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2023年11月30日 (木)

"Magnetic":最もエレクトリック化したSteps Aheadはこれか?

_20231128_0001 "Magnetic" Steps Ahead (Elaktra)

1986年に来日したSteps Aheadはメンツは異なるものの,このアルバムからの曲を結構プレイしていた。その時のライブ盤を聞いて,私はエレクトリックSteps Aheadと呼んだ(その記事はこちら)のだが,このアルバムもエレクトリック化したSteps Aheadという印象が強い。もともとはフュージョン系のミュージシャンが4ビートに近い演奏をするというのがそもそものオリジナルStepsのコンセプトだったと思うが,そこからは随分離れた印象が強い。そんなアルバムを久しぶりに聞いた。

そもそもMichael Breckerが結構な割合でEWIを吹いているのにも時代を感じさせるが,ほぼ固定メンツで繰り広げられた演奏はタイトながら,私としてはライブ盤のよりスピーディーでハードな演奏に軍配を上げたくなる。全体的には決して悪くはないのだが,このアルバムには決定的な瑕疵がある。それは1曲だけGeorge Dukeがプロデュースした"Magnetic Love"なのだが,Diane Reevesをリード・ヴォーカルに迎えたこの曲は,イントロが鳴った瞬間,Gloria Estefanかっ!と言いたくなってしまうぐらい,その他の曲から浮きまくっている。明らかに異質な曲が1曲入るだけで,これはずっこける。Gloriaの名誉のために言えば,私はGloria Estefanだって嫌いじゃない。むしろ好きだと言ってもいいぐらいだ。にもかかわらず,この曲が気に入らないのは,アルバムのコンセプトとの親和性を考えないアレンジメント,演奏だからだ。これは明らかに失敗だった。

ほかの演奏がどんなによくても,この1曲でこのアルバムの印象は随分と悪くなったと言わざるをえない。だからもったいないのだが,"Magnetic Love"以外はそれなりに聞きどころがあると思っている。ということで,本来なら星4つでもいいのだが,半星減点して星★★★☆。口直しにライブ盤を聞くか(笑)。あっちはギターはマイキー,ベースはDaryl Jones,そしてドラムスはSteve Smithだからなぁ。あっちの方が絶対燃えるわ。

尚,余談ながら,これにMike MainieriにサインをしてもらったのはNYCのBlue Noteだったと思うが,それが私のNYC在住中か,出張中のことかは全く記憶がない(爆)。そしてジャケに写るは今は亡きWTC...

Personnel: Mike Mainieri(synthsynth-vib, vib, key, synth), Michael Brecker(ts, EWI), Chuck Loeb(g, g-synth), Victor Bailey(b), Peter Erskine(ds, perc), Hiram Bullock(g), Paul Jackson(g), Kenny Kirkland(synth), Scott Martin(synth), Mitch Forman(synth), Warren Bernhardt(p, synth), Peter Schwimmer(banjo), Diane Reeves(vo), Diva Gray(vo), Janis Pendarvis(vo), Jocelyn Brown(vo), Robbie Kilgore(prog, p), Phil Ashley(prog), Jimmy Bralower(prog), Andy Topeka(sampling)

本作へのリンクはこちら

2023年11月29日 (水)

典型的AOR感が楽しいMarc Jordanの”Blue Desert”。

Blue-desert"Blue Desert" Marc Jordan (Warner Brothers)

私がMarc Jordanの"Mannequin"をこのブログで取り上げたのは2010年まで遡る(その時の記事はこちら)が,本作について書くまで,これほど時間が掛かるとは思っていなかった。実は"Mannequin"とほぼ同時期に本作を仕入れていたのだから,もっと早く書いていても不思議ではなかった。まぁ音はさておき,このジャケがねぇ...というところもあったのだが,ようやく登場である(笑)。

"Mannequin"の方はSteely Danでもお馴染みのGary Katzのプロデュースであったが,本作はJay Graydonがプロデュースに当たっていて,いかにもJay Graydonという感じのサウンドに仕立てられ,典型的AORとでも言うべき音が楽しめる。Marc Jordanの歌に加えて,いかにものJay Graydonのギター・ソロを聞いていると,制作された70年代後半ないしは80年代前半の感覚が蘇ってしまう。

曲にはやや出来,不出来があるようにも思えるが,全編を通して「こういう音」を期待するリスナーには間違いなく受けると思えるアルバム。バックを支える布陣もいかにもだが,この当時のJay GraydonはマントラからAl Jareauのアルバムでプロデューサーとしての地歩を固めた時期とも合致していて,やはりここでもきっちりした仕事ぶりが際立っている。どうしても同時代を過ごした私のような年代にとっては懐かしいサウンドであった。星★★★★。

Personnel: Marc Jordan(vo), Michael Omartian(key, synth, prog), Greg Mathieson(synth, org), Dave McMorrow(el-p), Jay Graydon(g), Ray Parker Jr.(g), Dean Parks(g), Steve Lukather(g), Jake the Rake(g), Abe Laboriel(b), Ralph Humphreys(ds), Jeff Porcaro(ds), Jim Keltner(ds), Earny Watts(ts), Peter Christlieb(sax), Chuck Findley(fl-h), Ben Benay(hca), Venette Gloud(vo), Bill Champlin(vo), Marcy Levy(vo), Bobby Kimball(vo), Tom Kelly(vo), Carmen Twillie(vo), Steve Porcaro(prog), Buz Ramer & the Swinging Strings(synth strings)

本作へのリンクはこちら

2023年11月28日 (火)

George GarzoneとJerry Bergonziの共演作:あんまり聞かないんだよなぁ。

_20231125_0001 "Quintonic" George Garzone (Stunt)

このアルバムがリリースされたの2014年のことであった。George GarzoneとJerry Bergonziが2テナーで共演とあってすかさず入手したはずである。しかし,このアルバム,なかなかプレイバックの機会が多くないのは,冒頭の"Gargonzola"のアバンギャルドな響きに腰が引けてしまうからだと思っている。

メンツを見れば,バックを務めるのは,当時,Jerry Bergonziをゲストに迎えてワンホーンでのアルバムを吹き込んだCarl Wintherのトリオである。Jerry Bergonziと彼らとの相性はよかったと思っているので,このアルバムも期待が大きかった。

Geroge GarzoneとJerry Bergonziと言えば,教育者としての顔も持つ二人だが,George GarzoneについてはFringeなるバンドで,フリーに近い音楽もやってしまうから,上述の"Gargonzola"でのアバンギャルドな響きも理解できない訳ではない。しかし,Jerry Bergonziを迎えるのであれば,2曲目以降のノリ,特に4~5曲目の"Restless"から"Ellwood"あたりの流れを中心に据えるべきだったように思えるのだ。そして,また最後の"The Gargoyle Returns"(これは"Gargonzola"と同じ曲に聞こえる)でアバンギャルドに戻るという構成はどうなのかねぇと思ってしまう。George Garzoneはどのようなスタイルでも吹けてしまうのもわかるのだが,プロデューサーも兼ねたCarl Wintherにはもう少し考えてもらえると尚よかった。

だが,上述の通り,中盤の曲でのGarzoneとBergonziの共演は大いに楽しめるものであり,星★★★★には相当すると思うが,なかなか手が伸びないというのも事実で,ちょっと惜しいなぁという気がする。

Recorded in July 2013

Personnel: George Garzone(ts), Jerry Bergonzi(ts), Carl Winther(p), Johnny Åman(b), Anders Morgensen(ds)

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2023年11月27日 (月)

今更であるがBrittany Howardのアナログ・ライブ音源を入手。

Brittany-howard "Live at Sound Emporium" Brittany Howard (ATO)

