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2023年5月13日 (土)

Don Ellis:騒々しさ炸裂(笑)。

_20230509 "At Filmore" Don Ellis (Columbia→Wounded Bird)

私がジャズ・ヴォーカルをあまり聞かないことは何度もこのブログに書いているが,同じようなことがビッグバンドにも当てはまる。私が保有しているビッグバンドの枚数なんて極めて限定的なのだが,本作をクロゼットから引っ張り出してきて久しぶりに聞いた。

主題の通り,実に騒々しいと言うか,ある意味「狂乱」と呼びたくなるような演奏が続くのだが,まぁこれが収録されたのがロックの殿堂,Filmore Westということも影響しているだろう。即ち,オーセンティックなビッグバンドのリスナーを対象とするよりも,ロックの聞き手を対象にしているからこその激しさと言ってよい。

リーダー,Don Ellisのキレ方も強烈だが,ここではJohn Klemmerがソロイストとしていい仕事ぶりを示す。半端ではないフレージングを炸裂させていて,もはやフリー一歩手前みたいな吹きっぷりの部分もあり,これは燃える。こういう演奏が,Don Ellisらしい変拍子とともに行われるのだから,実に強烈なライブ盤である。狂乱度が極まるのが2枚目冒頭の"Hey Jude"だろう。曲のオープニングにはエフェクターを効かせまくったカデンツァをDon Ellisが披露しているが,ライナーを読まなければ,この音を聞いてトランペットだと思う人間は誰もいないと思えるような音である。かつ,"Hey Jude"のメロディ・ラインに重なり,更に後半にもカデンツァに突入するDon Ellisのエフェクター付きトランペットを聞くと,これはBeatlesの冒涜だと思うリスナーもいるに違いない。まぁ面白いと言えば面白いのだが,やり過ぎと言えばやり過ぎである(笑)。その後も変拍子の連続に,普通の音に慣れた耳には何じゃこれは?と思ってしまう瞬間もある。

いずれにしても,ここまで激しいと2枚組を聞き通すには相当の体力が要るというのが正直なところで,私のような年寄りにはちょっときついと思わせる部分もある。まぁ,こうした音楽は時代の成せるわざかなと思うが,逆に「フレンチ・コネクション」や「重犯罪特捜班/ザ・セブン・アップス」のような「あの時代」の映画にフィットする音楽をDon Ellisは提供していたとも言える訳だ。そういうところも評価して,ちょいと甘めの星★★★★ぐらい。

メンツの中では,Jay Graydonの名前を見つけて,その意外さに驚く。この頃はまだ20歳そこそこだったはずだが,こういうところで修行していたのねぇって感じだが,後のJay Graydonがプロデュースした音楽とは全然違うのが笑える。

Recorded Live at Filmore West in June, 1970

Personnel: Don Ellis(tp, ds), Glenn Stuart(tp), Stu Blumberg(tp), John Rosenberg(tp), Jack Coan(tp), Ernie Carlson(tb), Glenn Ferris(tb),Ellis(tp, ds), Glenn Stuart(tp), Stu Blumberg(tp), John Rosenberg(tp), Jack Coan(tp), Ernie Carlson(tb), Glenn Ferris(tb), Dan Switzer(b-tb), Doug Bixby(contrabass-tb, tuba), Fred Selden(winds), Lonnie Shetter(winds), Sam Falzone(winds), John Klemmer(winds), Jon Clarke(winds), Jay Graydon(g), Tom Garvin(p), Dennis Parker(b), Ralph Humphrey(ds), Lee Pastora(conga), Ron Dunn(perc, ds)

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