Bill Evans~Robben Ford@Blue Note東京参戦記。

Bill EvansとRobben FordのバンドがBlue Note東京に出演するということで,またまた現地に行ってきた。しかもリズムはDarryl JonesとKeith Carlockという鉄壁の布陣である。
私はこのライブ前に,某SNSに「アルバムは軽いがライブはヘビー級でお願いしまっせ」と書いた。彼らが2019年にリリースした"The Sun Room"にしても,昨年出した"Common Ground"にしても,強力なリズム隊を擁しながら,エンジニアリングのせいもあろうが,どうにも響きが軽くて,全然いいと思えなかったのだが,2019年のライブそのものはダイナミズムに溢れていて,非常に楽しめたからだ(その時の記事はこちら)。4年近く経っても,全く同じような表現を使っているのには,私の文章能力の枯渇を感じるが,それはさておき,彼らの音楽の本質を楽しむにはライブを聞くべきだという思いを改めて強くした。
前回はBill Evans Super Bandとしての出演であったが,今回はBill EvansとRobben Fordの双頭バンドというかたちであったので,Robben Fordの露出度が前回以上に高かったように思える。歌声なんて,古希を過ぎているにもかかわらず,年齢を全く感じさせない若々しさだったと思えるし,フレージングも実にカッコよかった。Bill Evansはソプラノよりテナーの方が圧倒的にいいというのは前回同様であったが,リズム隊はベースがJames GenusからDarryl Jonesに代わっていても,このリズムがヘビー級なことには変わりはない。
彼らがステージに上がってきた時に,Keith Carlockも体重増のように見受けられたが,驚いたのがDarryl Jonesの太りっぷりである。まるで力士のような腹であり,音が出る前から,体重からしてヘビー級じゃねぇか!なんて思ってしまったが,出てくる音はこうでなくてはならないという圧倒的なボトムのサウンドであった。これならフロントは気持ちよく演奏できるに決まっている(笑)。
そして,私の眼はKeith Carlockに釘付けになっていたのだが,やはりこの人のドラムスはよく歌う。そしてBill Evansのバッキングをしている時より,Robben Fordのバッキングをしている方がずっとよく響くというのは,やはりWayne Krantzとの共演を通じて,ギタリストとの相性の良さが増しているということもあるだろう。"Hearts of Havana"でのRobben Fordのギター・ソロのバックでのKeith Carlockこそ,彼の真骨頂って気がする。
Darryl Jonesがブルーズを演奏した時に,その音もベース・ラインがMilesバンドにいた時のMarcus Millerみたいだなぁと思っていたが,多少なりとも影響はあったのかもしれないが,それも面白かった。スラッピングをもっと入れると思っていたのだが,スラッピングはほとんどなしっていうのは結構意外だった。まぁ,それは曲調に合わせたってところだろう。
私としてはもう少しスピーディな曲を1曲でも入れて欲しかったって感じだが,それでも全体的には満足いく演奏であったし,彼らはやはりライブの方がずっといいということを確信できた演奏であった。
尚,上の写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借したものだが,私が行った際には,ピアノが右側に移動され,Robben Fordはステージ向かって左側に変更になっていた。確かにバランス的には私が観た時の方がいいように思えるな。
Live at Blue Note東京 on April 17. 2023, 2ndセット
Personnel: Bill Evans(ts, ss, p), Robben Ford(g, vo), Darryl Jones(b), Keith Carlock(ds)
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