Brittany Hawardのソロ・デビュー作"Jamie"は実に素晴らしいアルバムであった。デビュー作のリリースから既に4年を経過して,来年2月リリーズ予定の2ndアルバムが待たれる彼女であるが,2020年のRecord Store Day向けに6曲入りのライブ音源をリリースしていたことを今頃になって知り,某ショップから入手したもの。なかなか流通経路を見つけるのには苦労したが,適切な価格であるところにはあるのだ(笑)。

本作はタイトル通り,ナッシュビルにあるSound Emporiumでライブ・レコーディングされたものだが,聴衆の声はないので,一発録りのスタジオ・ライブということかもしれない。そして"Jaime"同様Nate Smithがドラムスを叩き,Robert Glasperが両面1曲目の2曲でゲスト的にキーボードを弾くということでも,この人の位置づけがわかろうというもの。

本作は45RPMのカラー・ヴァイナルなのだが,"Jaime"同様,音はかなりロー・ファイな感覚が強い。Brittany Howardはクリアな音場でやるよりはこういう方が雰囲気が出るって気もするが,オーディオファイル的なものを求める人にとっては不満も残るだろう。まぁそういう人はBrittany Howardは聞かないか...。それでも,この人の存在感は大したものだと思えるので,早く2ndアルバムを聞きたいものだ。私にとっては是非生でも聞いてみたい人の一人である。星★★★★。

Recorded Live at Sound Emporium on July 30, 2019

Personnel: Brittany Howard(vo, g), Nate Smith(ds), Zac Cockrell(b), Robert Glasper(key), Paul Horton(key), Lloyd Buchanan(key, vo), Alex Chakour(g), Brad Allen Williams(g), Karita Law(vo), Shanay Johnson(vo)

本作へのリンクはこちら

2023年11月26日 (日)

Amazon Primeで"RONIN"を観たのだが...。

Ronin 「RONIN」('98,米/英/仏,UA)

監督:John Frankenheimer

出演:Robert De Niro, Jean Reno, Natascha McElhone, Stellan Skarsgård, Sean Bean, Skipp Sudduth

先日,Amazon Primeで見たのがこの映画だった。監督はJohn Frankenherimerだし,役者もそこそこ揃っているので見てみるかということでのチョイスだったのだが,はっきり言ってこれは失敗作。アクション・シーンはさておき,何よりもこの荒唐無稽度と言うか,無茶苦茶な展開にシナリオの雑さを感じてしまうのだ。これは登場人物の設定にはっきりしない部分があって,なんでそうなるのかの関係性が全然わからないというところにもフラストレーションがたまる。そもそもあんなに路上で拳銃をぶっ放したり,車を暴走させているにもかかわらず,警察が現場に駆けつけないなんてことはありえないだろう。

Robert De NiroとJean Renoの共演というのはなかなか魅力的だと思うが,そこにシナリオがついていかない。またJohn Frankenheimerの演出も古臭い感じがするのも何だかなぁというところで,時間つぶしにはなるが,チョイスを間違えたなぁというのが実感。星★★☆で十分だ。Robert De Niroももう少し出る映画を選べよって言いたくなってしまった。

懐かしやかつての金メダリスト,Katarina Wittがスケーター役で出演しており,スケート・シーンも見せるが,結局それもオマケに過ぎないってところ。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2023年11月25日 (土)

久しぶりにRy Cooderのベスト盤を取り出す。

_20231123_0001 "River Rescue: The Very Best of Ry Cooder" Ry Cooder (Warner Brothers)

私は結構なRy Cooderのファンである。以前はWarner時代のリーダー・アルバムはサントラを除いて,全て保有していたぐらいだが,好きなものとそうでもないものは実ははっきりしていた。後者は1stと"Jazz"が代表的なところだ。しかし,総じてアルバムはアメリカン・ロック好きの心をくすぐるものばかりであったと思っている。

今やアナログは手放してしまい,Warner時代のアルバムはCDで何枚か保有しているが,手っ取り早くWarner時代を振り返るには丁度いいのがこのベスト盤である。本作がリリースされたのが1994年だから,もはや30年近くの時間が経過してしまったが,その後もRy Cooderは現役で活躍しているし,近作のTaj Mahalとの"Get on Board"を私は22年のベスト作の一枚に選んでいるぐらいで,やはり信頼できるミュージシャンであることには今でも変わりはないのだ。

このベスト盤の冒頭には,唯一の新曲として"River Come Down (PKA Bamboo)"が入っているが,それ以外はWarner時代のアルバムから満遍なくチョイスされているが,1stとライブ盤"Show Time"からの曲はない。その代わりと言ってはどうかと思うが,サントラ盤"Paris, Texas"からタイトル・トラックが採用されている。

聞いていて,やはり懐かしいと思ってしまうが,歌手,ギタリストとしてはもちろん,あらゆる音楽を吸収してしまうところにこの人の幅広さ,才能を感じてしまう。そして今や手許にないアルバムをまた聞きたいと思わせるところが,このベスト盤を聞いての感覚であった。まぁアルバムを買い直すところまではいかないだろうから,ストリーミングで済ませようとは思うが,改めて聞いたらまた欲しくなってしまうかもしれない(爆)。

それにしても"Boomer's Story"について書いた記事でも感じたことだが,Dan Pennの名曲"Dark End of the Street"をインストでやってしまうところが何とも渋い。いずれにしても,Ry Cooder入門編には適していることは言うまでもない。

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2023年11月24日 (金)

Travisの内省的美メロに痺れる。決してTravis Japanではないので念のため(笑)。

_20231116_0001"The Man Who" Travis (Indipendiente)

90年代の後半から21世紀初頭に掛けて,美メロを特徴とするバンドが英国で続々と出てきたという感じがする。Travis,Coldplay,Keane等々。現状一番のビッグネームはColdplayだろうが,そのColdplayより早くからアルバムをリリースしていたのがこのTravisであった。プロデュースにNigel Godrichが絡んでいることもあり,Radioheadとの共通性も言われることがあるが,私の感覚ではRadioheadとは異なるキャラクターを持ったバンドだと思う。

やはり特徴は曲のメロディ・ラインだろう。ロックではありながら,そのメロディ・ラインは内省的にも響きつつも,いい曲書くよねぇという印象を与える。私はパンクはほとんど聞かないし,ロックは英国より米国指向が明確な中で,私のようなリスナーでもOKというのがこのバンドのいいところ。だから,これの後続アルバムも何枚か保有しているのだ。ってことで,星★★★★☆。尚,最後の曲には隠しトラックが入っている。当時,結構こういうのがあったなぁ。

Personnel: Fran Healy(vo, g, p), Andy Dunlop(g), Dougie Payne(b), Neil Primrose(ds), Sarah Willson(cello)

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2023年11月23日 (木)

ブラックホークの99選から,今日はChristopher Kearney。

_20231113_0002 "Christopher Kearney" (Capitol)

これまでも何度も記事にしている「ブラックホークの99選」のアルバム群だが,私の音楽的な嗜好に相当な影響を及ぼしているものが多い。しかし,一般人にとっては,なんじゃそれは?みたいな渋いアルバムが多く,本作なんかもジャケだけ見ればどう見ても売れないだろうと思ってしまう。基本的にブラックホークの99選は,あまり知られていなくても,優れたアルバムを選んでいるというのが実態だから,超メジャーな人のアルバムは少ないのだ。それでもユーミンの「ひこうき雲」が入っていたりするが,まだその当時はユーミンがビッグネーム化する前だったということと考えられるが,Bob Dylanが2枚入っているのも例外と言った方がいいかもしれない。

