Grant Green: ここでの音源が全てお蔵入りしていたというのは信じがたい。
"The Complete Quartets with Sonny Clark" Grant Green (Blue Note)
私はGrant Greenの熱心な聞き手ではないので,保有しているアルバム枚数も限定的で,このブログへの登場回数も極めて少ない。しかし,改めてこの2枚組を聞き直してみて,驚いてしまったことがある。
本作はGrant GreenとSonny Clarkの共演音源を集成したものであるが,これらの音源が長年未発表で「お蔵入り」していたということである。そもそもここに収められた音源を発掘したのは日本のキング・レコードだったというのも凄いが,それが"Nigeria","Gooden's Corner",そして"Oleo"の3枚である。下のアルバム・ジャケのイメージを見てもらえば,一貫性を持ったデザイン・テイストにしてあることも立派だったが,こうした音源を発掘したことは世界に誇っていいのではないか。
日本でこれらの音源が発掘されたのは,偏にSonny Clarkゆえではないかと思える。Sonny Clarkは日本においては"Cool Struttin'"を筆頭に非常に人気が高いから,参加音源を探っていくと,これらに行きついたということだろう。そしてこの2枚組はその3枚のアルバムに,後にMosaicでリリースされた別テイクほか3曲を追加したもので,極めて明確な編集方針を持っている。
Grant Greenは私の中では"Feelin' the Spirit"のようなゴスペル・タッチや,"Live at Club Mozambique"のようなどファンクのどっちかを想像してしまうのだが,ここでは極めて真っ当なジャズ・ギターを聞かせると言ってもよい。2枚目に入っている"Two for One"なんて,"So What"あるいは"Impressions"の焼き直しだしねぇ。"Moon River"みたいな選曲はどうなのよ?とは思えるところもあるが,全体を通じてこれは楽しめる。それが極めて短期間にレコーディングされていたというのだから,往時のBlue Note,まさに恐るべし。そしてそれをお蔵入りさせるのもまた恐るべし。何を考えてたんだか...って気もするが,これは十分星★★★★☆には値するコンピレーション。いいねぇ。
Recorded on December 23, 1961, January 13 and 31, 1962
Personnel: Grant Green(g), Sonny Clark(p), Sam Jones(b), Art Blakey(ds), Louis Hayes(ds)

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