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2023年2月28日 (火)

Schiffに続いて,今度はKeith Jarrettの「ゴルトベルク変奏曲」だ(笑)。

_20230225-2"J.S. Bach: Goldberg Variations" Keith Jarrett(ECM New Series)

昨日取り上げたAndrás Schiffの旧盤(Decca)のこの曲の演奏を王道と呼んだ私だが,じゃあこれはどうだったのかと取り出したのがKeith Jarrettである。つくづく私もへそ曲がりだ(苦笑)。

Keith Jarrettのクラシックへの取り組みは中途半端なものだったとは思わないし,このブログでも随分前になるが,ヘンデルの鍵盤組曲を褒めている(記事はこちら)。だが,このアルバムが異色なのはKeith Jarrettがチェンバロを弾いていることだろう。当然,Keith Jarrettならモダン・ピアノでやりそうなところをチェンバロでやってしまうところが,またKeith Jarrettのこだわりってところかもしれない。

演奏は冒頭のアリアからゆったりとしたテンポで始まるが,Keith Jarrettならもう少し自由度の高い演奏をしそうだと想像するものの,演奏は実にストレートなものと思える。これがピアノだったらどうだったのかと想像してしまうのがKeith Jarrettのファンかもしれないが,私はこれはこれでありだと思う。実に穏やかな演奏とでも言うべきもので,実に落ち着いた感覚を与えてくれると思う。

もちろん,この演奏が最高の「ゴルトベルク変奏曲」だと言うつもりはない。しかし,本作がおそらくはジャズ・ファンからもクラシック・ファンからも無視される可能性が高いということは不幸だと思う。聞いてみれば悪くないし,いい感じでエコーが掛かったチェンバロの音は魅力的に響くはずだ。そして,このレコーディングが日本で行われたことを喜びたい。

なぜ,Keith Jarrettがチェンバロ演奏にこだわったのかを今一度振り返り,バッハにストレートに対峙したKeith Jarrettのバッハ感を体験するのも一興と思う。星★★★★。

Recorded at 八ヶ岳音楽堂 in January 1989

Personnel: Keith Jarrett(harpsichord)

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2023年2月27日 (月)

「ゴルトベルク変奏曲」のSchiffの旧盤はまさに王道と言いたくなる。

Schiff-_goldberg"J.S. Bach: Goldberg Variations" András Schiff(Decca)

私はSchiffのDecca時代のバッハの12枚組ボックスを保有していて,これはその一枚なのだが,モダン・ピアノで弾く「ゴルトベルク変奏曲」の王道と言いたくなるような演奏。このDeccaのボックスに入っているアルバムは私がバッハを聞くという場合,一番プレイバック頻度が高いと思えるほど,Schiffの弾くバッハは私の好みにフィットする。

この「ゴルトベルク変奏曲」の演奏時間は72分を越えるものとなっているのは,繰り返しをフルに行っていることによるが,繰り返しのない演奏に比べて冗長に感じるかと言うと,全然そういうことがない。まぁそこは聴き手の好みによるところもあるだろうが,バッハの意図に忠実に演奏したと考えればよいだろう。

端的に言えば奇をてらったところのない端正な演奏で,個性に溢れたGlenn Gouldの演奏と比較すれば,「普通」に聞こえるところだが,GouldにはGouldのよさがあるが,SchiffにはSchiffのよさがあると思うのだ。Gouldの演奏が聴くのにも集中力を必要とするとすれば,Schiffの演奏は私にとってはもっと気楽に聞けてしまうと言ってはSchiffに失礼か。しかし,この演奏は普遍的な魅力に溢れた演奏だと思ってしまった私である。星★★★★★。

Andras Schiffは後にECMで「ゴルトベルク変奏曲」をライブ録音するが,そっちも久しく聞いていないので,改めて聴いてみることにしよう。

Recorded in December, 1982

Personnel: András Schiff(p)

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2023年2月26日 (日)