そんな中でこのChristopher Kearneyである。「ブラックホークの99選」はそれでも根強い人気があって,本作もCDが国内盤としてリリースされたのであった。こんなことをやるのは日本のレコード会社か,韓国のBig Pinkレーベルだけだと言いたい(笑)。

Christopher Kearneyなんて名前は聞いたことがないという人がほとんどだろうが,この人はカナダ出身のSSWで,少なくとも3枚のアルバムをメジャーのCapitolで出しているのだから,それなりに人気はあったってことかもしれない。そうは言っても,往時のCapitolはLeo Kottkeとか,Guthrie Thomasとかもリリースしているから,必ずしも売れる音楽ばかり出していた訳ではないが...。

このアルバムを聞いていても,なるほどブラックホーク,と言うより今は亡き松平維秋氏が好みそうな音だよなぁって感じだが,この人の魅力はそれほどクセの強くない歌いっぷりってところで,この辺りは受け入れやすさもあるし,スワンプ・ロック的な響きとSSW的な音の同居も魅力的。どシブいという感じではないが,こういう音ってやっぱり好きだなぁと思ってしまうアメリカ音楽指向の強い私である。本作もいい出来だと思うが,99選には更に優れたアルバムもあるってことで,星★★★★☆としよう。

ドラムスにTerry Clarkeの名前があるが,これは後にJim HallやPaul Desmondと共演するTerry Clarkeの若き日の記録なのだろうか?

尚,余談だが,このアルバムの国内盤の帯には,この人の名前が「クリストファー・キーニー」となっているが,決してこれはキーニーではないだろう。カタカナで書けば,カーニーもしくはコーニーの方がそれっぽく響くはずだ。コンサル会社のA.T. KearneyがA.T. カーニーなんだから,単純に考えればカーニーが採用されるところだろう。名前の記述は難しいのはわかるが,もうちょっと調べるなり何なりすべきだな。

Personnel: Christopher Kearney(vo, g), Josh Onderisin(g), David Bromberg(slide-g, dobro), Chuck Aarons(g), Jim Ackley(key), James Rolleston(b, vo), Scott Lang(b), Terry Clarke(ds), Diane Brooks(vo), Steve Kennedy(vo), Rhonda Silver(vo)

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2023年11月22日 (水)

上原ひろみのHiromi’s Sonicwonder@コットンクラブ参戦記

Hiromi

私はこのブログにも何度か書いているが,上原ひろみのファンとは言えない人間である。Anthony Jackson,Simon Phillipsとのトリオでの演奏は相応にカッコいいと思うし,ストリングス入りの"Silver Lining Suite"も新機軸として面白かった。だが,大概の場合,彼女の弾き倒しとも言えそうなスタイルに,そこまでやらなくても...なんて思っているのも事実である。その程度なので,私は彼女のライブをこれまで観たことがなかったのだが,今回,ヴェニューはCotton Clubだし,新バンドとしてのクラブ公演はこの1回限りらしいという珍しさもあっての参戦となった。今回のライブはこのバンドのライブは12月後半まで続く中での日本の最初の公演でもあったから,まずは腕慣らしってところもあったかもしれない

それでもって,彼女のファンらしい人(私の感覚ではもはや親衛隊みたいなオーディエンスも...)が集結する中で,私のような思い入れのない人間はアウェイ感たっぷりって感じであったが,目にも鮮やかな黄色のドレスで上原ひろみが登場すると,確かに華やぐねぇ。演奏は当然のことながら,このバンドによる新作,"Sonicwonderland"からの曲からのものであったが,このアルバム,私はストリーミングで聞いていたのだが,冒頭の"Wanted"からして,ミディアム・テンポのフュージョンという感覚もあって,事前に聞いてへぇ~と思っていたが,そこにスピーディーなタイトルトラックのような曲でメリハリをつけるというスタイルはライブでもほぼ踏襲されて演奏は行われた。

このバンド,タイトなまとまりを持っていたが,見ていて上原ひろみの聴衆への目配りぶりが面白かった。私にとっては「あんたたち乗ってるわよね?」と確認しているかのようにも見えた。まぁプレゼンテーションにおいては,聴衆への目配りは基本なので,それを音楽のステージでも実践していたという感じだったが,結構目力が強いなぁと思っていた私である。そして楽しそうにピアノやキーボードをプレイするところは明らかに普通のジャズ・ミュージシャンとは一線を画しており,音楽のみならずその辺りに魅力を感じる人も多いんだろうと思ったし,だから人気があるのねぇと独り言ちた私である(笑)。確かにキュートな人だと思った。

このバンドにおいては,上原ひろみには珍しく採用したトランペットのAdam O'Farillがどうなのかと思う人も多いだろう。この人はエフェクターを使ってコンテンポラリーな感覚を出していたが,本質は結構コンベンショナルなラッパだと思った。聞いていて想起したのが「超ハイノートを炸裂させないArtulo Sandoval(笑)」って感じと言えばいいだろうか。いずれにしてもソロ・フレーズはなかなかの実力を感じさせた。一方,私にとってはこのバンドでの最注目はHadrien Feraudのベースだったのだが,これで私は彼のライブは3度目だ。1回目がDean Brownとのトリオ,2回目がMike Stern~Jeff Lorberとの共演,そして今回ということになるが,彼のベース・プレイという観点では今回が一番良かったように思う。上原ひろみと盛んにアイ・コンタクトしていたように思うが,とにかく出てくる技はまさに見事なもので,まじでうまいわぁ~と思っていた。

そんなバンドにおいて,私が問題を感じたのがドラムスのGene Coyであった。バックで叩いている分には全然問題ないのだが,ステージ終盤で聞かせたドラムス・ソロは全くいただけない。歌心もイマジネーションも全く感じられない凡庸としか言えないドラムス・ソロは,正直言って時間の無駄にしか思えないものであった。ステージングからすれば,あそこは熱量を上げて,聴衆を興奮させるぐらいのビートを叩き出すべきで,あの程度のつまらないソロに喝采を送る聴衆にも内心毒づいていた私である。私はあの冗長なドラムス・ソロには辟易としていたので,一切拍手をしなかったし,したいとも思わなかった。それぐらいのレベルだったと言わざるをえないもので,あれは完全に今回のライブの瑕疵と捉えている。まぁ捉え方は人それぞれとは言え,あれはいかん。

そうは言いつつ,演奏は若干の問題点を除けば,総じて楽しめるものであったことは間違いない。しかし,アルバムをストリーミングで聞いた時も思っていたのだが,アンコールで演奏した"Bonus Stage"って曲はどうなのかねぇ...。もともとアンコール・ピースとすることを想定して書いた曲なのかもしれないが,このバンドにフィットした曲調だとは思わないし,アルバムの締めにはちょっとなぁと思っていたが,ライブでも全く同じように感じたと言っておく。

Live at Cotton Club東京 on November 20, 2023, 2ndセット

Personnel: 上原ひろみ(p,key), Adam O'Farrill(tp), Hadrien Feraud(b), Gene Coye(ds)

2023年11月21日 (火)

改めてYazooのリユニオン・ライブを聞く。

_20231113_0001 "Reconnected Live" Yazoo (Mute)

わずか18か月という短命に終わった割に,Yazooというバンドは私に強い印象を与えた。特にデビュー・アルバム,"Upstairs at Eric's"は非常に優れたアルバムだったと思っている。そんな彼らが解散から四半世紀を経て,2008年に一度だけ行った再結成(彼らはReunionではなく,Reconnectと呼んでいる)ツアーの模様をレコーディングしたライブ盤である。

