今更本作について何を語るのかって気がする"'Round About Midnight"だが...。
"'Round About Midnight" Miles Davis (Columbia)
何を今更と言われてしまうのも仕方がないアルバム。それにしても鮮烈なジャケだなぁって思う。このジャケが全てを物語っているではないかって気もする。そして冒頭のタイトル・トラックである。そこで聞こえてくるミュート・トランペットの音で,これこそジャズだよなぁって感じる人も多いはずだ。
このアルバム,冒頭のタイトル・トラックがあまりにも強烈で,Miles Davisの真骨頂はやはりタイトル・トラックにこそありだと思ってしまう。更にそこにGil Evansのアイディアだという印象的なブリッジで雰囲気を変えるという演出も素晴らしい。であるがゆえに,私の中では2曲目の"Ah-Leu-Cha"が魅力的に響かなくなってしまっていることははっきり言っておかねばならない。しかし,そこから3曲目の"All of You"でのミュートの響きでまたMilesの術中にはまっていくのが私のようなリスナーだ。
それは実はアナログならB面に移っても同じで,3曲の真ん中に位置する"Tadd’s Delight"にイマイチな感覚を覚えるのはA面同様なのだ。結局このアルバムを支配するのはリリシズムではないのかと思えてくる。即ち,ハード・バッパーとしてのMilesよりも,ミュートで歌心を炸裂させるMiles Davisに魅力を感じている自分がいる訳だ。やっぱりこの雰囲気こそが大事だよなぁ。星★★★★☆。
因みに私が現在保有しているCDはColumbiaのComplete Boxの1枚で,現在流通しているCD同様に4曲の追加曲が入っているが,これらはあって困るものではないとしても,なくても全然問題ない。というか雰囲気が違うのだ(笑)。
Recorded on October 26, 1955,June 5 and September 10, 1956
Personnel: Miles Davis(tp), John Coltrane(ts), Red Garland(p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds)
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