Olivia Colmanmの演技の凄さ:「エンパイア・オブ・ライト」

Empire-of-light 「エンパイア・オブ・ライト("Empire of Light")」(’22,英/米,Searchlight)

監督:Sam Mendes

出演:Olivia Colman, Michael Ward, Colin Firth, Toby Jones, Tom Brooke, Tanya Moodle, Hannah Onslow

「1917 命をかけた伝令」の記憶も新しいSam Mendesの新作とあっては観に行かない訳にはいかない。ということで,早速この映画を観てきた。舞台は1980年~81年の映画館が中心となっており,当時の映画,あるいは映画館へのオマージュを示しながら,心を病むヒロインとそれを取り巻く人間を描くドラマである。

そうした映画界を背景にした作品だけに,映画好きにとっては引用される映画の数々等,懐かしくなること必定であるが,それよりも何よりもOlivia Colmanである。私が観る彼女の映画は「女王陛下のお気に入り」,「ファーザー」に続いて3本目になるはずだが,前述の2本でも強烈だった彼女の演技力はここでも健在であり,Olivia Colmanの演技を見るだけでもこの映画は価値があると言ってよいと思う。

一方,詳しくはネタバレになるから書かないが,この映画に出てくる悪人はその他大勢がほとんどで,Olivia Colman演じるHilaryを取り巻く人々は基本的に善人ばかりである。そうした人物像の対比によりメッセージ性を打ち出そうという意図はわかるが,ややストーリー展開を性急に運び過ぎた感じがするのはちょっと惜しい気がした。この映画ではSam Mendesが脚本も兼ねているが,優秀なシナリオ・ライターならば,違った感覚になりそうな気がした。

それでもやはりここはOlivia Colmanである。こういう演技を見せられると,演技というのはどういうものかということを改めて感じさせる。ということで,星★★★★。

尚,映画の時代背景を反映して,出てくる音楽には懐かしさがこみ上げていた私であった。歳だな(爆)。

2023年2月25日 (土)

父の遺品から今日は"For Musicians Only"。

For-musicians-only"For Musicians Only" Dizzy Gillespie / Stan Getz / Sonny Stitt(Verve)

後のPabloレーベルでもいろいろなミュージシャンのセッション・アルバムを制作したNorman Granzであるが,Verve時代にもそういう感じのアルバムがあった。と言うよりJ.A.T.P.からそうだったと言えばその通りだが,所謂オールスター・ジャムのアルバムである。

そもそもこのアルバムは父の遺品の一枚なのだが,晩年になってジャズに目覚めた父に,私が見繕ってCDを3枚贈るのが恒例になっていて,多分はこれはその一枚だったように記憶する。父が世を去って20年以上が経過した今,私の記憶も曖昧になる訳だ(苦笑)。

それはさておき,Charlie Parker直系と言ってよいSonny StittがDizzy Gillespieと共演するのはわかるが,そこに加わるのがStan Getzというのは意外と言えば意外な組み合わせ。そうは言っても,"Diz & Getz"のようなアルバムもあるので,これが初共演という訳ではないが...。

まぁ,これだけの実力者の集まりによるジャム・セッションなので,おかしなことにはならない。フロント3人による名人芸を楽しめばというのが正直なところで,アルバムとしての深みのようなものを求めるべきではない。アルバムの性格からして,フロント3人に比べると,バックの面々はソロ・スペースも限定的なのは,メンツからすればもったいないような気もするが,まぁこの手のアルバムでは仕方がないところだろう。

50年代ジャズの雰囲気を味わうにはいいかなぁと思えるが,アルバムとして基本的にアップ・テンポ主体なのは仕方ないとしても,折角ならバラッドを1曲ぐらい入れてもよかったんじゃない?と言いたくなる私である。まぁ,”Lover Come Back to Me"のテーマ部分で,Dizzy Gillespieはゆったり吹いているとは言え,Stan GetzとSonny Stittのソロはまた速くなってしまうしねぇ...。それでもジャズの王道みたいな雰囲気で半星オマケで星★★★★。このテンポを支えるRay Brownはさぞ大変だったろうなぁ(笑)。

