バックのメンツ買いであったMarc Bennoの"Lost in Austin"。
"Lost in Austin" Marc Benno (A&M)
主題の通りである。Marc Bennoには"Minnows"というナイスなアルバムがあって,そっちから取り上げるのが筋だとは思うが,まずは本作だ。ここで言うメンツ買いとは,本作でMarc Bennoをバックアップするのがほぼ当時のEric Claptonのバンドということである。ドラムスだけがバンド・メンバーではなかったJim Keltnerであるが,ClaptonとKeltnerには共演経験もあるから,Claptonバンド全面バックアップと言ってもよい。
これはMarc Bennoにとって,前作"Ambush"から7年ぶりのアルバムとなったが,当時の音楽シーンで7年のブランクというのはかなり長いものだったと思える。なので,そのカムバックをClapton一党が支えたということだろう。本作はGlyn Johnsのプロデュースの下,ロンドンでレコーディングされたもので,ストリングスも交えながらも,音は完全にスワンプの乗りで,"Monterrey Pen"のような曲はJ.J. Cale的にも響くので,この手の音楽好きには相応の訴求力があるだろう。"The Drifter"なんかは痺れるねぇ。
いずれにしても,本作はEric Claptonのギターを楽しめるというところがアルバムとしてのポイントを高めているが,Claptonは比較的控えめにプレイし,Marc Bennoを楚々として支える感じが麗しい。そもそもMarc BennoはベースのCarl Radleと縁が深かったようだから,おそらくそこからこの共演につながったということだと思うが,それでもこのアルバムもヒットにつながっていないのはもったいなかった。結構いい曲を書いているにもかかわらずだ。まぁ,79年というパンク全盛みたいな時期にはフィットしていなかったとしても,なかなかの佳作であった。星★★★★。
Personnel: Marc Benno(vo, g, p), Albert Lee(g, vo), Eric Clapton(g, vo), Dick Sims(key), Carl Radle(b), Jim Keltner(ds), Dickie Morresey(sax)
本作へのリンクはこちら。
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