Yazooの音楽は1980年前半の所謂「シンセ・ポップ」である。時代の経過とともに,陳腐化しても不思議はないものだったにもかかわらず,四半世紀を経てもその鮮度は保たれていて,音楽としても魅力が減退していないことに驚く。これは偏にAlison Moyetのディープなアルト・ヴォイスに依存するところが大きいと思うが,これほど聞き応えがあるとは想像できなかった。Alison Moyetの声に加えて,曲のよさも傑出したバンドだったなと改めて感じた私である。ディスク2後半の怒涛のヒット曲の連続に興奮してしまうこと必定の素晴らしいライブ。星★★★★☆。

Recorded Live between May and July, 2008

Personnel: Alison Moyet(vo, p), Vince Clarke(Noises)

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2023年11月20日 (月)

週末の映画のはしごで観た2本目が「ゴジラ-1.0」。

Godzilla-minus-one 「ゴジラ-1.0」(’23,東宝)

監督:山崎貴

出演:神木隆之介,浜辺美波,佐々木蔵之介,吉岡秀隆,山田裕貴,青木崇高,安藤サクラ

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」に続いてはしごで観たのがこの映画である。「ゴジラ」映画を観て泣くとは思わなかったというのが正直なところだが,舞台を戦中並びに戦後すぐに据えたというのが実にユニークであった。それにより,旧ソ連との冷戦を恐れた駐留米軍が,ゴジラが東京を蹂躙しても何もしてくれないという設定はなかなかに面白かった。「シン・ゴジラ」が現代を舞台にしていただけに,違いを出すべく,こういう時代設定もありだと思わせたが,監督が「Always 三丁目の夕日」を撮った山崎貴だからさもありなんというところであった。

まぁストーリーとしては予定調和的と言ってしまえば身も蓋もないが,それでもこれはなかなかよくできていると思わせる部分はある。涙もろい私は不覚にも涙してしまった瞬間もあって,「ゴジラ映画で...」と思うと,ちょいと恥ずかしいところもあったが,暗闇だからOKとしよう(笑)。

CGはまぁまぁよくできていたと思うが,神木隆之介が最後に操る震電が実際試作されていたというのには驚いた。それでもあの空撮映像の感覚はまだまだ向上の余地はあったと思える。そんなことも含めて星★★★★とするが,結構楽しめたのは事実だし,デートで来ていると思しきカップルの数も結構多かったのには驚いた高齢者なのであった。

2023年11月19日 (日)

週末にはしごした映画の1本目は「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」。

Killers-of-the-flower-moon「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン("Killers of the Flower Moon")」(’23,米,Paramount)

監督:Martin Scorsese

出演:Leonardo DiCaprio, Robert De Niro, Lily Gladstone, Jesse Plemons, John Lithgow, Brendan Fraser

巷ですこぶる評判の高い映画なので,もっと早く観たかったのだが,なかなか時間が取れなかったところに,家人が出掛けた隙を狙って(笑),映画を2本はしごした1本目がこれであった。因みにもう一本は「ゴジラ -1.0」ってのが分裂症気味の私らしい(爆)。

上映時間3時間26分というのにまず怯むが,このストーリーにはこの程度の時間は仕方がなかったと思わせるものであった。先住民に対する差別や不当な扱いがバックエンドにあるが,そこに石油利権を絡めたサスペンスフルな展開を交えるところがMartin Scorseseらしい。

この映画のプロデューサーも兼ねたLeonardo DiCaprioが演じた主人公,Ernest Burkhartは実にだらしないというか,全く自分の意思のようなものが感じられないろくでなしキャラなのだが,それをDiCaprio自身が演じるのが面白い。もともとはJesse Plemonsが演じたFBI捜査官,Tom Whiteを演じる予定だったというのはまぁそうだよねというところだが,DiCaprio自身がこっちの役への変更を求めたというのだから,役者魂を感じる。Robert De Niro演じるBill Haleもまさにはまり役みたいな感じだし,劇中でDiCaprioの妻となるMolly Burkhartを演じるLily Gladstoneの知性を感じさせる演技がこれまた素晴らしい。彼らを支える役者陣も一癖も二癖もある役者陣が揃っているが,適材適所のキャスティングってところだろう。最後にMartin Scorsese自身や,Jack Whiteが出てくるのも面白かった。

ストーリー自体は暗くて重々しいものだが,エンディングでの落とし前のつけ方などはシナリオの妙という気がした。アメリカの歴史を振り返ればきっとこういうことがあっただろうし,この映画も実話に基づくものというのが恐ろしい。そうした暗部を描くことに何の躊躇もないのがMartin Scorseseの真骨頂ってところか。観に行ってよかったと思わせてくれた実に素晴らしい作品だった。星★★★★★に値する傑作。

2023年11月18日 (土)

デニチェン入りのジョンスコ・バンドの映像を見て,"Pick Hits"を取り出す。

Pick-hits "Pick Hits" John Scofield Band (Gramavision)

先日,FBを見ていたら,デニチェンことDennis Chambers入りのジョンスコことJohn Scofieldバンドのライブ映像に遭遇した。私が見たのは”Blue Matter"だったのだが,YouTubeで検索してみると,それはジョンスコのバンドの演奏でありながら,デニチェンのドラムスが主役(教則ビデオ?)のような"Serious Moves"という映像の一部だったようだ。しかし,それを見ていたらやっぱりこの変態ファンク・バンドはカッコよかったということで,久しぶりに取り出したのがこのアルバムである。

GramavisionレーベルのJohn Scofieldのアルバムは,"Electric Outlet",そして"Still Warm"と素晴らしくカッコいいアルバムが続いたところに,いきなり来たのが"Blue Matter"であった。そこで聞かれたデニチェンのドラムスを擁する強烈なファンクには痺れたリスナーも多かったはずだ。残念ながら私は彼らのライブを観るチャンスを逃してしまったが,一度だけ,まだ紀伊国屋書店の裏にあった頃の新宿ピットインから洩れてくる彼らの演奏の音を耳にしたことがあって,行かなかったことを後悔していた。

そんなジョンスコ・バンドが日本で吹き込んだライブ盤が本作であった。こんな超絶変態ファンク・バンドが昭和女子大人見記念講堂のようなヴェニューでライブを開催すること自体が何とも不思議に感じるのだが,演奏はいつものジョンスコ・バンドである。ハコがどこでもやることは一緒ってことだ。だが,やはりこうした演奏はお行儀のいい会場よりも,ライブ・ハウスの方が似合うよなぁなんて思いながら聞いていた。

久しぶりに聞いても,そして何年経っても,このバンドはカッコよかったとついつい思ってしまうような演奏が収められている。後に完全版と題する2枚組もリリースされたが,私が保有しているのはオリジナルの1枚もの。それだけでもお腹いっぱいになってしまうこと必定のエグいファンクを堪能した私であった。星★★★★☆。またこの演奏を聞く気にさせた映像に感謝し,1時間越えのフル・バージョンを貼り付けておこう。映像はキーボードがJim Beardである以外は本作同様。

Recorded Live at 昭和女子大学人見記念講堂 on October 7, 1987

Personnel: John Scofield(g), Dennis Chambers(ds), Gary Grainger(b), Robert Aries(key)

本作へのリンクはこちら

2023年11月17日 (金)

今年最後の無駄遣い?Bob Dylanの「コンプリート武道館」が到着。

Complete-budokan "The Complete Budokan 1978" Bob Dylan(Columbia/Legacy)

1978年のBob Dylan初来日時の音源は既に"Budokan"としてアルバム化されているが,本作はそのもととなった2/28と3/1の2公演を完全収録したもの。CDバージョンはいろいろなオマケつきとは言え,4枚組で¥22,000という暴虐の値付け(アナログ版はその倍!)であるが,こういうのは買わないと後悔するということで,無駄遣いとは思いつつ,ついつい買ってしまった。

