読響定期でサントリーホールに行ってきた。
今年2回目のライブはクラシック。私の場合,クラシックのライブに行くのは,大規模オケの作品,ピアノ・リサイタル,ヴァイオリン・リサイタルのいずれかという偏った機会になるが,今回はオーケストラ。サントリー・ホールでのSebastian Weigleが振る読響定期であった。ねらいはリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」。私はこの曲自体に触れたのは,冒頭部分が「2001年宇宙の旅」で使われていたのが最初だったが,全曲を聞いたのはその随分後になってから。正直言って, 曲自体は大したことはないと思っているが,オケの響きを生で聞くと感覚も変わるかもとも思っていた。
かつ,この日のプログラムは「リエンツィ」序曲に始まり,Daniel Lozakovitjをソリストに迎えたベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルトというなかなか濃いプログラムであったのも,チケットを購入した理由であった。私みたいな人も多いのか,会場はほぼフルハウス。
「リエンツィ」はオケの手慣らしって感じの演奏で軽く始まった。古い話になるが,私が初めて「リエンツィ」に接したのはKen Russellの映画「リストマニア」のサントラをRick Wakemanが担当していて,そこにちらっと「リエンツィ」のメロディが出てくるところからだが,それ以降も序曲以外は聞いたことはない(爆)。それはさておき,オケも聴衆も準備運動みたいなものだ。
次に演じられたのがベートーヴェンだが,Daniel Lozakovitjは弱冠22歳とは思えない達者な演奏で,カデンツァも堂々たる弾きっぷりだったと思うが,いかんせんこの曲は私には長い。曲として嫌いだという訳でもないし,今回の演奏にも大して不満はないのだが,生で聞いていても,第1楽章の長さが必要なのかと感じていた。この曲をコンサート・プログラムに織り込むのもなかなか大変だよなぁなんて思っていた次第。Daniel Lozakovitjのソリスト・アンコールで弾いたバッハは,そうした私の中でのベートーヴェンに対する冗長感を癒す効果があったと言っては言い過ぎか。
そして,「ツァラトゥストラ」だが,オケのダイナミズムを感じるにはいい曲であった。あらゆる楽器の聞かせどころを持っている曲だとは思うが,私は実はこの曲は弦の美しさが勝負どころではないのかと思っている。日本のオケは弦はかなり優秀でも,管にパワー不足な部分があるところは否めないが,そういう意味ではこの日の弦の響きはよかったと思うし,管もやらかした部分はありつつも善戦していたので,そこそこ楽しめる演奏であった。しかし,この曲,やはり冒頭部の印象が強過ぎるということもあって,何度聞いてもそのほかのメロディ・ラインが頭に入ってこないのが難点だなぁなんて思っていた。自分自身極めて邪道とも言うべき聞き方をしていたようにも思うが,生のオケの響きを楽しみに行っているからいいのだと開き直っておこう。
Live at サントリー・ホール on January 16, 2024
Personnel: Sebastian Weigle(cond), Daniel Lozakovitj(vln), 読売日本交響楽団
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