今回も素晴らしい出来のZsófia BorosのECM第3作。
"El Último Aliento" Zsófia Boros (ECM New Series)
Zsófia BorosがECMから最初のアルバム,"En Otra Parte"をリリースして今年で10年になるが,10年目にして3作目というのは寡作ってことになると思うが,前作"Local Objects"からも7年近くが経過しているというのには,我ながら驚いてしまった。現代の曲を専門的に取り上げながら,実に美しい響きを提示してきたZsófia Borosのギターはここでも全く変わりがない。
今回のテーマに据えたのはアルゼンチンの作曲家の曲と,前作でも取り上げたフランスのMathias Duplessyの曲であるが,紡がれるアルペジオを同期するメロディ・ラインの美しい曲ばかりで,今回も難解さはゼロである。それでも演奏するのは結構難しそうだなぁとは思える曲を,完璧に弾きこなしている。これまでのアルバムでもそうだったが,よくぞこうした曲を見出してくるものだと思わざるをえない。この目配りの素晴らしさがECM New Seriesとマッチしていることは言うまでもなく,全2作に続いて大いに楽しめる作品となった。静謐でありながら,実に刺激的なギター・アルバム。
第1作の驚きや衝撃は薄れたとしても,アルバムのクォリティは極めて高い。本当に素晴らしいギタリストである。星★★★★☆。
Recorded in March and April, 2022
Personnel: Zsófia Boros(g)
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