ブートで聞くクリポタの最新音源。やっぱり凄いわ。
"Infant Eyes" Chris Potter Quartet (Bootleg)
現在,SF Jazz Collectiveの音楽監督を務めるほか,自身のバンドに限らず,様々なバンドでの活躍ぶりを見れば,クリポタことChris Potterは現在のジャズ界において確固たるポジションを確立したと言えると思っている。そんなクリポタの現在の演奏ぶりをフォローするにはネットを使うという手もあるが,最新動向を短いインターバルでチェックするにはブートレッグに依存せざるをえない。このクァルテットでのピアノがSF Jazz Collectiveでも共演しているEdward Simonである。ベースは自身のリーダー作にクリポタを招くScott Colley,そしてドラムスはFred Herschとの共演も記憶に残るNasheet Waitsというなかなかに強力な布陣である。
このブートは今年3月のウイーンにおけるワンホーン・クァルテットによる演奏を収めたものである。サックス・プレイヤーとしてのクリポタの魅力を味わうにはこのフォーマットが最高だが,それが2枚組に収められているのだからたまらない。最新作"Got the Key to the Kingdom"(同作に関する記事はこちら)からのレパートリーを中心としているが,冒頭がこのライブの少し前に亡くなったWayne Shorterに捧げての"Infant Eyes"からというのがまず泣かせる。Disk 2ではStevie Wonderの"Send One Your Love"をやっているのが珍しい。
ハード・ドライヴィングは曲でも,バラッドでもここでの演奏は最高レベルと言ってよいが,こういうのを聞くと一刻も早い再来日を期待してしまう。もちろん,昨年のBlue Note Tokyo All-star Jazz Orchestraとの共演でもあまりに凄過ぎて,私を落涙させたクリポタであった(その時の記事はこちら)が,更にサックスを堪能できるこうしたフォーマットでも聞きたいのである。そして炸裂するソロ・カデンツァを聞いていると,そんな思いを一層強くさせた罪作りなブートレッグであった。尚,この時の演奏はYouTubeにも映像が約2時間に渡ってアップされているので,そのPart 1の映像を貼り付けておこう。この映像はブートレッグのオマケとしてDVDが付いてきたのだが,このブートレッグの元ネタはおそらくこの映像だろう。
Recorded Live at Porgy and Bess in Vienna on March 12, 2023
Personnel: Chris Potter(ts), Edward Simon(p), Scott Colley(b), Nasheet Waits(ds)
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