Wayne Shorterを偲んで,"Heavy Weather"を聞く。
"Heavy Weather" Weather Report(Columbia)
Wayne Shorterを追悼すべく,何を聞こうか迷う。いの一番に取り出したのは"Speak No Evil"だったのだから,それについて書けばいいのだが,暫く聞いていなかったこのアルバムを取り上げることにした。Weather Reportの活動は初期から後期に至って,その編成ごとに違った魅力があるとは思うが,ポピュラリティという観点では,ジャコパスがいた頃がピークだったのは間違いないと思う。そのジャコパスがアルバム単位で全面参加したのは本作からであった。
本作以降暫くのWeather ReportにおけるWayne Shorterのポジションは,今にして思えば微妙なところがあった。実質的なリーダーはJoe Zawinulであることは間違いないし,このアルバム以降,ジャコパスが目立ってきて,Wayne Shorterの役割は?という感がない訳でもない。しかし,サウンドとしてはWayne Shorterのサックスの音なしにWeather Reportは成り立たない訳で,バンドとしての均衡を保つ上で,Wayne Shorterが果たした役割は大きい。このアルバムではWayne Shorterはアシスタント・プロデューサーとしてクレジットされているという点からも,そうしたバランスを保つ重しのような役割を担っていたように感じてしまう。
正直言って私はWeather Reportのアルバムを聞く頻度よりは,Wayne Shorterのリーダー作,特にBlue Noteレーベル聞くかねぇの作品を聞く頻度の方が高いのはバンド・サウンドの中のWayne Shorterよりも,プレイヤー,コンポーザーとしてのWayne Shorterが聞きたいという欲求からにほかならない。そういう意味で私はいいWeather Reportの聞き手ではないのだが,それでも1983年のLive under the Skyにおける演奏には興奮させられたのも懐かしい。
それにしても,このアルバムを改めて聴いて感じたのは,Wayne Shorterのソプラノの音はまさにOne & Onlyだったなぁということだ。Joni Mitchellのアルバムにおいても,Wayne Shorterはソプラノ専門だったと言ってよいが,Joni Mitchellが求めたのは,この誰が聞いてもWayne Shorterだとわかるヴォイシングだったんだろうなぁと思ってしまった。
それでもWeather Reportというバンドは,Wayne Shorterにとって重要なバンドであったことは間違いない事実だし,改めて彼らの音源を聞いてみるかと思ってしまった私であった。さて,何から聞くかねぇ...。
Personnel: Wayne Shorter(ts, ss), Joe Zawinul(p, key, synth, g, perc, vo), Jaco Pastorius(b, mandocello, steel-ds, vo), Alex Acuña(ds, perc), Manolo Badrena(perc, vo)
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