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2023年4月12日 (水)

Charlie Hadenって不思議な人だ...,とも思うが実に素晴らしい"Always Say Goodbye"。

_20230408-3 "Always Say Goodbye" Charlie Haden Quartet West (Verve/Gitanes)

Charlie Hadenが亡くなって間もなく9年である。改めて月日の流れの速さを感じてしまうが,思い起こせばCharlie Hadenというのは実に不思議な人だという印象が私の中にはある。Ornette Colemanとの演奏に始まり,ハイブラウなLieberation Music Orchestraもあれば,Keith Jarrettのアメリカン・クァルテット,更にはデュオ名人としての顔もあり,果てはこのQuartet Westまで多彩であり,どこがCharlie Hadenの本質なのか掴みがたいが,本人にとっては全てってことになるのかもしれない。

中でもQuartet WestはCharlie Hadenが持つムーディな部分が顕著に表れるバンドだったと思うが,このアルバムを聞いていると,あたかも仮想の映画のサウンドトラックを聞いているような気分になってくる。冒頭から,Warner Brothersのファンファーレに続いて,映画「三つ数えろ」のHumphrey Bogartのセリフが出てきて,まずおぉっ!となってしまうが,更にそれに続いて演奏される映画音楽,ジャズマン・オリジナル,スタンダードの組合せが絶妙としか言えない流れで展開されるのだ。これが本物のサウンドトラックであれば,映画ファンを唸らせること必定と言いたくなるような素晴らしさである。

例えば,Coleman Hawkinsが演奏する"My Love And I"に続いて,Charlie Hadenのベース・ソロをフィーチャーした"Alone Together"がJo Staffordによる同曲になだれ込む瞬間なんてぞくぞくするし,同じことはQuartet West + Stephane Grappelliで演奏される"Ou Es-tu Mon Amour?"が,Django ReinhardtとGrappelli自身による同曲の演奏につながれていく瞬間にも当てはまる。そして,Duke Ellington OrchestraがヴァイオリンのRay Nanceをフィーチャーした"Low Key Lightly"が何の違和感もなく挿入されていること自体に,選曲の妙,そしてそれは映画で言えば見事な演出と言いたくなるような作品。

そしてエンディングは,またも「三つ数えろ」からHumphrey BogartとLauren Bacallのセリフで締めるとは何とも言えない作りである。ジャズ演奏としても楽しめるし,サウンド・コラージュとしても楽しめるが,仮想映画音楽として聞けてしまうということで,ジャズに関心のない人々にもきっと受け入れられるアルバムだと思う。ジャズ的なスリルとはちょっと違うかもしれないが,確実にジャズの間口を広げるには役立つはずだ。星★★★★★。素晴らしい。

Recorded between July 30 and August 1, 1993

Personnel: Charlie Haden(b), Ernie Watts(ts), Alan Broadbent(p), Lawrence Marable(ds), Stephane Grappelli(vln), with the past recordings by Coleman Hawkins(ts), Tommy Flanagan(p), Major Holley(b), Eddie Locke(ds), Jo Stafford(vo) with Paul West and His Orchestra, Django Reinhardt(g), Gianni Safred(p), Carlo Pecori(b), Aurelio De Carolis(ds), Duke Ellington And His Orchestra<Duke Ellington(p), Cat Anderson(tp), Harold Baker(tp), Clark Terry(tp), Gerald Wilson(tp), Britt Woodman(tb), Quentin Jackson(tb), John Sanders(tb), Jimmy Hamilton(cl), Johnny Hodges(as), Russell Procope(as), Paul Gonsalves(ts), Harry Carney(bs), Ray Nance(vln), Jimmy Woode(b), Jimmie Johnson(ds), Chet Baker(tp, vo), Raymond Fol(p), Benoit Quersin(b), Jean-Louis Viale(ds)

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