Recorded on October 16, 1956

Personnel: Dizzy Gillespie(tp), Stan Getz(ts), Sonny Stitt(as), Joh Lewis(p), Herb Ellis(g), Ray Brown(b), Stan Levey(ds)

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2023年2月24日 (金)

オリジナル・メンバーを加えて一時期復活した10CCのアルバムを聞く。

_20230223"...Meanwhile" 10CC(Polydor)

今でも現役でライブを続ける10CCではあるが,オリジナル・メンバーで残っているのはGraham Gouldmanだけという片翼飛行みたいな状態と言ってもよい。しかし,私が最後に彼らのライブを観た時には,まだまだ現役感たっぷりで十分楽しんだのも懐かしい。それももはや8年以上前のことになるというのが恐ろしい。そんな彼らは現在もライブ活動を続けていて,2023年のツアー・スケジュールもWebサイトに掲載されている。

それはさておき,このアルバムは一旦解散した10CCがオリジナル・メンバーを交えて一時期復活した時のアルバムで,Gedley & Cremeチームもゲスト扱いながら,4人が揃ったかたちでのアルバムということで話題になったのも懐かしいが,それももはや30年以上前になってしまった。

本作はSteely Danでお馴染みのGary Katzがプロデュースというのも注目されたが,Steely Danのようにスタジオ・レコーディングを粋を尽くすと言うよりも,良質なミュージシャンを集結させ,10CCの生み出すポップな音楽を奏でるって感じか。ドラムスは全編Jeff Porccaroが叩いているし,ベースはFreddie Washingtonに任せている。更にはDr. Johnが3曲でピアノを弾いているというのも意外と言えば意外な取り合わせって気がする。

曲はそこそこの佳曲が揃っているのだが,決定的な印象を与える曲に欠けるという印象は否めない。そうは言っても,ポップ職人としてのEric StewartとGraham Gouldmanの技量は衰えていないというところではある。私のようなロートルは昔のアルバムを聞いていればええわっていう話もあるが,それでもこれはこれで楽しめばいいのではないか。星★★★★。

このアルバムのライナーには,1曲でKevin Godleyがリード・ヴォーカルを取る以外はEric Stewartがリード・ヴォーカルを務めると書いてあるが,若干疑わしいところはあるものの,Eric Stewartはミキシングにも関わっているところを見ると,Eric Stewart主導でのプロジェクトだったのではないかと思わせるが,今やEric Stewartは10CCと完全決別になってしまったようなのはちょっと惜しい気がする。

Personnel: Eric Stewart(vo, p, el-p, g), Graham Gouldman(g, vo), Kevin Godley(vo), Lol Creme(vo), Mac Rebeback(p), David Paich(org, synth), Paul Griffin(synth), Michael Landau(g), Gordon Gaines(g), Andrew Gold(g), Freddie Washington(b), Jeff Porcaro(ds), Bashiri Johnson(perc), Frank Floyd(vo), Fonzi Thornton(vo), Curtis King(vo), Tawatha Agee(vo), Vaneese Thomas(vo), Jerry Hay(tp), Gary Grant(tp), Bill Reichenbach(tb), Dan Higgins(sax), Kim Hatchcraft(sax) 

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2023年2月23日 (木)

中年音楽狂の沖縄観光記。

Churaumi
Nakijin

先日から休暇を取って,沖縄に行ってきた。主たる目的はゴルフだったのだが,そこは欲張る観光客ということで,到着した日には美ら海水族館に行き,二日目はゴルフが午後からだったので,観光はなしにしたが,三日目は午前中からのゴルフの後に,世界遺産,今帰仁城跡を訪れた。最終日は午前中からゴルフの後に,イオン那覇でお土産の買い出しという非常に忙しい行程であった。本当なら最終日は沖縄のパワー・スポット,斎場御嶽に行こうかと思ったのだが,時間的に無理ってことで,それは諦めたのであった。