この時の来日公演に私は行っていないが,その折の演奏には賛否両論あったと記憶している。確かにそれまでのBob Dylanのイメージからすると,演奏にポップな感覚が強く,曲にも結構アレンジが施されているから,こんなのDylanじゃねぇわ!と毒づいたファンも多かったと思う。おそらく一種の軽さを醸し出しているのがSteve Douglasのサックスとフルート(特に後者)ではないかと思われるが,この感覚を受け入れられるかどうかがこの時の演奏への評価を大きく変えると思う。

それを改めて振り返るべく,これからこのアルバムに接していこうと思うが,私自身はBob Dylanの音楽は好きだが,原理主義的なファンではない。だから私にとってはこういうのもありとして受け入れ可能なのだ。元を取るべく(笑),45年前の若々しいBob Dylanの演奏を思いきり楽しみたいと思う。

Recorded Live at 日本武道館 on February 28 and on March 1, 1978

本作へのリンクはこちら

2023年11月16日 (木)

亡くなったWilliam Friedkinを偲んで,録りだめしたビデオから「恐怖の報酬」のリメイク版を観た。

Sorcerer_20231111134401 「恐怖の報酬【オリジナル完全版】("Sorcerer")」('77/'13,米,Paramount)」

監督:William Friedkin

出演:Roy Scheider, Bruno Cremer, Francisco Rabal, Amidou

去る8月に亡くなったWilliam Friedkinを偲んで,録画したまま全然見ていなかったこの映画を観た。「エクソシスト」をAmazon Primeで見てもよかったのだが,私は肝っ玉が小さく,ホラーが嫌いなので,こっちにした(苦笑)。

もともと1977年に公開された映画は短縮版だったとのことで,William Friedkinが完全版として2013年に仕上げたこのバージョンは,30分以上長いものとなっているらしい。私は当初公開されたショート・バージョンは見ていないが,こっちを見れば,エンディングのシーンがあるかないかで,映画のトーンは全然違ったものになってしまうことは明らかで,シナリオも書いたWilliam Friedkinとしては,こっちのエンディングがあって然るべきものだったように思える。そもそもWilliam Friedkinに断りなく短縮版が作られてしまったこと自体が信じられないが...。

まぁもともとの元祖「恐怖の報酬」からしてサスペンスフルな映画だった訳で,こちらもじりじりとしたサスペンスの盛り上げ方を示すが,ややストーリーの描き方にスピード感に乏しい部分があり,この辺りはもう少し改善できたのではないかと思う。そうは言っても,なかなか面白く見られたので,星★★★☆。因みに,私もラスト・シーンのシークェンスはあった方がよいと思っている。

しかし,この作品,映画そのものより,音楽ファンからはTangerine Dreamがオリジナル・スコアを書いていることの方が知られているかもなぁ(笑)。

Blu-rayへのリンクはこちら:https://amzn.to/49xWEMQ

サントラへのリンクはこちら:https://amzn.to/3STI3Wb

2023年11月15日 (水)

これも記事にしていなかったEnrico PieranunziとMarc JohnsonのIDA盤。

_20231111_0001 "The Dream before Us" Enrico Pieranunzi / Marc Johnson (IDA)

前にも書いたことがあるが,Enrico PieranunziのIDA盤3枚は中古市場でも結構高値で取引されている。私は偶然にもこの3枚全てを保有しているのだが,どういう理由で購入したかは全然記憶にない。しかし,ソロ,ベースとのデュオ,そしてピアノ・トリオという3枚はなかなかに魅力的なフォーマットである。既にこのブログでもソロ作"Parisian Portraits"と"Untold Story"は記事にしている(こちらこちら)が,残っていたのがこのMarc Johnsonとのデュオ作である。多分3作のうち,本作のみが再発されておらず,相変わらず高値で取引されているようだ。

ここでもEnrico Pieranunziらしい美音,美旋律は健在であるが,3作の中では私がプレイバックする機会は一番少ないかもしれない。これは二人の共作となっている即興演奏にやや取っつきにくい部分があるからだとも言えるし,"Night And Day"や"On Green Dolphin Street"のような曲でさえ,少々変わったアレンジを施している部分に多少の違和感があるからだと思う。そういうこともあって再発されないのかなぁと感じてしまうが,Marc Johnsonのオリジナル"Silkworm"なんて痺れる出来だし,共作ながら"All the Things You Are"に基づいたであろう"All the Things We Are"におけるベースとのインタープレイなんて,聞きどころは十分であるから,決して手放すつもりはない(きっぱり)。

このアルバムがリリースされてから30年以上が経過しているが,やはりこのコンビは今聞いても魅力的であった。星★★★★。

Recorded on December 17 & 18,1990

Personnel: Enrico Pieranunzi(p),Marc Johnson(b)

アルバム・リンクはこちら:https://amzn.to/3MFDc70

2023年11月14日 (火)

改めてDavid Bowieの音楽を聴きたくなること必定の映画:"Moonage Daydream"をAmazon Primeで見た。

Moonage-daydream 「ムーンエイジ・デイドリーム("Moonage Daydream")」('22,独/米)

監督:Brett Morgan

出演:David Bowie

私はDavid Bowieの熱烈なファンという訳ではないが,晩年の傑作のみならず,"Ziggy Stardust",ベルリン3部作,ライブ盤やベスト盤ぐらいは聞いてきた。83年には"Serious Moonlight Tour"で来日した際には武道館にも行った。そのチケットは徹夜でプレイガイド(死語!)に並んで買ったのも懐かしい。

David Bowieを一言で表すなら「スタイリッシュ」しか思い浮かばないのが私の貧困なボキャブラリーだが,本作はそんなDavid Bowieの頭の中を覗くようなドキュメンタリー。もともとグラム・ロック的なところがあったDavid Bowieの音楽的な変遷も各々の時代のライブ映像も交えて見られるのが実に興味深い。そんな変遷の中で,"Let’s Dance"がエンタテイナー,あるいはスーパースターへの転換を図ったということで批判的な声があったことも,映画の中には収められているが,どの時代においても,やはり音楽界への影響力は絶大だったと思わせる。

音楽のみならず,アート,演技にもその才能を発揮したことでもわかるが,単なるミュージシャンという枠で捉えてはならないということを改めて感じさせる映画であった。私としては挿入されるライブ映像にMick RonsonやJeff Beckの姿を見つけ,おぉっとなっていたのだが,これは音楽だけにフォーカスしたものではないから,その辺りに不満を感じる人もいるかもしれない。しかし,これはDavid Bowieの人となり,更にはその生き方や哲学こそがテーマであるから,そういうものだと思ってみれば,David Bowieのカッコよさを体感できるはずだ。

私はこの映画を見て,改めてDavid Bowieの音源を聞きたくなっていたが,そうした効果は誰にとっても絶大だと思わせるに十分。映画としては星★★★★ぐらいでよいと思うが,これはかなり楽しめるドキュメンタリーだ。いずれにしても,David Bowie,カッコよ過ぎである。

本作Blu-rayへのリンクはこちら

2023年11月13日 (月)

買ってから記事にするまで時間が掛かってしまったRyan Keberle & Catharsisの現状最新作。

_20231108_0002 "The Hope I Hold" Ryan Keberle & Catharsis (Greenleaf)

