"Refract":実にユニークなフリーとアンビエントのハイブリッド。
"Refract" BlankFor.ms (Red Hook)
ブログのお知り合いが取り上げられていて気になったアルバム。そもそもリーダー,BlankFor.msなんて名前はこれまで聞いたこともなかった訳だが,BlankFor.ms(またの名をTyler Gilmore)がJason MoranとMarcus Gilmoreという俊英と共演ということでは注目度は上がる要素だ。ただ,それだけでは私のレーダー・スクリーンに乗ってこなかっただろうが,そうした人の音楽に触れてみようと思ったのも偏にブログのお知り合いゆえということになる。
そして,ECMレーベルでも優れた仕事を連発したSun Chungが立ち上げたRed Hookレーベルからリリースされたこの作品は,実にユニークで面白いものであった。言うなればフリーとアンビエントのハイブリッドあるいはフュージョンという表現が適切と思えるが,フリー度は抑制的なので,無茶苦茶アバンギャルドという訳でもない。BlankFor.msが操るエレクトロニクスやループにJason MoranのピアノとMarcus Gilmoreのドラムスが絡むという展開であるが,実に心地よく時間が流れていく。アンビエントと呼ぶには音楽的な刺激が強い部分もあって,そうしたパートは環境音楽として使えるかというと微妙だが,それでも静と動をうまく組み合わせた音楽は実にレベルが高い。
特にJason Moranのピアノが音楽の「核」としてその静と動を象徴的に示していると言ってもよいが,こうした三者の組み合わせの妙は,往時のECMレーベルにおいて様々なミュージシャンの組み合わせのアルバムが作られていた時代を思い出させるものであった。
今年リリースされたアンビエント的なアルバムとして,Arooj Aftab / Vijay Iyer / Shahzad Ismailyによる"Love in Exile" があった。あれも実に素晴らしい作品であったが,本作はそれに勝るとも劣らないアルバムとして評価したい。星★★★★★。そして,あっちはVijay Iyer,こっちはJason Moranという優れたジャズ界のピアニストが参加しているところは必ずしも偶然ではないと思う。
Recorded on May 26 & 27, 2022
Personnel: BlankFor.ms(electronics, tape loops, processing), Jason Moran(p), Marcus Gilmore(ds)
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