Hikanzakura 私にとっては美ら海水族館は初,今帰仁城跡は二度目の訪問となったが,まぁ,観光の王道ってところだ。iPhoneで振り返ると,今帰仁城跡に前回行ったのは2009年1月まで遡る。その時は仕事の合間を縫って訪れたので,全体像を把握することなく,ちょこっと寄っただけという感じだったが,今回は入場料も払って見て回って,そのスケールを体感したのであった。前回訪れたのがもう14年前とは実に恐ろしいが,時の経つのは実に早いと思ってしまった。前回は1月末だったので,緋寒桜がほぼ満開の頃だったのも思い出したので,その写真もアップしておこう。今回はほぼ散ってしまっていたので,それは少し残念だったが,まぁ仕方あるまい。

ということで,東京に戻ってきて,バテバテであるが,さっさと社会復帰を図ることにしよう。

2023年2月22日 (水)

先日,NHKで高橋幸宏の特番を見て,YMOのベスト盤を取り出す。

Uc-ymo"UC" YMO(Sony)

先日,NHKで亡くなった高橋幸宏を特集した番組を放送していて,サディスティック・ミカ・バンドの映像とかも面白く見たのだが,やはりYMOの映像が一番多かったこともあり,そう言えば,このアルバムを持っていたなぁと思って久しぶりに取り出した。

正直言って,私はYMOには思い入れはなく,保有しているのもこのベスト盤と,渡辺香津美のギターが聴きたくて買った"Faker Holic"だけである。しかし,番組を見ていて,高橋幸宏のドラミングってのは重量感はないのだが,そのリズムの刻みの心地よさってのがあったって感じていた私である。

改めて聞いてみて,私の耳に馴染みがあるのは前期の曲だったなぁと思ってしまうが,「君に,胸キュン。」や「過激な淑女」のような後期の松本隆とのコラボはテクノ歌謡的な楽しみもあったし,このバンドの持っていた適度なポップさというのは,高橋幸宏のドラミングの貢献度も大きいように感じてしまった。

高橋幸宏の訃報に伴う聞き直しみたいになってしまったが,やはり一時代を築いたバンドだったなぁと思った次第。高橋幸宏は70歳だったということで,まだまだ活躍できる年齢であったと改めて思う。

R.I.P.

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2023年2月21日 (火)

出自がよくわからないHarris Simonの"New York Connection"だが,Michael Breckerのソロは聞き物。

New-york-connection_20230218000701 "New York Connection" Harris Simon Group(Overseas)

このアルバムの制作経緯はよくわからないのだが,米国でレコーディングされたものが,初出は日本だったようにも思える作品である。時は1980年なので,まぁフュージョン全盛の時代と言ってもよいので,当時,全く名の通っていなかったHarris Simonと言えども,参加ミュージシャンのクレジットによって,日本のレーベルにライセンスされたって感じなのかもしれない。

レコーディングされたのは1978年で,当時Harris Simonは22歳ぐらいだったはずだが,そもそもHarris Simonって誰?ってのが実態だったようである。これは日本でもそうだし,本国でも変わらないみたいだ。その後のHarris Simonのキャリアもよくわからないのだが,現在はヴァージニア州のWilliam & Maryで教鞭を執っているようだ。しかし,日本では本作とこの次の"Swish"がリリースされて,一部では話題になったと記憶している。私が保有しているのは今はクローズしてしまった高田馬場のマイルストーンで"Swish"ともども中古で入手したものだが,お手頃価格と懐かしさで購入したようなものだ。