CDを購入しながら放置するなんてのはよくあることだが,これも随分長いこと記事にしないままにしてしまった。私がこのアルバムを購入したのはCamila Mezaが参加していることが大きな要因であるが,しかもセールで安く買えたのも大きかった。本作と一緒に仕入れた"Azul Inifinito"は今年の1月に記事にしているから,それから10か月以上経過してのアップとはいかがなものかって感じだが,まぁよかろう。このほかにももう1枚,"Find the Common, Shine a Light"も残っているから,そちらも早いところ記事にしたいと思う。

このアルバムは2019年にリリースされた,今のところこのバンドの最新作であるが,Camila Mezaのヴォーカルも交えながら,コンテンポラリーな感覚を打ち出すのが魅力なのは,"Azul Inifinito"と同様である。ただ,このアルバムは前半が"The Hope I Hold Suite"とする組曲形式,後半が"Introducing the Catharsis Trio"として,リーダーであるRyan Keberle,Camila Meza,そしてベースのJorge Roederのトリオでの演奏の二部構成になっているのが特徴。そして組曲の冒頭3曲の歌詞はLangston Hughesの"Let America Be America Again"に基づいていることからも,コンセプト・アルバムと言ってもよいかもしれない。

私としては前半のクインテットによる演奏の方が好みではあるが,後半のトリオ演奏はゆったりした感覚の中で,Camila Mezaのヴォーカリストとしての魅力を感じるにはいい具合とも言える。星★★★★。

2019年にBlue Note東京でライブを行ったCamila Mezaであるが,その後の動静が全く伝わってきていないのはどうしてなのだろうか。才能あるミュージシャンだけに,より表舞台での活躍を期待したいところだ。尚,本作に収録された"Despite the Dream"がYouTubeに上がっていたので,映像を貼り付けておこう。

Recorded on September 12, 2018

Personnel: Ryan Keberle(tb, p, el-p, key, vo), Camila Meza(g, vo), Scott Robinson(ts), Jorge Roeder(b), Eric Doob(ds)

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2023年11月12日 (日)

Søren Bebeの旧作をまとめてゲット:これはその1枚で,Marc Johnsonとの共演は必然だと思わせる。

_20231108_0001 "Eva" Søren Bebe Trio Featuring Marc Johnson (From Out Here Music)

今年の夏場にSøren Bebeのアルバムを2枚取り上げたが,自身の音楽を多くのリスナーに届けるべく,いろいろな努力をしているのが感じられる人だと思う。そして出てくるのは欧州系美的ジャズ・ピアノというところで,既にアップしたアルバムも結構気に入っている。そんなSøren Bebeから,2007年から13年にかけてリリースされた旧譜のオファーが届いたので,4枚まとめて発注した私である。4枚まとめても,送料込みで¥5,000ちょいなので,これはかなりお買い得と思ったし,夏場にアップしたアルバムのクォリティからすれば,おそらく失敗はないという考えもあった

その4枚の中で最初に聞いたのが本作だが,このアルバムのポイントはMarc Johnsonとの共演ということになる。Søren Bebeの音楽を聞けば,このMarc Johnsonとの共演というのはあって当然と言いたくなる。Enrico Pieranunziとやる時のMarc Johnsonであれば,まず確実にフィットする音楽をSøren Bebeはやっているからだ。そして,その予想は決して裏切られることはない。

ここではリーダーとドラムスのAnders Morgensenのオリジナル(それぞれ9曲,2曲)を演奏しているが,プレイぶりにも,曲調にも一貫したトーンが維持されていて,こうしたサウンドを好むリスナーからは歓迎されること間違いなしである。これもまたレベルの高く,美感たっぷりのピアノ・トリオ・アルバムとして星★★★★☆。こういう演奏は生でも聞いてみたいと思うが,デンマーク大使館あたりがスポンサーになってくれないものか。

Recorded on October 31, 2012

Personnel: Søren Bebe(p),Marc Johnson(b), Anders Morgensen(ds)

2023年11月11日 (土)

クリポタの最注目の新譜は来年3月リリース。待ち遠しい!

Chris-potter-eagles-point

レコーディングしたことはわかっていたのだが,この強烈なクァルテットによる新作"Eagle’s Point"のリリースが来年3月に決定した。クリポタことChis Potterを支えるのがBrad Mehldau,John Patitucci,Brian Bladeとあっては聞く前からくぅ~っとなってしまう。首を長くして来年3月を待つことにしよう。

2023年11月10日 (金)

血迷ったか?中年音楽狂!(笑)。

Nelsons-bruckner "Bruckner Complete Symphonies, Wagner Orchestral Music" Andris Nelsons / Gewandhausorchester (Deutsche Grammophon)

主題を見たら何のこっちゃ?と思われても仕方がない。先日,Thielemannがウィーン・フィルを振ったブルックナーの交響曲全集を購入して,私の音楽嗜好を知る友人たちを驚かせたのだが,何を血迷ったか,今度はAndris Nelsonsがゲヴァントハウスを振ったブルックナーの全集を購入である。今までTennstedtが振った4番,8番を除いてブルックナーとはほぼ縁のない生活を送ってきた私が,完全にとち狂ったと言ってもよいかもしれない。

まぁ,これはブルックナー好きの私の友人からの推薦もあったが,何よりも値段が安かった。私が購入したサイトでは10枚組で7,000円しないという驚愕のナイス・プライスだったのだ。Thielmannも決して高くなかったが,それに輪を掛けて安いとあっては,大人買いOKである(笑)。ついでに言えば,この全集,ブルックナーだけでなく,10枚全部ではないが,ワーグナーの序曲がカップリングされているのだが,ワーグナーとブルックナーの関係性を考えれば,これはナイスな企画だと言ってもよいのだ。

ということで,いつ聞くの?と言われれば,ゆっくり時間を掛けてとしか言えないが,まずは「0番」を聞いて,へぇ~,なかなかいいねぇと思っていた私であった。どこまで深みにはまっていくかはわからないが,ブルックナーのボックスを買ってから,部屋でオーケストラ音楽を再生する機会が増えたことは間違いない。そういう効果もブルックナーにはあったかもなと感じる中年音楽狂である。さて,頑張って聞かねば。

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2023年11月 9日 (木)

これも休日にAmazon Primeで見た「エントラップメント」。

Entrapment 「エントラップメント ("Entrapment")」('99,英/米/独,Fox)

監督:Jon Amiel

出演:Sean Connery, Catherine Zeta Jones, Ving Rhames, Will Putton

家人が出掛けた隙に(笑)Amazon Primeで先日取り上げた「アビス」に続いてこの映画を見た。私がこの映画を見るのも初めてだったが,Catherine Zeta Jonesが赤外線センサーをくぐり抜ける予告編は見た記憶がある。はっきり言ってしまえばストーリーがありがちで,大したことがない作品なのだが,Sean Conneryの渋さと,Catherine Zeta Jonesの別嬪さでもっている映画だと言ってしまってもいいだろう。とにもかくにも,サスペンスの盛り上げ方が大したことがないのが致命的な欠陥という気がするが,先が読めるストーリーにしてしまったシナリオがダメだと言ってもよいだろう。

映画を見ていて,冒頭のNYCの夜景や後半のクアラルンプールが懐かしいが,製作されたのが99年なので,まだWTCは健在,一方のKLはペトロナス・タワーが後半の主たる舞台になっている。私は仕事でKLを何度か訪問するチャンスがあったが,やっぱりペトロナス・タワーは同地のランドマークだよなぁと思ってしまった。映画が撮られた頃は世界で最高層のビルだったのだから,まぁ舞台に選びたくなるのもわかるってところだ。しかし,結局そうしたことしか私の記憶に残らないであろうという凡作。

「アビス」にしても,この「エントラップメント」にしても,選んだ私が悪いってことになるが,まぁ暇つぶしにはなったということでよかろう。星★★☆。

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2023年11月 8日 (水)

