素晴らしいメンツによる北川潔のリーダー作。
米国をベースに活躍を続ける北川潔のバンド・リーダーとしては初作のはずである(リーダー作としてはこの前に"Solo"ってのが出ているようだ)。これがリリースされたのが2004年のことだが,私はラックの肥しにしてしまっていて,これまでに何度聞いたかもわからないぐらいのレベルに留まっていたのだが,久々に聞いてみたらこれが実によかった。北川潔のオリジナル4曲に,ジャズマン・オリジナルやスタンダードを6曲という構成もバランスがよいが,何よりもこのアルバムを魅力的なものにしているのがメンツ。何てたってKenny BarronにBrian Bladeであるから,そもそも悪いはずがないだろうと思ってしまう盤石の布陣だ。
冒頭の北川潔のオリジナルであるタイトル・トラックから快調そのもので,これで完全につかみはOKだろう。全編を通じて演奏はコンベンショナルそのものであるが,その後長きに渡って共演を続けるKenny Barronのフレージングも魅力的なら,Brian Bladeならこのセッティングなら絶対失敗はないよなと思わせるに十分。ベーシストのリーダー作だけに,ベース・ソロに結構なスペースが割かれているが,趣味のよいエンジニアリングによって,ベースがいい音で録れているのも好感度が高い。
ジャズマン・オリジナルではTadd DameronとWayne Shorterが2曲ずつチョイスされているが,この辺りに北川潔のジャズ的な出自を感じる。そうした中で,先日亡くなったWayne Shorterの2曲の選曲には偶然とは言えども,やはり感じるところが大きかった。
いずれにしても完璧とは言わずとも,聞きどころ十分の佳作。星★★★★。こういうのを埋もれさせてはいかんなぁ...(苦笑)。
Recorded on November 25 & 26, 2003
Personnel: 北川潔(b), Kenny Barron(p), Brian Blade(ds)
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