このアルバムの演奏は,ラテン風味も若干ありながらも,スピーディなフュージョンと,やや主流派に近い演奏が含まれていて,なかなか面白いアルバムだったと思える。Harris Simonはピアノ,キーボードに加え,ハーモニカも結構達者なところを聞かせて,当時としては期待できる若手だったと思わせるが,それでもこのアルバムで一番痺れるのはMichael Breckerのソロかもしれない。しかし,その他の助演者も好演していて,今更ながらけっこう楽しんでしまった。ギターのBill Washerは中村照夫のプロデュースでリーダー作も出したことがあるようだが,現在はBroadway等で活動を続けている模様。Joe Farrellは1曲のみの参加だが,可もなく不可もなし。

まぁ,こういうサウンドは時代の徒花と言ってしまえばその通りかもしれないが,無視するには惜しいってところ。ちょいと甘いと思いつつ星★★★★。尚,本作は後に別ジャケットで再発されている。

Recorded between March and June, 1978

Personnel: Harris Simon(p, el-p, key, hca), Bill Washer(g), Mike Richmond(b), Michael Brecker(ts), Claudio Roditti(tp), Joe Farrell(fl), Brian Blake(ds, perc), Portinho(perc), Rubens Bassini(perc), Lani Groves(vo), Vocal Jazz Incorporated(vo)

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2023年2月20日 (月)

更にBurt Bacharachを偲んで,Deacon BlueによるBacharach/David集のEPを。

Deacon-blue-bacharach-david "Four Bacharach David Songs" Deacon Blue(CBS)

Burt Bacharachが亡くなったことによる喪失感は,筒美京平が亡くなった時に近いものを感じている私である。いろいろな人がやっている演奏を聞きたくなってしまうのだが,これは私が贔屓にするDeacon Blueが1990年にリリースした4曲入りのEPである。私が保有しているのは45rpmの12インチ盤だが,このEPの存在を知ったのは随分後になってのことであった。しかし,Deacon BlueがBacharachナンバーをやっていると知っては手に入れない訳にはいかない(笑)。

収録されているのはわずか4曲,演奏時間にして14分足らずではあるが,Deacon Blueのポップな部分と,Bacharach/Davidの書いた曲の相性がよいとつくづく感じさせられる。Deacon Blueとしても,妙に手を加えず,曲のよさで勝負したってところだろう。収録されているのは次の4曲:

  1. "I'll Never Fall in Love Again"
  2. "The Look of Love"
  3. "Are You There (With Another Girl?)"
  4. "Message to Michael"

どうせならもっとやってもらってもよかったって気もするが,これぐらが丁度いいっていう話もある。やはりいい曲が揃っていたし,それをDeacon Blueがやったというところには大きな意義があって,これは彼らのシングルでは一番売れたものとなったらしいというのも頷ける話である。当時のバンドのパワーと,曲の魅力が相まって生まれたナイスなEPであった。

中古であれば,入手は難しくないので,ご関心のある方はCDでも12インチでもどうぞ。

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2023年2月19日 (日)

Rachael Yamagataのアナログ盤をようやく入手。

Heartache-moon "Heartache Moon" Rachael Yamagata(Frankenfish)

最近は音源のリリースも滞っているRacheal Yamagataであるが,なぜか韓国では結構人気があるらしく,このアナログも韓国で初版がリリースされたものの,あっという間に売り切れてしまった。それがようやく追加プレスされたらしく,それを入手したものである。

私はRachael Yamagataは彼女のデビュー以来,相当に好きなミュージシャンとして,クラウド・ファンディングも含めて,彼女の活動も支えてきたつもりである。しかし,昨今のRachael Yamagtaは韓国とのつながりは結構強いにもかかわらず,日本をスルーしてしまうように見えてしまっているのも事実で,このアルバムについても,当初は入手できずに臍を噛む想いをしたのであった。

それがようやく入手できるようになったのは実にめでたいが,Racheal Yamagata自身の選曲による全8曲は全て既発音源からで,未発表曲は入っていない。そうは言っても,媒体としてはなかなか入手が難しい音源も含まれている。私はこれらの音源も全て保有していたが,私のようなファンはこうしたアルバムも保有することに意義があるということである(きっぱり)。

