Mompouのピアノ曲:菜種梅雨にはぴったりだった。
"Federico Mompou: Música Callada" Stephen Hough(Hyperion)
先日の菜種梅雨のような陽気で雨の日が多いと,私はついつい現代音楽に手が伸びてしまう。それは先日取り上げたArvo Pärtの「鏡の中の鏡」でも同じだったのだが,今回はMompouの「沈黙の音楽(aka ひそやかな音楽)」である。私はこの曲の演奏はECM New SeriesのHerbert Henckのものを保有しているのだから,また敢えて買う必要もないだろうと言われてしまえばその通りなのだが,別のCDとの併せ買いで購入したもの。ECMとHyperionでは随分エンジニアリングも違うだろうってこともあった。
Stephen Houghというピアニストは不勉強にして初めて聞いたが,英国ではKnightに叙せられているので,Sir Stephen Houghと呼ばねばならないな(笑)。それはさておき,Stephen Houghは90年代にMompouのアルバムをリリースしているので,約四半世紀を経てこのMompouの代表作と言われているこの4部作をレコーディングすることは,ある意味必然だったのかもしれない。
この「沈黙の音楽」はタイトル通り,静寂感に満ちた音楽であり,私はこういう音楽を聞いていると雨音とシンクロさせたくなってしまうのだ。我ながらワンパターンな思考回路だと思いつつ,そういう感覚をご理解頂ける方にご理解頂ければよい。もちろん,天候に関わりなく,こういう音楽を聞きたくなることはあるものの,コンテンポラリーなピアノ曲というのは私にとっては雨音とこそフィットするっていう感覚だ。もちろん,それは豪雨ではなく,しとしとと降る雨の音でなければならないのだが。
音楽的にどうこうとか,技巧的にどうこうとかを語る資格は私にはないが,自分が過ごす環境や時間とのマッチング度合いを考えると,これはArvo Pärtの音楽同様,私にとって精神衛生上大変良い効果を持つ音楽だと言いたい。この演奏がよかったので,90年代にStephen Houghが録音したMompouのアルバムも発注してしまった私であった。
もはや自分の嗜好へのフィット感だけでの評価となるが,こういう音楽を必要とすることがあると痛切に感じることもあって,星★★★★★だ。結局こういう音楽が好きなのだ。
Recorded on October 22-24, 2020
Personnel: Stephen Hough(p)
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