Mompouのピアノ曲を改めて聞く。いいねぇ。
"Piano Music by Federico Mompou" Stephen Hough (Hyperion)
以前,このブログでStephen Houghが弾くMompouの「沈黙の音楽(ひそやかな音楽)」を取り上げた時に,その時の気分にマッチするピアノの響きが心地よく,90年代に同じStephen Houghが吹き込んだMompouのアルバムを発注したと書いた(その時の記事はこちら)。その時にはアルバムを現代音楽のカテゴリーに入れたのだが,所謂現代音楽が持つ小難しさは皆無であり,実に美しいピアノの響きを楽しめたのだが,このアルバムも同様である。
本作においてはMompouのピアノ曲でも比較的有名な曲を集めているようだが,選ばれたのが「歌と踊り」,「前奏曲集」,「魅惑」,「3つの変奏曲」,「対話」,「風景」等である。聞いていて思うのは,スペインの作曲家でありながら,スペイン風味というのがほとんど感じられないということだろうか。そしてアブストラクトな感覚もなく,「ドビュッシーの後継者」と評されたことも頷ける作風だと思えた。
それを弾いたStephen Houghの演奏はグラモフォン賞を受賞し,更にはペンギン・ガイドの最高評価であるRosetteに叙せられていることからしても,名盤の誉れ高いものというのはわかる。一方,私が知らないだけという話もあるが,いかんせんFederico Mompou自体がそれほどメジャーな存在ではない(だろう)から,私の周りではこのアルバムについて語る人を見たことはなかった。しかし,これだけ優れたピアノ音楽を聞かせてもらえば,実に幸せって感じで,改めてまだまだ修行が足りないと思ってしまった私である。ということで喜んで星★★★★★としよう。いずれにしても,Stephen Houghの「沈黙の音楽」と本作は長く聞くに値するアルバムだと言いたい。
Recorded on July 22 and 23, 1996
Personnel: Stephen Hough(p)
本作へのリンクはこちら。
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