Joey Calderazzoの異色のアルバムと言ってよいだろうなぁ。
"Our Standards" Joey Calderazzo / Lars Danielsson / Jacek Kochan (GOWI)
90年代初頭にまさしくRising Starとしてシーンに登場したJoey Calderazzoの印象はすこぶるよかった。若さに溢れたハード・バッピシュなピアノには本当に興奮させられたものだ。特にBlue Noteに吹き込んだ最初の3枚は実に楽しめる作品だったし,今でも私はJoey Calderazzoと言えば,その3枚だと思っている。もちろん,その後もBranford Marsalisのクァルテットでもいいところを聞かせているが,リーダーとしてはちょっと地味になっちゃったかなぁというのが実感である。
そんなJoey Calderazzoがワルシャワで吹き込んだアルバムだが,どういう経緯で吹き込まれたかはわからないが,これはJoey Calderazzoとしては異色の作品と言ってよいと思う。それは冒頭の"Prenatal Air"から明らかで,3者のフリー・インプロヴィゼーションと思しき,いきなりのフリーなアプローチからしてJoey Calderazzoのイメージではない。しかし,そこでめげてはならない訳で,聞き進むとWayne Shorterの"Footprints"や"There Is No Greater Love"で聞き手は安心する。だが,3者の共作とスタンダードの交互演奏ってのはわからないではないが,Joey Calderazzoは基本的にコンベンショナルなピアノ・スタイルを持つ人だけに,違和感の方が勝るってところか。それを"Our Standards"と言われてもねぇって感じだ。
そうした違和感を救うのが,このアルバムの音のよさ。Lars Danielssonのベースの音が実にリアルに捉えられていて,そこは実にポイントが高いのだが,それだけではプレイバックの頻度は高まらないなぁ...。ということで,あくまでもこれはJoey Calderazzoのアルバムとしては異色であり,これよりBlue Noteのアルバムを聞いている方が間違いなく興奮できる。スタンダード曲の演奏はいいだけに,フリー・インプロとのギャップが大きく,なんだかもったいない。星★★★。
Recorded on November 5, 1995
Personnel: Joey Calderazzo(p), Lars Danielsson(b), Jacek Kochan(ds)
« Derek Trucks加入後の初のAllman Brothers Bandのアルバムであり,Dicky Betts入りの最後のアルバム。 | トップページ | こんなのもあった(笑)。Vince Mendozaの"Start Here"。 »
「ジャズ(2023年の記事)」カテゴリの記事
- Antonio Sanchez@Cotton Club参戦記。(2023.06.10)
- 私が保有する唯一のAstrud Gilberto名義のアルバム。(2023.06.09)
- 追悼,Astrud Gilberto。(2023.06.08)
- コレクターはつらいよ(28):ラジオ番組出演時の記録。(2023.06.07)
« Derek Trucks加入後の初のAllman Brothers Bandのアルバムであり,Dicky Betts入りの最後のアルバム。 | トップページ | こんなのもあった(笑)。Vince Mendozaの"Start Here"。 »
コメント