渡辺香津美の快癒を祈って今日は”Mo’ Bop"を聞く。
"Mo’ Bop" 渡辺香津美New Electric Trio (EWE)
渡辺香津美が脳幹出血により,今年度の活動を自粛し,治療に専念するという突然のニュースはショッキングであった。渡辺香津美は常々若々しいイメージがあるのだが,気がついてみれば,彼も昨年古希を迎えていたので身体の不調が出てきても仕方がない年齢になっていたということだ。ということで,今日は彼の一日でも早い快癒を祈って久々に取り出したのがこのアルバム。
振り返ってみれば本作がリリースされたのが2003年で,もう20年以上前だったのかと,これまた今更気づく私であった。当時Richard Bona,そしてHoracio "El Negro" Hernandezという,バカテクかつ手数の多い濃い~メンツで結成したのがこのNew Electric Trioであった。本作はその第1作だが,この好評を受けて都合3作がリリースされたのは皆さんご存じの通りであろう。
渡辺香津美の活動は年々幅を広げたと言ってもよいと思うが,やはりこの人のエレクトリック・ギターは人を興奮させる術を知っていると思える。もちろんアコースティック・ギターでも素晴らしい手腕を発揮するが,私が惹かれてしまうのはどちらかと言えばエレクトリック・サイドなのだ。
このアルバムでもこの3人らしい音は随所で聞かれるが,もっとぶちかますかと思いきや,意外と渋い演奏も含まれていて,何をやってもうまい人たちだと思わせてくれる。例えば冒頭のタイトル・トラックはファンク風味,2曲目の"Dada"などはコンテンポラリーなジャズ・フレイヴァーを感じさせる一方,その次の"Robo"ではロック的なハードなサウンドと,目くるめくような曲調の変化をこなしてしまうのだ。果ては"Naima"までやっちゃうし,最後の"Tricorn"には懐かしや"Unicorn"のフレーズが登場してくるしねぇ。いやいや久しぶりに聞いても多彩で強烈なバンドであった。
脳幹出血は手足に麻痺が残る可能性もあり,ギタリストとしてはかなりクリティカルな病とも言えるが,脳動脈瘤から完全復活を遂げたPat Martinoの例もある。今日はこのアルバムを聞き,渡辺香津美が病気から回復し,またこのような音楽を聞かせてくれることを祈りたい。
Personnel: 渡辺香津美(g, g-synth), Richard Bona(b), Horacio "El Negro" Hernandez(ds)
本作へのリンクはこちら。
« TV番組に触発されて,今日は"Nefertiti"(笑)。 | トップページ | 「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」:さすがにこれはやり過ぎではないか...。 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- iPhoneのトラブルに泣く( ノД`)...。(2025.05.06)
- もはや強迫観念?(2025.03.26)
- 追悼,Angie Stone。(2025.03.09)
- 多忙につき...。(2025.03.06)
- Roberta Flackを偲んで。(2025.03.03)
「ジャズ(2024年の記事)」カテゴリの記事
- 2024年の回顧(音楽編:その2):ジャズ編(2024.12.29)
- Arild Andersenのソロ作:ECMでしか成り立たないよなぁ。(2024.12.27)
- Archie Sheppの"Montreux" 2 in 1:終曲のフェード・アウトが痛い...。(2024.12.26)
- 師走にボサ・ノヴァでくつろぐ。(2024.12.25)
- McCoy TynerとJoe Hendersonの凄い発掘音源。マジで物凄い!(2024.12.21)
« TV番組に触発されて,今日は"Nefertiti"(笑)。 | トップページ | 「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」:さすがにこれはやり過ぎではないか...。 »
コメント