私としてはこうしたアルバムを出すことも否定しないが,アルバムとしては"Tightrope Walker"が出たのが2016年,EPの"Porch Song"が出たのが2018年に遡ってしまうのは,やはり残念と言わざるをえない。非常に魅力的な曲を書き,魅力的な声で歌う彼女のような歌手にもう少し光が当たるようにしたいものだ。

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2023年2月18日 (土)

改めてBurt Bacharackを偲んで,Dionne WarwickによるBacharach / David集を。

Dionne-warwick_20230214180601 "Sings the Bacharach David Songbook" Dionne Warwick(Music Club)

先日亡くなったBurt Bacharachを偲んで,このアルバムを聞いた。Dionne WarwickとBurt Bacharachはまさに名コンビと言うべき間柄であり,Dionne Warwickの初シングル"Don’t Make Me Over"からして,Bacharachナンバー,初のトップ10ヒットとなった"Anyone Who Had a Heart"もBacharachナンバー,そして,その後もヒットを連発ということで,まさにこのコンピレーションを聞いていると,ポピュラー音楽の王道みたいな感じがしてしまう。そんな名コンビだけに,この手の「Bacharachを歌う」的なコンピレーションは何種類かあるようだが,どれを選んでも失敗はないと思う。

いずれにしても,ここに収められた曲を聞いていると,実に懐かしくもあるのだが,曲のよさは不滅だなぁと感じてしまう。私のようなロートルでも,ついついカラオケでも歌いたくなってしまうような曲ばかりである。改めてBurt Bacharachの業績に思いを馳せた私であった。

94歳の大往生ではあったが,世界はまた一人素晴らしい音楽家を失ってしまった。

改めてではあるが,R.I.P.

2023年2月17日 (金)

今更ながらのMonk~GriffinのFive Spot完全版。

_20230211-3"Complete Live at the Five Spot 1958" Thelonious Monk Quartet Featuring Johnny Griffin(Esseential Jazz Classics)

Thelonious MonkとJohnny Griffinが共演したFive Spotでのライブ盤2枚,"In Action"と"Misterioso"はMonkファンのみならず,ジャズ・ファンから愛されてきたアルバムだったと思う。私はジャズ喫茶とかでは聞いていたが,アルバムとして登場したのが出会ったのがこの2枚組である。

このアルバムは前述の2枚のアルバムに加え,その録音に先立つこと約1か月のJohnny Griffin入りの同じくFive Spotでのライブ音源を集成したもので,これは丁度いいわってことで購入したもの。本作は以前からリリースされていたようだが,今回私が入手したアルバムには新しいライナー・ノートが付いていて,それにオリジナルのライナーも付くというなかなか良心的な編集方針である。

改めて聴いてみると,Johnny GriffinとMonkの相性は結構よかったなと思ってしまったが,癖のあるMonkの曲をばっちり吹いてしまうところが実力のあるミュージシャンの「仕事」ってことなのかもしれない。

元々の"In Action"と"Misterioso"が1958年8月7日録音で,本作に追加されているのは同年7月9日の演奏なのだが,ライナーによれば,Monkが出来に難色を示したので,もう1回のセッションが行われたということらしい。だが,こっちのセッションの最後の曲には,Roy Haynesに代わって,観に来ていたらしいArt Blakeyがシット・インするという瞬間も捉えられており,これはこれで結構貴重ってことになるだろう。そうは言っても,これもCDのボートラとして知られた既発音源なので,既に7月9日の演奏を聞いたことがあれば,改めてこのCDを購入する必要はないが,私のように今まで保有していなかったような人間にとっては渡りに船のようなアルバム。星★★★★★。まぁ最後の2月25日のスタジオ録音,"Coming on the Hudson"はあってもなくてもって感じだが(苦笑)。