Gretchen Parlato@Blue Note東京参戦記

Gretchen-parlato-at-blue-note Gretchen Parlatoが来日するとあっては行かない訳にはいかぬ。ということで,Blue Note東京でのライブに行ってきた。Whisper Voiceとでも言えばいいのか,典型的なジャズ・ヴォーカルとは対極にあるような歌いっぷりは非常に楽しめた。"Butterfly"や"Juju"を交えてのコンテンポラリーな感覚の歌唱は,まさにGretchen Parlatoってところであった。

彼女の歌いっぷりに対しては,旦那のMark Giulianaはやや叩き過ぎかなって気がしないでもなかったが,バックのトリオの演奏もよく,彼女の歌唱を盛り上げていたと思う。今回は息子のMagnus君(だと思う)もステージに上げて,歌ったのはそれこそ"Magnus"だったと思うが,歌の才能は引き継がれるのねぇなんて感心していた私であった。

今回のライブにおいては,ベースがAlan Hamptonというのも私としては期待が高かったが,Gretchenとデュオで歌った歌もよかったし,そのギターの腕は実に大したものだと思ってしまった。彼の2枚のアルバムを愛聴してきた私としては嬉しい演出だったが,もちろんベースの腕も見事なものだったと言っておこう。

それにしても最近のBlue Noteの客入りには驚くが,今回もほぼフルハウスだったのではないか。コロナ禍でライブに飢えていた人々も多かろうが,Gretchen Parlatoがこれほど人気があるとは思わなかったなぁ。下の写真はBlue Note東京のWebサイトより拝借(但し,前日のステージ)。

Live at Blue Note東京 on November 6, 2023,2ndセット

Personnel: Gretchen Parlato(vo), David Cook(p, key), Alan Hampton(b, g, vo), Mark Giuliana(ds), Magnus Thompson(vo)

Gp-at-blue-note

2023年11月 7日 (火)

Joe HenryがプロデュースしたOver the Rhineを久しぶりに聞いた。

The-long-surrender "The Long Surrender" Over the Rhine (Great Speckled Dog)

このアルバムがリリースされたのは2011年のことであった。Over the Rhineという私にとっては未知のバンドのアルバムを購入した動機はJoe Henryのプロデュースということに尽きる。全部が全部素晴らしいという訳ではないとしても,Joe Henryがプロデュースするアルバムは,私の音楽的嗜好にマッチする確率が非常に高いのだが,このアルバムもアコースティックでアメリカーナな雰囲気を醸し出していて,実によいアルバムである。

そんなアルバムを今頃になってアップしているのはどうなのよ?と言われれば返す言葉もないが,このいかにもJoe Henryプロデュースという感覚はまじで和む。ある意味,地味と言えば地味なサウンドであるから,万人向けってことにはならないだろうが,こういう音に身を委ねていると,私みたいなリスナーには気分が楽なのだ。

Over the RhineはKarin BergquistとLinford Detweilerの夫婦デュオであるが,バンド名はシンシナティにある歴史的ディストリクトであるOver-the-Rhineに由来している。バンド自体は1991年から活動しているようだから,本作がリリースされた際には既にベテランだった訳だが,Joe Henryの名前なかりせば,私のレーダーには引っ掛かってこなかったであろうことは間違いなかった。それでもこうした滋味溢れる音楽に触れることができたのはよかった。

このアルバムにはブックレットが2つついているが,一つは歌詞とクレジットという通常のもので,もう一つがクラウド・ファンディングのスポンサーの名前を列挙したブックレットになっている。上述の通り,地味なサウンドゆえ,クラウド・ファンディングに依存せざるをえない部分があったであろうことは想像に難くないが,その結果としてこういうアルバムが生まれたことは,今にしてみれば実によかったと思わざるをえない。なかなかこのアルバムをプレイバックする機会はなかったが,改めて聞いてみて,その良さを改めて痛感。星★★★★☆。

Recorded on May 17-21, 2010

Personnel: Karin Bergquist(vo, g), Linford Detweiler(p, vo, el-p, g), Greg Liesz(g, pedal steel), Keefus Cianca(key), Patrick Warren(org), Levon Henry(ts), David Piltch(b), Jay Bellrose(perc), Niki Haris(vo), Jean McClain(vo), James Gilstrap(vo)

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2023年11月 6日 (月)

休日にAmazon Primeで見た「アビス」。

Abyss 「アビス("The Abyss")」('89,米,Fox)

監督:James Cameron

出演:Ed Harris, Mary Elizabeth Mastrantonio, Michael Biehn, Leo Burmester, Todd Graff, John Bedford Lloyd

今や稀代のヒット・メイカーとなったと言ってもよいJames Cameronだが,そのキャリアの中で比較的目立たない作品と言ってもよいのがこの作品ではないか。それがAmazon Primeで見られるようになったので,私も初めてこの作品を見たのだが,どのように評価すればよいのか微妙な作品と言ってもよいかもしれない。

映画としては「深海」ものなので,映像のトーンはかなり暗い。そこにSFなのか,ファンタジーなのかわからない要素が加わってきて訳がわからなくなる。しかもどう考えても無理があるシナリオやシークェンスを見ていると,没入は不可能だと言わざるをえない。James Cameronの映画においては珍しくMichael Bienが悪役と言ってよい役柄なのは珍しいが,その描かれ方はありがちなものに留まっているのも気に入らない。

特撮としてはまぁ認めるべきところはあるとしても,このストーリーじゃねぇというのが正直なところ。少なくとも成功作とは言い難い凡作。星★★★。

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2023年11月 5日 (日)

こんなのもあったなぁというWayne Shorterのライブ音源集。

Wayne-shorter-north-sea "North Sea Jazz Legendary Concerts" Wayne Shorter (Bob City)

これは2013年にCD+DVDのセットでリリースされたWayne Shorterのライブ音源集。CDは2002年のNorth Sea Jazz Festivalでの演奏が3種の編成で収録されていて,DVDはCDに収録された曲の映像に1986年の演奏が加えられている。私はあまり映像は見ないので,ここはではCDに収録された音源に関してだけ記す。

3種の編成とは冒頭2曲がPrima La Musica Orchestraとの共演,続く3曲がWayne Shorter Quartet,そして最後の1曲がHerbie Hancockとのデュオという構成。正直言ってしまうと,私にとってはクァルテットの演奏が最も聞き応えがあるもの。オーケストラとの演奏はまぁこんな感じだよなってものだし,Herbie HancockとのデュオはWayen Shorter好きの私でも"1+1"はプレイバックの頻度が低いものになっていることからしても,それほど食指が動くものではない。このデュオは静謐で引き締まった演奏をするのだが,丁々発止って感じよりも,デュオとしての対話が重んじられているように思えてしまうのだ。その結果,クァルテットの演奏がこのCDでの聞きものになってしまうので,結局このアルバムもそれほどプレイバックの頻度は高まらないものに留まってしまう。このCDを聞かなくとも,このクァルテットの演奏を収めたCDを聞けばいいからだ。

但し,この音源には珍しい点もある。クァルテットのレギュラーのベースはJohn Patitucciだが,ここではChristian McBrideがトラで入っている。正確なところは不明だが,John Patitucciは病欠だったという話もある。このクァルテットは緊密なインタープレイが持ち味であるから,トラは大変だったと思うが,そこはさすがの実力者という感じで,違和感なく役割を果たしているのは立派なものだ。いずれにしても,やはりこのアルバムは中盤のクァルテットによる3曲が一番いいと思ってしまう私であった。星★★★★。

