Banksia Trioの第3作がリリース。相変わらずいいねぇ。
須川崇志率いるBanksia Trioの新作が待望のリリースである。昨年末に武蔵野市民文化会館での彼らのライブを観に行った時(その時の記事はこちら)に,既にレコーディング済みという情報は聞いていたから,それから約半年待ってのようやくのリリースとなった。このトリオ,日本人のピアノ・トリオとしては強烈な美学を感じさせるだけに,これまでの2枚も素晴らしかっただけに,今回も大いに期待して聞いた。そして思ったのが,やはりこの人たち,只者ではないということだ。
このオーセンティックなフォーマットから奏でられる音楽をブラインドで聞いて,日本人のトリオと思うリスナーがどれぐらいいるだろうかというぐらいの美学を感じさせる演奏は,ECMの総帥,Manfred Eicherに聞かせたいと思ってしまうぐらいだ。曲も菊地雅章の"Drizzling Rain"をやっていたり,Paul Motianのオリジナルを2曲やっていたりと,ECMとの親和性を感じさせるのだ。更にNick Drakeの"Bird Flew by"とかをやってしまうというのも,本当にセンスがいいねぇと思ってしまう。
オリジナルにそうした曲を交えて演奏されるアルバムにおいて,唯一のスタンダード"I Should Care"は昨年末のライブでもやっていたが,主旋律のメロディ・ラインはスタンダードだと思わせるものの,彼らなりの解釈が施されていて,これも一筋縄ではいかない。しかし,これまでの作品同様,清冽なとしか言いようのない美学とリリシズムを感じさせる演奏は今回も健在であり,本当にレベルの高いトリオだと思わせるのだ。今回も実に素晴らしいアルバムであり,このレベルの高さに星★★★★★としてしまおう。いやいやお見事でした。
Recorded in October 2022
Personnel: 須川崇志(b, cello), 林正樹(p), 石若駿(ds)
« Lee Ritenourは好きだが,このアルバムは微妙だなぁ。 | トップページ | ブート屋のブログを見ていて,Ralph TownerとGary Peacockデュオのブートレッグを思い出す。 »
「新譜」カテゴリの記事
- "Rumours Live"がデリバリーされた。やはりこの時期は充実していたと思わせる。(2023.09.26)
- 驚きのCorinne Bailey Raeの7年ぶりの新作。(2023.09.22)
- 媒体天国日本らしいJohn Patitucciの"Live in Italy"のCDリリース。(2023.09.02)
- Brian Blade Fellowship Band:相変わらずの素晴らしさ。(2023.09.01)
- "Rumours Live"。リリースを楽しみに待ちたい。(2023.08.06)
「ジャズ(2023年の記事)」カテゴリの記事
- これも久しく聞いていなかったBranford Marsalis版「至上の愛」ライブ。(2023.09.24)
- Dave Liebmanの日本録音盤:このCDのジャケはないなぁ...。(2023.09.23)
- Keith Jarrett,1979年,アンティーブでのライブのブートレッグ。(2023.09.20)
コメント
« Lee Ritenourは好きだが,このアルバムは微妙だなぁ。 | トップページ | ブート屋のブログを見ていて,Ralph TownerとGary Peacockデュオのブートレッグを思い出す。 »
閣下、今回もよかったですねぇ。。
3作目は、ジャケのデザインが変わっていて、、、
危うく見逃すところでした。
毎度、知的で研ぎ澄まされた感覚が最高でっす。
リンクを置いていきます。m(_ _)m
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2023/07/post-b32ee2.html
投稿: Suzuck | 2023年7月26日 (水) 11時49分
Suzuckさん,こんばんは。
>閣下、今回もよかったですねぇ。。
はい。この人たちのレベルの高さは大したものです。世界レベルですね。
>3作目は、ジャケのデザインが変わっていて、、、
>危うく見逃すところでした。
発売元の違いもあるかもですが,見逃しは厳禁です。
>毎度、知的で研ぎ澄まされた感覚が最高でっす。
はい。文句なしでした。素晴らしいですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2023年7月26日 (水) 21時50分