Joe Henryの新作が超シブい。
"All the Eye Can See" Joe Henry (ear Music)
Joe Henryの新作がリリースされた。前立腺がんで闘病していたと聞いていたが,こうしてまた新作が聞けることは実に嬉しい。今回のアルバムはコロナ禍を踏まえて,Joe Henryがソロでレコーディングしたものに,さまざまなゲストがリモートで録音した演奏をアドオンしたもので,いかにもコロナ禍らしい制作過程で作られた作品。
Joe Henryについては,私はシンガーとしてもプロデューサーとしても全幅の信頼を置いていると言っても過言ではない。たまにプロデュース作品にイマイチなものもあるが,平均点は極めて高く,昨年もJoe HenryがプロデュースしたAoife O’Donovan のアルバムをベスト作の一枚に選んでいる。今回はどうか。
闘病生活の影響もあるだろうし,コロナ禍という状況により,決してチャラチャラしたところのない真摯な音楽だと言えるが,一種の寂寥感さえおぼえさせる音楽であり,その辺りは聞く人によっては何がいいのかと言いたくなるかもしれない。しかし,この制作過程を考えれば,ゲストの演奏/歌唱とのフィット感が素晴らしく,そこにプロデューサーとしてのJoe Henryの技量の素晴らしさを感じさせる。そして,多様なゲストの参加も,Joe Henryの人徳ってところか。
それにしても渋い音である。Joe Henryの音楽が私への訴求力が高いのはいつものことであるが,前作"The Gospel According to the Water"とも共通する感覚もあり,今回もやっぱり痺れてしまった。この人の作る音楽はいつもながら実に素晴らしいと改めて感じた私である。星★★★★☆。
Personnel: Joe Henry(vo, g), Jay Bellrose(ds, perc), Floriane Blancke(Celtic harp), Daphne Chen(vln), Tyler Chester(b, p, org), Keefus Ciancia(p), Rose Cousins(vo), Madison Cunningham(vo, g), Bill Frisell(g), Lisa Hannigan(vo), Levon Henry(ts, as, a-cl), Daniel Lanois(el-p, org, b, pedal-steel), The Milk Carton Kids<Joey Ryan, Kenneth Pattengale>(vo), JT Nero(vo), David Piltch(b), Marc Ribot(sitar-g), Allison Russell(vo), John Smith(g), Tony Trundle(vln), Francesco Turrisi(accor, banjo cello), Patrick Warren(p, org, key)
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