Recorded Live at the North Sea Jazz Festival in July, 2002

Personnel: Wayne Shorter(ts, ss), Danilo Perez(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds), Herbie Hancock(p), Prima La Musica Orchestra, Dirk Vermeulen(cond)

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2023年11月 4日 (土)

Beatlesの「新曲」がリリース。

Now-and-then "Now and Then" The Beatles (Apple)

リリース前から話題となっていたBeatlesの「新曲」がリリースされたので,さっそくストリーミングで聞いた。おぉ,これがさすがJohn Lennonと思わせるいい曲である。テクノロジーの進化によって,こうして埋もれていた音源が改めてリリースされることは実に素晴らしいことである。まぁ,そうは言っても,後付けで作られた音源であることには間違いないので,それをどう評価するかは人それぞれだと思う。「アンソロジー」制作時にリリースされた"Free as a Bird"にしろ,"Real Love"にしても私にとっては同じ感覚だった。しかし,曲のよさには文句のつけようがないので,ここはリリースを素直に喜ぶべきだろう。既にアナログ盤は売れまくっているが,CDは約2週間遅れでリリースされるようだ。まぁ,私はストリーミングでいいかなってところだが。

むしろ私が驚いてしまったのが,カップリングされている"Love Me Do"の2023 Mixの方であった。今まで聞いてきた"Love Me Do"と感じがかなり違うのだ。これがストリーミングで聞いたことによるものなのか,大幅に手を加えたことによるものなのかは判断できないが,一聴した限りでは,ベースが強調され,ヴォーカルのミキシングがかなり変わっているように聞こえた。こういうのを聞いてしまうと,今後拡大版としてリリースされる「赤盤」,「青盤」がどういう音になっているかの方も気になってしまうではないか。そっちもリリースされた際には聞いてみることにしようと思うが,商売うまいよなぁ...。

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2023年11月 3日 (金)

Mahalia Jackson:CD時代に入った最初期に買ったアルバム

_20231101_0001 "Newport 1958" Mahalia Jackson (Columbia)

これは実に懐かしいアルバムだ。私がCDプレイヤーを初めて購入したのは学生時代のことだと思うのだが,その最初期に購入したCDの一枚がこれであった。Glenn Gouldの"Goldberg Variations"新盤や,Bruno Walterが振ったハイドン等をいの一番に購入した記憶があるが,それと並んでMahalia Jacksonというのは今にしてみれば意外なことである。

しかし,それには多分,映画「真夏の夜のジャズ」の影響があったと思える。私が「真夏の夜のジャズ」を初めて見たのは,確か1983年夏のNYC旅行中のことであった。その時,ウエスト・ヴィレッジでジャズ・フェスティバルをやっていて,その一環でこの映画が上映されていたのを見たと記憶している。その映画の中でのMahalia Jacksonの歌唱が圧倒的で,このアルバムには映画に収められた歌唱が入っていると知って購入に至ったはずである。

ここでの歌唱を聞けば,ゴスペルがいかに素晴らしいものかわかるはずだが,後にAretha Franklinの"Amazing Grace"を聞いて感動した,その感動の源流がこのMahalia Jacksonの歌だったと思わざるを得ないのだ。今聞いても実に素晴らしく,改めて何度でも聞き返したくなる素晴らしい歌唱集。Mahalia Jacksonには映画「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」でも大いに感動させられたが,やはり素晴らしい名歌手であったと再認識。星★★★★★。

こうなったら,改めて「真夏の夜のジャズ」のDVDを引っ張り出して,再生するしかないな(笑)。

Recorded live at the Newport Jazz Festival, Newport, Rhode Island on July 6, 1958

Personnel: Mahalia Jackson(vo), Mildred Falls(p), Lilton Mitchell(org), Tom Bryant(b)

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2023年11月 2日 (木)

これまた久しぶりに聞いたジョンスコの"Who’s Who?"

Whos-who_20231031103801 "Who’s Who?" John Scofield (Arista Novus)

ECMから新作をリリースしたばかりのジョンスコである。正直なところ,Miles Davisのバンドでの活動を除いて,私がジョンスコことJohn Scofieldの音楽に最初にはまったのは,現在は閉店してしまった高田馬場,マイルストーンで聞いた"Still Warm"であった。そのあまりのカッコよさに次に買ったのが"Electric Outlet"だったと思う。Gramavisionレーベル時代からが,私にとってのジョンスコとの付き合いの始まりだが,その後,Dennis Chambersを擁したバンドでの完全にノックアウトされて,そうなると,Gramavisonレーベル前のアルバムも気になりだすというありがちなパターンで購入した一枚がこのアルバムであった。

このアルバムでは後のGramavisonレーベルでのサウンドに近いところもところどころで聞けるものとなっていて,どちらかと言えばフュージョン寄りのジョンスコってことになる。特にこのアルバムが気になったのはバックを固めるメンツ。2つのバンドから構成されていて,Kenny Kirkland入りのよりフュージョン色が強い曲が4曲,Dave Liebman入りのややジャズ色の強い曲が2曲が収められている。どちらのバンドもそこそこ聞き応えはあると思うが,この2つのバンド構成にはトーンの違いゆえ,プロダクションとしては賛否両論あるかもしれない。それでもLiebman入りの方も,コンベンショナルというよりも,ややフュージョン・ライクなサウンドと言ってもよいので,私は抵抗なく聞けた。

既に十分個性的と言ってもよいかもしれないが,後のジョンスコ節のようなものの炸裂までは行っていないかなというかたち。ということで悪くはないが,まだまだこれからだなって感じでちょっと甘めの星★★★☆ってところ。

Personnel: John Scofield(g), Dave Liebman(ts, ss), Kenny Kirkland(p, el-p, key), Anthony Jackson(b), Eddie Gomez(b), Steve Jordan(ds), Billy Hart(ds), Sammy Figueroa(perc)

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2023年11月 1日 (水)

Thielemannのブルックナー全集:またも無駄遣いか,はたまた新たな地獄への第一歩か?(笑)

Brucker-complete-symphonies "Bruckner: 11 Symphonies" Christian Thielemann / Wiener Philharmoniker (Sony Classical)

私は遅れてきたブルックナー聞きで,これまでの人生,ほとんどブルックナーとは縁のない生活を送ってきたと言っても過言ではない。そんな私がJochumによる全集を購入したのが2022年4月,そして初の生演奏に触れたのが今年の9月になってからのことである。今後,ブルックナーをどれぐらい聞くかわからないし,Jochumの全集を聞いていればいいのではないかという話もある中,来年はブルックナー生誕200年ということで更なる盛り上がりが期待されるから,新しいのも聞いておくかって感じで購入したのがThielmannとウィーン・フィルによる全集。輸入盤は値段が手ごろだったってのが一番の理由だが,Jochum盤だってまだ全部聞いていないんだから,やはり無駄遣いの誹りは免れないだろうな。

それでもこの全集,単一の指揮者でウィーン・フィルがブルックナーの全集を完成させたことはこれまでなかったらしいし,0番と00番を含む11枚組。しかし,これまで2,3,4,5,8,9番はバラで発売済みのところ,このボックスで解禁が5枚というのはこれまでのディスクを買ってしまった向きからは不満爆発確実だろうな。私は全集が出るまで待っていたというのが正直なところで,こっちは作戦勝ち(笑)。

それはさておき,ディスクを聞けば生も聞きたくなるのが人情ってところで,来年は頻繁に開催されるであろうブルックナーの演奏会に行くとなると,また散財地獄が待っているのか...?まぁ,それもまたよしってことで。

いずれにしても,国内盤と輸入盤の価格差はかなり大きいが,輸入盤でもショップによって,全然値段が違うのはなんでやねん?

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