Blue Note東京での演奏の記憶も新しいSF Jazz Collectiveのライブ音源。
"New Works & Classics Reimagined" SF Jazz Collective (SFJazz)
先日のBlue Note東京でのライブも素晴らしかったSF Jazz Collective。ライブ参戦前にもこの音源はストリーミングで聞いていて,コンテンポラリーな響きにワクワクしながら,ライブの場に向かった。Blue Noteでの演奏では第一部が新曲,第二部が過去の偉人にオマージュした演奏ということで,本作と同様"New Works & Classics Reimagined"ってことになる。これが彼らの活動の基本線と考えてよいだろう。
以前にも書いたが,SF Jazzのサイトではこの音源がCDとしても販売されていて,それがBlue Noteでも売られていたので2021年盤ともども入手してきたが,改めてCDで聞いてみると,実にスリリングな演奏で,Blue Noteでの演奏が蘇る。
本作で言うNew Worksは8曲中6曲で,Warren Wolf以外のメンバーのオリジナルが収められている。そのWarren Wolfも最後に収められた"Prelude~Someday We'll All Be Free"では"Prelude"の作曲とメドレーのアレンジメントを担当しているから,実に民主的な取り組み姿勢が貫かれていると思える。そうした姿勢はライナーにも表れていて,各々の担当曲にそれぞれがコメントを寄せていて,こういうのはストリーミングだけではわからないから,媒体はやっぱり重要なのだ。そしてその曲解説が実に興味深いのであった。"Someday All Be Free"はDanny Hathawayの曲だが,Warren Wolfはシンセサイザー(MiniNova Novation)にトーキング・モジュレーター(ElectroSpit)を加えて,Roger Troutman的な音を付加しているなんて書いているのが面白い。なるほどねぇって感じで,これが無茶苦茶カッコいいのだ。
メンバーは相応の実力者揃いだが,それでも私の耳はクリポタとKendrick Scottに向いてしまう。そしてやはりここでもクリポタのソロは図抜けているし,Kendrick Scottのドライブ感は見事なものだ。そして驚きなのはこのバンドがパーマネントなものではないということである。このCollectiveとしての活動は秋口に招聘されて,そこでの徹底したリハーサルを経て,SF Jazz Centerでの4日間の演奏をライブ・レコーディングするというのがルーティンとなっているようだが,それでこの演奏というのが素晴らしい。才能ある人たちが集まれば傑作ができてしまうことが多いというのはジャズ界の伝統と言ってもよいが,それは現代においても脈々と息づいているということだ。
この音源を歴史的傑作と呼ぶつもりはないが,現代ジャズの一つの理想的な取り組みを感じさせる音源として星★★★★☆としよう。本作に収められた"Smokey"の映像がYouTubeに上がっていたので,貼り付けておこう。
Recorded Live at SF Jazz Center in Fall, 2022
Personnel: Chris Potter(music director, ts, ss, b-cl), David Sánchez(ts), Mike Rodriguez(tp, fl-h), Warren Wolf(vib), Edward Simon(p, el-p), Matt Brewer(b), Kendrick Scott(ds)
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