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2024年3月 9日 (土)

Julian Lageの新作はJoe Henryプロデュース。この邂逅は必然だったと言える。

Julian-lage "Speak to Me" Julian Lage (Blue Note)

世間では非常に評価の高いJulian Lageであるが,正直なところ,私はそれほど思い入れはない。彼がGary Burtonのバンドに参加した頃は注目の若手だと思ったし,Charles Lloydのバンドでの演奏も素晴らしかった。しかし,Julian Lageのリーダー・アルバムは,ストリーミングで聞いてもあまりピンとこなかったというのが事実なのだ。私はアメリカーナ的なサウンドは決して嫌いではないのだが,Julian Lageの魅力が十分理解できていなかったことは間違いない。そんな私でも,本作のプロデューサーがJoe Henryと知ってはちゃんと聞かない訳にはいかない。

私はJoe Henryを歌手としても評価しているが,そのプロデュースのセンスが大体においては素晴らしい(もちろん失敗作もある)。そこから生まれる音はアメリカーナ的なサウンドが主であり,Joe Henry組と言ってもよいミュージシャンを集めて,短期間でレコーディングするというのがこの人のやり方だ。そこから生み出される渋くも味わい深い音楽に私は結構惚れ込んできたと言ってもよい。そんなJoe Henryがこれまで生み出してきたアルバム群におけるサウンドを踏まえれば,Julian Lageがやっている音楽との親和性は保証されたようなものだと思える。だから私はこの組み合わせはもはや必然的であったと思えるのだ。

そして,本作でも展開される音楽はやはり渋い。コンベンショナルなジャズの範疇からは少々離れているところはあっても,Joe Henryのプロダクションもよく,聞き応えのアルバムに仕上がった。Julian Lageは自身のサイトで,Joe Henryの的確なガイダンスについて語っているが,やはり名プロデューサーは音の仕立て方が違うと思わされる。本作も数日でレコーディングしたようだが,それに先立って,Julian LageとJoe Henryは数か月に渡って,議論を重ねていたらしいから,ちゃんと準備はしているってことだ。そしてゲストの配置も的確で,一部で話題のKris Davisを参加させているのには驚いてしまった。メンバーにはJoe Henry組のPatrick Warrenも加わっているが,そこにKris Davisのピアノをアドオンするというのがユニークでありながら,適切に響くのだ。そして,そのソロも強烈。

もちろん,Julian Lageのフレージングやギターのサウンドも素晴らしく,私はようやく彼のリーダー作の魅力に気づくことができたと言ってもよいだろう。明らかにJoe Henryというプロデューサーを迎えたことが吉と出たことを強く感じるアルバムであった。星★★★★☆。

Personnel: Julian Lage(g), Jorge Roeder(b), Dave King(ds), Patrick Warren(key, p), Kris Davis(p), Levon Henry(ts, as, cl, a-cl)

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コメント

閣下、リンクをありがとうございました。m(_ _)m

ジュリアン・ラージは、その音楽ももちろんなのですが、、
ギタリストとして、すっごく巧いと思っています。
ご存知のように、様々な機器を使用することによって、、
ギターの音色は、変化するのですが、、
そういった機器を使わずとも、音色のニュアンスを思うように変化させる天才だとおもっており、
やっぱり、今後も期待してます。

今回は、Joe Henryのプロデュースで、より、洗練されてたと思いまし、、
やっぱ、いい曲書くわ〜、っと、喜びました。

私もリンクさせてください。

https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2024/03/post-c73610.html


Suzuckさん,
Suzuckさん,おはようございます。リンクありがとうございます。

>ジュリアン・ラージは、その音楽ももちろんなのですが、、
>ギタリストとして、すっごく巧いと思っています。

はい。それはその通りだと思います。

>音色のニュアンスを思うように変化させる天才だとおもっており、
>やっぱり、今後も期待してます。

私の場合,そこまでちゃんと聞いているかというと怪しいですが,おっしゃることはよくわかります。

>今回は、Joe Henryのプロデュースで、より、洗練されてたと思いまし、、
>やっぱ、いい曲書くわ〜、っと、喜びました。

Joe Henry推しの私としては,彼のプロデュースがよき相乗効果をもたらしたと思っています。Julian Lageについては,これからストリーミングでアルバムを聞いてみようと思います。

こんにちは。

私は、前2作がビル・フリゼールつながりだったので、ミュージシャンもある程度かぶっているし、たぶん路線は似ているだろうと、先にストリーミングで聴いていたのですが、プロデューサーが前作とは違うんですね。

それでも、こういうアメリカーナ路線(とでも言うのか)は好きな方なので、遅れましたが入手しました。私もジュリアン・レイジをあまり聴いている方ではないのですが、ただ、フリゼールほどにのめり込めるかどうかは、もう少し聴いてみないと、と思ってます。

当方のブログアドレスは下記の通りです。
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2024/04/post-7307ae.html

910さん,こんにちは。リンクありがとうございます。

>私は、前2作がビル・フリゼールつながりだったので、ミュージシャンもある程度かぶっているし、たぶん路線は似ているだろうと、先にストリーミングで聴いていたのですが、プロデューサーが前作とは違うんですね。

Julian LageとBull Frisellって確かに共通項が多いように思いますね。特にアメリカーナ的なサウンドだとますます近似性が高まる気がします。

>私もジュリアン・レイジをあまり聴いている方ではないのですが、ただ、フリゼールほどにのめり込めるかどうかは、もう少し聴いてみないと、と思ってます。

私は今回はJoe Henryということもあっての購入でしたが,通常はストリーミングでいいかなぁと思っています。ビルフリにものめり込んでないですしねぇ(笑)。

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