無駄遣いだと思いつつ,買ってしまったArt Pepper来日時の記録。
"The Complete Tokyo Concert 1979" Art Pepper(JVC)
無駄遣いだと思いつつ買ってしまうCDやアナログってあるのは,音楽が趣味である以上仕方ないと思っているが,これなんかたまたまネットで情報を見つけてついつい手が出てしまったものだ。
このブログにも何度か書いているが,70年代に復帰した後のArt Pepperと50年代のArt Pepperのどちらがいいかという議論はあっても,私はどちらもよいと思っているクチである。演奏のスタイルは変わったとしても,それがArt Pepperというミュージシャンの変化であって,そうした議論はあくまでも聞き手の好みの問題だから,そんな議論に私は与することをよしとはしていない。だってどっちもよいからだ。
それはさておき,1979年の来日時の演奏は"Landscape"と"Besame Mucho"という2枚のアルバムとしてリリーズ済みだったのだが,これはその2枚の音源となった東京でのライブを演奏順に4枚のに収めたもの。オリジナルで出たヴァージョンはとんでもない価格がついているサイトもあるが,私が入手したのは,昨年タワー・レコード限定でSACDハイブリッドで再リリースしたもの。これを逃せば入手は難しくなるだろうという思いもあって,ついつい発注してしまったというのが正直なところだ。
このオリジナルとなる2枚のアルバムについては聞いた記憶はないが,そこは手抜きのないArt Pepperを信じての購入である。もう一つのポイントはドラムスがBilly Higginsだってことだったが,Billy HigginsとはArtist House盤"So in Love"ぐらいしか共演がないと思えるので,これはやはり聞きたい。日頃Art PepperはCarl Burnettのようなイモ・ドラマーを使っていたので,その違いは大きいはずだからだ。
結果から言えば,やはりArt Pepper,手を抜かない。実にクォリティの高い演奏をしているではないか。どこから聞いても楽しめてしまうライブ盤である。Art Pepperにはこれより優れた演奏はある。ライブ音源で言えば,私にとってはElvin JonesとやったVanguardでの演奏が最高だという思いは変わらない。しかし,ここで聞かれる演奏でも十分レベルは高く,そこにいた聴衆は幸せだったはずだ。
私はArt Pepper最後の来日となった81年のライブを,本作と同じく芝の郵便貯金会館で聞いているが,その時の印象が甦るというところだ。本当に真摯に演奏に取り組むミュージシャンだったという思いを抱かざるをえない好盤。Tony Dumasのベースの増幅した音は好みではないが,甘いの承知で星★★★★☆としよう。尚,下に掲げたアルバムがオリジナルで出たもの。
Recorded Live at 郵便貯金会館 on July 16 & 23, 1979
Personnel: Art Pepper(as, cl), George Cables(p), Tony Dumas(b), Billy Higgins(ds)
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