David SanbornのルーツはR&Bってのはわかるんだが,あんまり聞かない"Only Everything"。
"Only Everything" David Sanborn (Decca)
私は長年のDavid Sanbornのファンだと言ってよいと思う。アルバム保有枚数は全部とは言わずとも結構なものだし,一軍,一軍半の棚に多くのアルバムが残っている。だが,その割にDavid Sanbornのライブにはほとんど行ったこともない(例外はLive under the Sky)から,熱狂的なファンか?と問われれば微妙~...と言うしかない(笑)。だが,特定のアルバムについては相当好きだと言ってよくて,そこにはかなりの思い入れがある。私にとってのDavid Sanbornの最高作は誰が何と言おうと"Straight to the Heart"であるが,それとBob Jamesとやった"Double Vision"が2トップであり,それが私の中のDavid Sanbornに対するコアなイメージである。もちろん,David Sanbornがこの世に出てきたのはPaul Butterfield Blues Bandだったり,数々のセッション・ミュージシャンとしてのプレイだったりということはわかっていても,そこは譲れないのだ。
それでもってこのアルバムだが,基本がSanbornにJoey DeFrancescoのオルガン+Steve Gaddのドラムスであるから,大体出てくる音は想像がつく。これは明らかにDavid Sanbornのルーツを表出したアルバムであって,そういうかたちで聞かなければならないというのはその通りなのだが,私が好きなDavid Sanbornの路線とは少々異なるのだ。だからという訳ではないが,このアルバムはクロゼットの奥にしまい込まれてしまっていたというのが実態なのだ。さすがにそれはまずかろうと言うことで救出してきた私である(笑)。
ベースとなる3人にホーン・セクションを何曲かで加え,ゲストにJoss StoneとJames Taylorを迎えるというのは,やはり制作には相応の予算が掛かっているねぇと思わせる。そして出てくるSanbornのフレージングや音は誰が聞いてもDavid Sanbornのそれである。だからこれはこれで当然ありなのだが,やはり私としてはDavid Sanbornに求める音がこれではないって感じなのだ。そのイメージの違いゆえ,このアルバムは私の中ではプライオリティが下がってしまったというのが正直なところである。
改めて聴いてみるとこれは全然悪くないと思えるのだが,これを聞くなら"Straight to the Heart"か"Double Vision",もしくはHiram Bullock入りのライブのブートを聞いてしまうだろうと思ってしまった。結局好みの問題だが,ほかのアルバムもまた聞いてみることにしよう。星★★★☆。このアルバムのために言っておくと,本作の美点はしょぼいオーディオで聞いてもわかるぐらいDavid Sanbornの音が生々しく録れていることだ。
Personnel: David Sanborn(as), Joey DeFrancesco(org), Steve Gadd(ds), Joss Stone(vo), James Taylor(vo), Bob Malach(ts), Frank Basile(bs), Tony Kadleck(tp), Mike Davis(b-tb), Gil Goldstein(arr)
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