Mel TorméとMarty Paichの"Reunion":これまた実に楽しいアルバムであった。
"Reunion" Mel Tormé and the Marty Paich Dek-tette (Concord)
先日,彼らの東京でのライブ盤を取り上げた時に,このアルバムを発注したと書いた(記事はこちら)が,それがデリバリーされたので,早速聞いたが,これがライブ盤同様実に楽しいアルバムであった。ライブでもやっていた冒頭の"Sweet Georgia Brown"から絶好調って感じだが,このアルバムを聞いていて面白かったのが,Donald Fagenの2曲。それは"The Night Fly"に入っていた"Walk Between Raindrops"と"The Goodbye Look"ってが,オリジナルの持つジャズ的なフレイヴァーを更に濃厚にした感じの歌唱,演奏には思わず嬉しくなってしまった。"The Goodbye Look"のイントロと終盤に"Bernie’s Tune"を挟み込みのもおしゃれである。
また,関連性を持ちそうな複数の曲を組み合わせてメドレーでやってしまうというのはMel Torméの芸風と言ってよいかもしれないが,ここではライブでもやっていた"Bossa Nova Potpourri"等,4曲がこの体裁となっている。最後に収められているのは何と"For Whom The Bell Tolls"と"Spain"のメドレーである。"For Whom The Bell Tolls"は,そう「誰が為に鐘は鳴る」である。そのメロディをスキャットで歌った後,Al Jarreauが歌ったヴァージョンの"Spain"をアダプテーションするというものだが,これも「誰が為に鐘は鳴る」がスペイン内戦を舞台にしていることによる関連性である。"Spain"はAl Jarreau版よりもテンポは少々落としているが,「誰が為に鐘は鳴る」をイントロ的にしていることからすれば,このテンポは適切とは思えども,Al Jarreauに馴染んでいる人間には若干違和感がない訳ではないところは仕方ないところ。
しかし,Dek-tetteのメンツもほぼライブ盤同様で非常にいいので,これはこれで十分楽しめると思う。星★★★★☆。スイング・ナンバーでもバラッドでもボサノバでもなんでもござれのMel Torméのオール・マイティーぶりにはほとほと感心してしまう。
因みに私が入手したのは中古盤だが,結構ジャケがかびていて,どういう保存状態ならばこうなるのかと思ってしまう。まぁ音には問題ないし,安かったから文句は言えないが...。
Personnel: Mel Tormé(vo, ds), Marty Paich(arr, cond), Dan Barrett(tb), Chuck Berghofer(b), Bob Efford(bs), Bob Enevoldsen(v-tb), Gary Foster(as), Pete Jolly(p, el-p), Jeff Hamilton(ds), Warren Luening(tp), Lou McCreary(tb), Ken Peplowski(ts, cl), Jim Self(tuba), Jack Sheldon(tp) with Joe Porcaro(perc), Efrain Toro(perc)
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