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2023年8月25日 (金)

なかなかユニークな編集方針のMM増刊「モダン・ジャズ」。

Modern-jazz 「モダン・ジャズ」原田和典(ミュージック・マガジン)

先日,お盆でお墓参りに行った際に,帰りの電車で読むものはないかということで,現地の書店で買ったのがこの本であった。ミュージック・マガジンからはアルバム・ディスク・ガイドとして,様々な増刊が出ているが,同社からジャズ関係の本が出たのはこれが初めてかもしれない。著者はマガジン誌ではJポップ/歌謡曲のアルバム・レビューを担当する原田和典だが,この人,もとは「ジャズ批評」の編集長もやっていたし,Blue Note東京ではライブ・レポートをアップしているので,ジャズについて語る資格は十分である。

一方,「モダン・ジャズ」を論じる上で,アナログ盤が似合うとしながら,更には選盤の期間を1945年から68年という時間で区切ったのはなかなかユニークと言えばユニークである。まぁ,確かにモダン・ジャズ黄金期は50~60年代というのは異論の出ないところだとは思うが。

この手のディスク・ガイドを見ていると,大体において「あのレコードはどうした? なんでこれが入っていて,あれが入っていないんだ?」みたいな指摘が出てくるものであり,この本でもなんでこれが...みたいなアルバムもある(例えばPerry RobinsonのSavoy盤とか) 。そもそも「Milesのエレクトリック化前(~68年)」「アメリカ人アーティストによるアメリカ吹き込み」「楽器奏者がリーダー」という編集方針は現在のジャズ・シーンを考えれば,相当偏っていると言われて然るべきものだ。しかし,よくよく考えてみれば,今や私も相応に欧州ジャズを聞くようになったとは言え,往時のジャズ喫茶でプレイバックされて,ついつい反応して,ジャケットを手に取って眺めてしまうというのは,ここで紹介されているようなアルバム群であったようにも思える。

そういう意味で,いかにも「モダン・ジャズ」らしいアルバムが選ばれているとも言える。一般的には敷居が高いと思われがちなジャズも,こういうところを入口にして,自分の好みの音を見つけていけばいいだろう。しかし,自分にフィットする音を見つけて,ジャズの泥沼にはまっていくには,それなりに場数を踏む必要もあるだろうし,そこへ至るハードルはそんなに低くはないだろうなぁ。それでも,往時であればジャズ喫茶に入り浸って触れた音に,今ではストリーミングで触れられるのだからいい時代ではあるのだが。

いずれにしても,私のようなロートルが気楽にパラパラと眺めるには丁度よかったということにしておこう。墓参りには老眼鏡を持って行っておらず,電車の中では結局読めなかったのだが(爆)。

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コメント

大多数の日本人が常識的にジャズとして聴いているのが、この時代のモダン・ジャズなんだから、ユニークでもなんでもないです(笑)
飲み屋でも、くるくる寿司でも、トンカツ屋でも。
ECMやフリージャズ聴きたい人なんて、世の中にごくわずか。
無視して良いほどの人数。
クラシックって堅苦しい、下世話な歌謡曲なんか聴きたくない、ロックはうるさい。
こんなにジャズが日常空間に(USENのおかげですけど)満ちあふれている国って、果たして存在するんでしょうか?
ほとんど国外へ出て行ったことがないので、知らん(笑)

ごく普通の大学生を多数知っているけれど
ジャズに興味を持っている大学生はまだ1人も知らない。
(洋楽ロックさえ、ほとんど無視されてるくらいだし)
ジャズは今後一般人の興味をひかないまま、雰囲気のいいBGMとして消費され続けるんじゃないかしら。

MRCPさん, おはようございます。

>大多数の日本人が常識的にジャズとして聴いているのが、この時代のモダン・ジャズなんだから、ユニークでもなんでもないです(笑)
>飲み屋でも、くるくる寿司でも、トンカツ屋でも。
>ECMやフリージャズ聴きたい人なんて、世の中にごくわずか。
>無視して良いほどの人数。

確かにおっしゃる通りかもしれません。但し、それは「聴いている」のではなく、バックで流れているだけで,聞き耳を立てている人間なんてほとんどいませんね。プレイバックされている音楽に反応するのはジャズ好きの人間だけでしょうし。しかしながら,ジャズの多様性というのを考えれば,この本は偏っていると言えますね。私は「世の中にごくわずかの無視してよい方」に入りますから,一般的なリスナーではないということになりますが,そういう人間からすればこの本の編集方針はユニークだってことにしておいて下さい。

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