Isabelle Faust:これが今年最後の新譜と思う。
"Solo" Isabelle Faust (Harmonia Mundi)
今年も押し詰まってきて,新譜を取り上げるのもこれが最後である。Isabelle Faustは極めて平均点の高いヴァイオリニストで,私も数はそれほどではないが,彼女のCDを保有している。無伴奏ということではバルトークのソナタも痺れさせてくれたが,バッハはまだ聴いていないということで,私のスタンスもいい加減なものだ。しかし,私がこれまで購入したCDは全て満足のいくアルバムばかりであった。
そうした中,Isabelle Faustの新作としてリリースされたのが本作だが,プログラムが17世紀から18世紀のバロック期の作曲家の無伴奏曲集。ここで演じられる作曲家については,私は不勉強にして名前も知らない人ばかりだったのだが,逆に言えば何の先入観もなしで聞ける曲ばかりだったと言ってもよい。
そして,それらが何と魅力的に響くことか。知らぬこととは言え,こんな音楽があったのかということに気づかされるという意味においても,このアルバムは実に素晴らしい。もちろん,Isabelle Faustの音色,テクニックには文句のつけようはなく,年末にいいものを聞かせてもらったと言いたい。目の前でこんな演奏をされたら悶絶間違いなし。星★★★★★。尚,Isabelle Faustがここで弾いているのは1658年製作のJocobus Stainer。この芳醇な響きに徹底的に酔いたい。
余談ながら,Isabelle Faustは来年来日して,バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを全曲演奏するらしい。本作を聞けば,絶対聞きたいと思わせるに十分だ。
Personnel: Isabelle Faust(vln)
本作へのリンクはこちら。
« Chico Freemanの"Kings of Mali"のアナログをゲットした。 | トップページ | 2023年の回顧(番外編) »
「新譜」カテゴリの記事
- Jeremy Peltの新作がなかなかよい。(2025.03.19)
- Jon Anderson and the Band Geeksのライブ・アルバム:ここまで行くと潔いとすら思ってしまう。(2025.03.18)
- John Patitucciによるパワー・トリオ:悪かろうはずなし。(2025.03.14)
- Chick Coreaがこの世を去って4年。まだまだ残っているレガシー。(2025.03.07)
「クラシック」カテゴリの記事
- 人生初の声楽リサイタルを聞きに,お馴染みイタリア文化会館に出向く。(2025.02.02)
- またもブート(まがい)の話:今度はBernsteinのマーラー5番。(2025.01.22)
- Martha Argerichが弾くリスト。強烈としか言いようがない。(2025.01.20)
- 今年最後の音楽記事は,残念ながら来日できなかったHilary Hahnの無伴奏ヴァイオリン。(2024.12.30)
- 2024年の回顧:ライブ編(2024.12.17)
« Chico Freemanの"Kings of Mali"のアナログをゲットした。 | トップページ | 2023年の回顧(番外編) »
コメント