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2023年7月18日 (火)

Coltraneの命日に発掘盤が届く。

Evenings-at-the-village-gate "Evenings at the Village Gate" John Coltrane with Eric Dolphy (Impulse!)

昨日,このアルバムが未着だと書いたところに,記事のアップ後にこのアルバムがデリバリーされた。ネット上の予定では10日後ぐらいに到着予定となっていたのが,Coltraneの命日に届くというのは「計算か?」と穿った見方をしてしまった私だが,家人が出掛けた隙を狙っての爆音再生である。

まず"Impressions"が先行公開された段階で,音としては大したことがないことはわかっていた。しかし,そうした音質上の瑕疵を問題としないぐらいリスナーを興奮させるところが,John Coltrane,そしてEric Dolphyたる所以だ。

いきなり"My Favorite Things"がフェード・インのようなかたちで始まるが,まずはEric Dolphyがあのフルートの音でアドリブ,並びにテーマを吹く。音のバランスは「ステージの上に吊るされた1本のRCAリボンマイク」で録音したということだから,推して知るべしと思ってもらえばよく,妙にElvin Jonesのバスドラが腹に響くという感じだが,まぁ許せる範囲である。同じプライヴェート録音的なものなら,音としては所謂白盤"Live on Mount Meru"(それに関する記事はこちら)の方がいいとは思うが,そんなことより発掘されたこと自体を喜ぶべきである。Dolphyに続いて登場するJohn Coltraneのソプラノがこれまたエグい!まさにキレッキレである。もはやこれで「くぅ~っ,たまらん!」と声まじりの吐息が洩れること必定。

それに続く"When Lights Are Low"のような曲がJohn ColtraneとEric Dolphyにフィットしているかは別にして,ここではDolphyがいきなりのバスクラで先発し,これが原曲無視(笑)的な強烈なソロを聞かせてくれるではないか。DolphyはDolphyであって,Dolphy以外の何ものでもないと思わせるに十分な,ここでのバスクラを聞いてまた感動である。そして,その後のColtraneのソプラノは一体何なんだ!と言いたくなるような演奏。これで興奮しないやつはもぐりだと言いたくなる。スタンダードで一丁上がりみたいな感覚ゼロ。ここでもひえ~っとなってしまった私である。

そして先行公開されていた"Impressions"だが,改めて聞いてみると,ここでのColtrane,狂っていると言われても仕方がない猛烈なフレージングを連発して,興奮度Maxである。Dolphyのバスクラ・ソロもたまりまへん。このあたりになると,Elvin Jonesのスネアやタムの音も結構しっかり聞ける感じになっているのも興奮度を高める(シンバルはあまり聞こえないが...)。

それに続く"Greensleeves"もフェード・イン気味で始まるが,これまた原曲無視みたいな冒頭のColtraneのソロである。ここでのMcCoy Tynerのソロもいいねぇ。いやはや凄いバンドである。

そして最後は"Africa"で締めるが,22分を越えるこの演奏ではベース・ソロも登場するが,それがReggie Workmanなのか,Art Davisなのかはわからない。あるいはライナーのReggie Workmanの言にあるように,彼らの2ベース・フォーマットだったのかもしれない。しかし,冒頭のColtraneとDolphyの絡みからして興奮ものだとしても,この曲ではElvin Jonesのドラムス・ソロが聞きものとなっていて,バンドとしての完成度の高さは実証されている。それでもってこのアルバムでのColtraneのテナーはここだけかなって感じであるから,それはそれで貴重な響きであるが,テナーだってキレまくりなのである。

もちろん,ColtraneとDolphyの共演を聞くならば,この発掘音源を聞く前に,Vanguardのコンプリート盤を聞く方が正しいとは思うが,この強烈さを前にして,これを聞かなければ2023年リリースのジャズ・ディスクは語れないというのが実感。もうちょっと音が良ければなぁとは思うものの,1961年8月というタイミングに,NYCのジャズ界に何が起こっていたかを知るのに適した素晴らしいドキュメント。因みにEric Dolphyが"Five Spot"を吹き込んだのがこの約1か月前のはずだ。私が生まれてすぐの頃にはNYCでは凄いことが起こっていたということを改めて感じてしまった。こんなものを聞かされたら星★★★★★しかなかろう。

尚,甚だ余談であるが,私がNYCに住んでいた90~92年のタイミングでは,まだこのVillage Gateというヴェニューは存在していた。だが,もはやジャズのライブのプログラムはほとんどなかったはずなので,私がこの場所を訪れることは結局なかったというのは,今にしてみればもったいなかったかもしれないな。

Recorded Live at the Village Gate in August, 1961

Personnel: John Coltrane(ss, ts), Eric Dolphy(as, fl, b-cl), McCoy Tyner(p), Reggie Workman(b), Art Davis(b),Elvin Jones(ds)

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コメント

こんにちは。
音のバランスは最悪ですが、楽しめました。
それにしても、本盤含むいずれの非公式コルトレーン盤は、公式盤(例えばヴィレッジ・ヴァンガードの収録)よりも、熱いコルトレーンが聴けるように思えるのですが、どうでしょうか。だからBoot紛いの購入をやめられないのです。
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2023/07/19/084833?_gl=1*1gyy87x*_gcl_au*MjkyOTA3MTUwLjE2OTAxODgyMjA.&_ga=2.220852056.1369107533.1690188220-446803590.1663589020

K's Jazz daysさん,こんばんは。リンクありがとうございます。

>音のバランスは最悪ですが、楽しめました。

そうなんですよねぇ。音がどうのこうのを超越してしまっています。

>それにしても、本盤含むいずれの非公式コルトレーン盤は、公式盤(例えばヴィレッジ・ヴァンガードの収録)よりも、熱いコルトレーンが聴けるように思えるのですが、どうでしょうか。だからBoot紛いの購入をやめられないのです。

おっしゃる通り,正規盤はちゃんとプロデュースされているというか,激しくても一線は越えていないって感じもありますね。ここでのキレっぷりにはやはり尋常ならざるものを感じます。こんなのを眼前でやられたら悶絶必至です(笑)。

閣下、リンクをありがとうございました。m(_ _)m

これは、前出の「Impressions」を聴いちゃったので、、
命日に聴こうとゲットしてたのですが、、
まぁ、いろいろあって、、聴くのが遅くなりました。

熱かった、、っていうか、狂ってました。笑
私もリンクを置いていきます。

https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2023/07/post-913451.html

Suzuckさん,おはようございます。リンクありがとうございます。

>命日に聴こうとゲットしてたのですが、、
>まぁ、いろいろあって、、聴くのが遅くなりました。

私もタイミング的にはストリーミングかなぁと思っていたら,命日に届いてよかった,よかったって感じでした。

>熱かった、、っていうか、狂ってました。笑

はい。Coltraneのキレ方は普通じゃなかったですね。

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