当時,日野元彦の追悼の意味もあったであろう穐吉敏子のブルーノート東京でのライブ盤。
"Live at Blue Note Tokyo, '97" 穐吉敏子トリオ(Ninety-One)
97年にレコーディングされながら,2001年になって本作がリリースされたのは,主題の通り,おそらくは日野元彦追悼の意味を込めたものであったと思われる。このアルバムがFeaturing Motohiko Hinoとなっているのはそのためだろう。ドラムスのミキシング・レベルが若干高めなのもそうした意図の反映と思われる。
これだけの実力者によるトリオである。演奏は悪い訳はない。この当時,穐吉敏子はまだ古希を迎える前であり,ピアノ・タッチは相変わらず鋭い。その割に声がか細いのはのどの調子でも悪かったのかと思ってしまうが,ピアノについては"Un Poco Loco"までやってしまうのだから,そのタッチは推して知るべしである。バップ・フィーリング溢れる曲からオリジナル,スタンダードまで何でもござれであるが,私はバラッド表現も素晴らしいと思っていた。やはり大したピアニストである。それに呼応する鈴木良雄,日野元彦のリズムも見事なもので,レベルの高さを実証したものとなっている。
2曲目に入っている"Count Your Blessing Instead of Sheep"の曲名の表記が間違っているが,Irving Berlingが"White Christmas"のために書いたこういう曲を選ぶのも珍しい。更に"When You Wish upon a Star"なんて選曲は穐吉敏子っぽくないようにも感じるが,全然問題なくプレイしている。ビッグバンドではオリジナルにこだわっていた穐吉敏子だが,こういうプレイも聞き物なのだ。
もはや望むべくもない組合せのトリオ演奏に,時の流れを痛切に感じてしまった私である。星★★★★。
Recorded Live at Blue Note東京 on September 22-24, 1997
Personnel: 穐吉敏子(p), 鈴木良雄(b),日野元彦(ds)
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