上原ひろみのHiromi’s Sonicwonder@コットンクラブ参戦記

私はこのブログにも何度か書いているが,上原ひろみのファンとは言えない人間である。Anthony Jackson,Simon Phillipsとのトリオでの演奏は相応にカッコいいと思うし,ストリングス入りの"Silver Lining Suite"も新機軸として面白かった。だが,大概の場合,彼女の弾き倒しとも言えそうなスタイルに,そこまでやらなくても...なんて思っているのも事実である。その程度なので,私は彼女のライブをこれまで観たことがなかったのだが,今回,ヴェニューはCotton Clubだし,新バンドとしてのクラブ公演はこの1回限りらしいという珍しさもあっての参戦となった。今回のライブはこのバンドのライブは12月後半まで続く中での日本の最初の公演でもあったから,まずは腕慣らしってところもあったかもしれない。
それでもって,彼女のファンらしい人(私の感覚ではもはや親衛隊みたいなオーディエンスも...)が集結する中で,私のような思い入れのない人間はアウェイ感たっぷりって感じであったが,目にも鮮やかな黄色のドレスで上原ひろみが登場すると,確かに華やぐねぇ。演奏は当然のことながら,このバンドによる新作,"Sonicwonderland"からの曲からのものであったが,このアルバム,私はストリーミングで聞いていたのだが,冒頭の"Wanted"からして,ミディアム・テンポのフュージョンという感覚もあって,事前に聞いてへぇ~と思っていたが,そこにスピーディーなタイトルトラックのような曲でメリハリをつけるというスタイルはライブでもほぼ踏襲されて演奏は行われた。
このバンド,タイトなまとまりを持っていたが,見ていて上原ひろみの聴衆への目配りぶりが面白かった。私にとっては「あんたたち乗ってるわよね?」と確認しているかのようにも見えた。まぁプレゼンテーションにおいては,聴衆への目配りは基本なので,それを音楽のステージでも実践していたという感じだったが,結構目力が強いなぁと思っていた私である。そして楽しそうにピアノやキーボードをプレイするところは明らかに普通のジャズ・ミュージシャンとは一線を画しており,音楽のみならずその辺りに魅力を感じる人も多いんだろうと思ったし,だから人気があるのねぇと独り言ちた私である(笑)。確かにキュートな人だと思った。
このバンドにおいては,上原ひろみには珍しく採用したトランペットのAdam O'Farillがどうなのかと思う人も多いだろう。この人はエフェクターを使ってコンテンポラリーな感覚を出していたが,本質は結構コンベンショナルなラッパだと思った。聞いていて想起したのが「超ハイノートを炸裂させないArtulo Sandoval(笑)」って感じと言えばいいだろうか。いずれにしてもソロ・フレーズはなかなかの実力を感じさせた。一方,私にとってはこのバンドでの最注目はHadrien Feraudのベースだったのだが,これで私は彼のライブは3度目だ。1回目がDean Brownとのトリオ,2回目がMike Stern~Jeff Lorberとの共演,そして今回ということになるが,彼のベース・プレイという観点では今回が一番良かったように思う。上原ひろみと盛んにアイ・コンタクトしていたように思うが,とにかく出てくる技はまさに見事なもので,まじでうまいわぁ~と思っていた。
そんなバンドにおいて,私が問題を感じたのがドラムスのGene Coyであった。バックで叩いている分には全然問題ないのだが,ステージ終盤で聞かせたドラムス・ソロは全くいただけない。歌心もイマジネーションも全く感じられない凡庸としか言えないドラムス・ソロは,正直言って時間の無駄にしか思えないものであった。ステージングからすれば,あそこは熱量を上げて,聴衆を興奮させるぐらいのビートを叩き出すべきで,あの程度のつまらないソロに喝采を送る聴衆にも内心毒づいていた私である。私はあの冗長なドラムス・ソロには辟易としていたので,一切拍手をしなかったし,したいとも思わなかった。それぐらいのレベルだったと言わざるをえないもので,あれは完全に今回のライブの瑕疵と捉えている。まぁ捉え方は人それぞれとは言え,あれはいかん。
そうは言いつつ,演奏は若干の問題点を除けば,総じて楽しめるものであったことは間違いない。しかし,アルバムをストリーミングで聞いた時も思っていたのだが,アンコールで演奏した"Bonus Stage"って曲はどうなのかねぇ...。もともとアンコール・ピースとすることを想定して書いた曲なのかもしれないが,このバンドにフィットした曲調だとは思わないし,アルバムの締めにはちょっとなぁと思っていたが,ライブでも全く同じように感じたと言っておく。
Live at Cotton Club東京 on November 20, 2023, 2ndセット
Personnel: 上原ひろみ(p, key, synth), Adam O'Farrill(tp), Hadrien Feraud(b), Gene Coye(ds)
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