久々に聞いたRick Margitzaのアルバム。
"This Is New" Rick Margitza(Blue Note)
久しぶりにこのアルバムを聞いた。これは中古でゲットしたもののはずだが,入手した国内盤の帯にはあたかもRick MargitzaとJoey Calderazzoの双頭アルバムのように書かれているが,あくまでもRick Margitzaのリーダー作である。発売元の東芝としてはRick Margitzaだけでは厳しいと思ったのかもしれない。
全9曲中,2曲がMargitzaのオリジナルである以外は,スタンダード+Ornette Colemanの"When Will the Blues Leave?"という構成だが,冒頭のタイトル・トラックからこれはなかなかいいのではないかと思わせる出だしである。だが,私の感覚は2曲目で"On Green Dolphin Street"でよからぬ方向へ向かう。はっきり言って,奇を衒ったアレンジには「若気の至り」を感じざるをえないのだ。
このアルバムを吹き込んだ当時,Rick Margitzaは30歳ちょっと手前ってところだが,既にMiles Davisとも共演していたということもあってのBlue Noteとの契約だったこともあり,相当の期待が掛けられていたはずである。逆にそれが気負いになっていると感じてしまうような,ここでのアレンジと言うべきだ。普通にはやらないんだぜって感じだろうが,実力はあるんだから普通にやればよかったのにねぇと思ってしまう。続く"Body & Soul"をピアノレスでやるぐらいに留めればいいものを,"On Green Dolphin Street"は明らかにやり過ぎかつ成功しているとは言い難い。それは私がこの曲を好きだから余計にそう思ってしまうところはあるとしても,やはり気に入らないのだ。"Just in Time"とかも軽快でいい演奏だけに,もったいなさが増幅してしまう訳だ。
同じようなことは"Invitation"にも言える。どうしてこの曲のメロディ・ラインを崩す必要があるのか?アドリブ・パートは普通にやっているのだから,テーマだって普通にやればいいのにってところだ。全曲のアレンジはRick Margitzaとなっているから,この頭でっかちさが明らかなやり口は歓迎できない。
せっかくいいソロを聞かせる場面もありながら,リスナーに違和感をもたらすようなアレンジメントを施したことが減点材料となり,星★★★☆。Bob Hurstのベース音は素晴らしいし,Jeff Wattsの煽りもいいのにもったいないねぇ。こういうのはプロデューサーのMatt Piersonがビシッと指導すべきであった。尚,Joey Calderazzoは自身のリーダー・アルバムの方がずっといいのはまぁ仕方ないな(笑)。
Recorded on May 27 & 28,1991
Personnel: Rick Margitza(ts), Joey Calderazzo(p), Bob Hurst(b), Jeff Watts(ds), Tim Hagens(tp)
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