとなっている。一聴すればわかるが,決して何の邪魔にもならない音楽だと言ってもよい。
"Black Radio"シリーズにも顕著な通り,Robert Glasperはジャズ,R&B,ヒップホップ等を越境した音楽を作り出しており,私はそのソリッドな響きを高く評価してきたつもりである。但し,ライブの場においてはMark Colenburgのようなろくでもないドラマーを連れてきたりして,評価を下げたことがあったのも事実だ。しかし,基本的にはやっている音楽のクォリティは高く,信頼に値するミュージシャンである。
そんなRobert Glasperが生み出した新たなサウンドは,まさに耳に心地よいことこの上なく,何をするにも「邪魔にならない」音楽である。聞き流すもよし,傾聴するもよしだが,とにかく気持ちよいのだ。1曲だけMeshell Ndegeocelloがヴォーカルを取る以外は全面インストのこのアルバムは,こういうのもありだなと思わせる。Robert Glasperは正直強面な人だが,その強面に似合わずソフトな音楽にも対応してしまうところのギャップはこれまでも感じられたが,それを突き詰めた感が実に楽しい。
こういう音楽ゆえにどう評価すればいいのかは少々難しいところがあるが,十分に星★★★★は付けたくなる作品。
Personnel: Robert Glasper(key), Bernis Travis(b), Kendrick Scott(ds), Chris Scholar(g), Meshell Ndegeocello(vo)
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