"Touch of Time": この静謐さがたまらん!
"Touch of Time" Arve Henriksen / Harmen Fraanje (ECM)
これは堪らん!と最初に言ってしまおう。とてもトランペットと思えぬ音色とそれに寄り添うピアノとエレクトロニクス。静謐な中に繰り広げられるこの美学には,世間のECM好きは間違いなくはまる。"The Most Beautiful Sound Next To Silence"を地で行くと言ってよいサウンドなのだ。私も当然はまった。
Arve Henriksenのトランペットはあたかも尺八のようにさえ響き,ラッパ(あるいはブラス)の概念を完全に覆してしまう音色で,決して熱を帯びることはない。「ジャズ原理主義者」から言わせれば,こんなものはジャズではないという声も聞こえてきそうだが,それが何か?と開き直りたくなる。コンベンショナルなジャズではないとしても,こうした音楽も含められるところがジャズの間口の広さなのだと原理主義者には抗弁することにしよう,と音楽は全然熱くないのに,ついつい熱くなる中年音楽狂(笑)。
まぁこういう音楽であるから,万人向けの音楽とは言わない。しかしこの静謐さと美しさを受け入れることで,私は自分の音楽生活は更に豊かになると感じてしまう。おそらくは先日取り上げた,高橋アキの「橋」のようなミニマルな現代音楽のピアノを愛するのと同じ感覚なのだ。私は全方位的な音楽のリスナーだと思っているが,身体がこういう音楽を欲する瞬間もあるし,たとえ身体が欲しなくとも,こういう音楽を聞いているとついつい強いシンパシーを感じてしまうこともある。結局好きなんだってことが明らかになるだけだが,このいかにもECM的な音にはやはり強い磁力を感じてしまったのであった。
この音楽は間違いなく聞く人を選ぶ。しかし,この世界に一旦足を踏み入れれば,決して抜けられないのだ。まさにECMの魔力。星★★★★★としてしまおう。
Recorded in January 2023
Personnel: Arve Henriksen(tp, electronics), Harmen Fraanje(p)
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コメント
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私もこのアルバムは、とても気に入ってしましました。
空中を漂うような浮遊感と心落ち着く静けさを持ち、そして瞑想的。
静寂、叙情的でエレガント、一般的に思い浮かべるECMの世界だなぁ、、
と。
投稿のリンクを置いていきますね。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2024/02/post-3c0ea3.html
投稿: Suzuck | 2024年3月 7日 (木) 17時27分
Suzuckさん,続けておはようございます。こちらもリンクありがとうございます。
>私もこのアルバムは、とても気に入ってしましました。
そうですよねぇ。実はSuzuckさんの記事を拝見して購入を決めた私です(笑)。
>空中を漂うような浮遊感と心落ち着く静けさを持ち、そして瞑想的。
>静寂、叙情的でエレガント、一般的に思い浮かべるECMの世界だなぁ、、
>と。
はい。昔ならばJan GarbarekとArt Landeの"Red Lanta"のような世界とも思いましたが,更なる静謐度,そして非常にユニークなトランペットの音を楽しみました。おっしゃる通り,ECM的音世界に浸りました。
投稿: 中年音楽狂 | 2024年3月 8日 (金) 07時38分