「北欧組曲」:今更ながらコンテンポラリー・ビッグバンドの見事な作品であった。
「北欧組曲」高橋達也と東京ユニオン/三木敏悟(Three Blind Mice)
このアルバムがリリースされた頃は,私がジャズを聞き始めの頃と時期的に合致しているが,そんな初心者にとっては,まだまだ日本のミュージシャンのアルバムを買うところまでは行きついていない。例外はナベサダぐらいのものであった。なので,私がこのアルバムを購入したのは随分後になってからのことで,かつラックの肥しのようになってしまっていたのも事実である(苦笑)。
しかし,ここのところの酷暑続きの中で「北欧」というタイトルが魅力的に響くのも事実で,久しぶりに取り出して聞いた。そもそもこれまでだって大した回数のプレイバックはしていないはずだから,結構新鮮な気持ちで聞いたとも言える。
本作はソロイストの魅力を活かしたビッグバンド曲集であって,強烈なユニゾンとかを聞かせるものとは一線を画する。そういう意味では熱くはならないが,「北欧組曲」とは言え,涼し気なサウンドかと言うとそれほどでもない。だが,魅力的なメロディ・ラインを持つ曲が多く,心地よく聞くことができるアルバムで,実によく出来たアルバムであった。よって,その年のジャズディスク大賞において,「日本ジャズ賞」に輝いたのも頷ける話である。
私が感心したのは1977年というタイミングにおけるコンテンポラリーなサウンドが,45年以上を経過しても古びたところを感じさせない点だ。それはソロイストが魅力的な演奏をしているところにも依存しているような気がするが,それぐらい見事なソロと,それをうまく支えるバックのアレンジメントがうまく機能したというところかもしれない。コンベンショナルなビッグバンドとは一線を画するアルバムとして星★★★★★。
Recorded on May 15 & 22,1977
Personnel:高橋達也(ts),多田晴文(tp),我孫子浩(tp),鈴木基治(tp),斉尾知一(tp),宮崎英治郎(tb),内田清高(tb),岡田光一(tb),簾健一(b-tb),堀恵二(as),柳沼寛(as),井上誠二(ts),石兼武美(bs),金山昌宏(p),石田良則(b),海老沢一博(ds),荒谷憲一(g), 直居隆雄(g),今村祐司(perc),ミッキー吉野(synth),三木敏悟(comp, arr)
« Bad Company: Simple Is Bestと言いたくなるようなストレートなロック・アルバム。いいねぇ。 | トップページ | これまた久しぶりに聞いたPhil Manzaneraのコンピレーション盤。 »
「ジャズ(2023年の記事)」カテゴリの記事
- これも久しく聞いていなかったBranford Marsalis版「至上の愛」ライブ。(2023.09.24)
- Dave Liebmanの日本録音盤:このCDのジャケはないなぁ...。(2023.09.23)
- Keith Jarrett,1979年,アンティーブでのライブのブートレッグ。(2023.09.20)
« Bad Company: Simple Is Bestと言いたくなるようなストレートなロック・アルバム。いいねぇ。 | トップページ | これまた久しぶりに聞いたPhil Manzaneraのコンピレーション盤。 »
コメント