Brad Mehldau@東京オペラシティを振り返る:はっきり言ってピアノ・コンチェルトは失敗作だと思う。

先日の紀尾井ホールでのライブに続いて,東京オペラシティでのBrad Mehldauのライブに行ってきた。今回の注目は何と言っても,Brad Mehldauが書いたピアノ・コンチェルトの実演であった(上の写真は前日のライブの模様をネットから拝借)。
第一部はBrad Mehldauのピアノ・ソロで,紀尾井ホールでの演奏と1曲も被らないというのが嬉しかった。今回は私の座席が最前列はいいのだが,ステージに向かってかなり右側だったため,Brad Mehldauの表情も,指先もよく見えなかったのはちょっと残念だったし,演奏は紀尾井ホールで堪能してしまっていただけに,若干印象が薄れた感覚は否めない。しかし繰り出されるフレージングは実に素晴らしかった。"Resignation"とか"Come Rain Come Shine"なんかは痺れる出来だったと思う。
そして第二部がピアノ・コンチェルトだが,私はこの曲をブートレッグで既に聞いていて,その時に「クラシックのピアノ協奏曲というよりも,私には映画音楽的,あるいはそれが言い過ぎならばオーケストラを伴ったピアノ音楽という感じなのだ。それはここでの音楽が劇的な展開を示さないというところに起因すると思うのだが,私としてはコンチェルトとするならば,楽章ごとにもう少しメリハリをつけてもよかったかなと思う。」なんて書いている。今回,生で聴いたら印象も変わるかなと期待したのだが,ピアノのメロディ・ラインにも魅力が足りないし,何よりもオーケストレーションが面白くないと演奏中,ずっと思っていた。
ブートで聞いた時から私の評価は辛口だったと思うが,今回のライブを聞いて,ますますこの曲については,失敗作だという印象を強くしたのは間違いない。聴衆も聴衆で,ピアノ・コンチェルトなんだから3楽章形式だってことを理解して臨めよと思ったのは,第1楽章が終わった瞬間,一部聴衆が拍手したことも何だかなぁって感じである。それはさておき,コンチェルト終演後の拍手より,アンコールに対する拍手の方がずっと大きかったというのが実感であり,聴衆も戸惑っていたのではないかと思ってしまった。私にとっても,ピアノ・コンチェルトはBrad Mehldauに期待している音楽ではないというのが正直なところである。
だからと言って,私がBrad Mehldauのファンをやめる訳ではない。Brad Mehldauにもいい作品もあれば,そうでもないものあるという中の一つに過ぎないのであって,次なる次元へのワン・ステップだと考えることにしたい。それよりも今回は紀尾井ホールでの演奏の余韻に浸っていればいいのだ(きっぱり)。
Live at 東京オペラシティ タケミツ・メモリアル・ホール on February 6, 2023
Personnel: Brad Mehldau(p), Clark Rundell(cond), 東京フィルハーモニック交響楽団
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