In-action 余談ながら,オリジナルの"In Action"のジャケは強烈にジャズを感じさせるナイスなデザインだと思うので,画像を貼り付けておこう。

Recorded Live at Five Spot Cafe on August 7 and July 9, 1958 and on February 25, 1958

Personnel: Thelonious Monk(p), Johnny Griffin(ts), Ahmed-Abdul Malik(b), Roy Haynes(ds), Art Blakey(ds), Donald Byrd(tp), Pepper Adams(bs), Wilbur Ware(b), Philly Joe Jones(ds)

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2023年2月16日 (木)

音量を上げて森山威男のビートを浴びたい「マナ」

_20230211-2"Mana" 森山威男(徳間ジャパン)

これは激しい。本作にはスロー・ナンバー中心の「虹の彼方に」という姉妹編があるが,それとは全く趣を異にする爆裂音楽と言ってよい。とにかく冒頭から森山威男の激しいパルスにフロント陣が激しいソロで応えるって感じの音楽で,ついついボリューム・ノブを右に回してしまった私である。

今から30年近く前の音源であるが,冒頭の板橋文夫のオリジナル"Sunrise"から,そんな時の流れなど全く影響しないとでも言いたくなる爆発的なエネルギーを放出している。聴衆の興奮も当然と言いたくなるような演奏には,ついついこっちも反応しちまうぜ!ってところだ。

聞く人によっては,うるさいだけの音楽だとなるかもしれないところだが,この高い興奮度を招く演奏から得られるカタルシスってものがあって,私はこの音源を聞いて燃えに燃えたのであった。こんな演奏をしてしまっては燃え尽き症候群に陥っても仕方ないと言える演奏。この激しさを受け入れられるリスナーにとっては,これ以上の満足度はなかなか得られないと言ってよいアルバム。入手が必ずしも容易でないというのはもったいない。星★★★★★。

Recorded Live on April 24, 1994

Personnel: 森山威男(ds), 井上淑彦(ts, ss), 林栄一(as), 板橋文夫(p), 吉野弘志(b)

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2023年2月15日 (水)

実に懐かしいLisa Loebの"Tails"。

_20230208 "Tails" Lisa Loeb & Nine Stories(Geffen)

久しぶりにこのアルバムをプレイバックした。90年代の半ばに突然登場したLisa Loebであるが,私が保有しているのはこのアルバムと,本作からの最初のシングル・カット"Do You Sleep"だけなのだが,このシングルを何で買ったのかの記憶がはっきりしない。シングルに収録されている未発表曲である"Birds"を聞きたくて買ったとすれば,相当このアルバムに入れ込んでいたことになるが,それもなぜかの記憶が全くない。

いずれにしても,本作を聞いたのは実に久しぶりのことだったのだが,ポップでありながら,フォーク・ロック的な響きを持ち合わせるLisa Loebの音は私にフィットしたものだったと思える。声はかなりキュートと言ってもいいので,ちょっとBanglesを想起させる部分もあると言えばよいだろうか。そして,Lisa Loebの書く曲は結構魅力的で,なかなかの佳曲が揃っている。

そもそも彼女がブレークしたのは,映画「リアリティ・バイツ」に収録された"Stay"が全米ナンバーワンを獲得したことによるものだが,その時はまだGeffenと契約前で,その成功を受けてGeffenと契約し,このアルバムが制作されたということである。その後は子供向けのアルバムをリリースしてグラミーも獲ったり,TV/映画出演なんかもして,このアルバム当時とは活動の軸足が変わってきているというところか。

_20230211 だが,このデビュー・アルバム自体は出た当時は結構新鮮で,よく聞いた記憶が甦る。今聞いても,その魅力はそれほど衰えていないのは立派。星★★★★。

ところで全く関係ないが,Lisa Loebと言えばメガネである。Lisa Loeb Eyewearというブランドで販売もしていたが,今でもそのブランドは健在のようだ。アンジェラ・アキのメガネはLisa Loebの影響だったのかなぁ?(笑) そんな訳ないか。

Personnel: Lisa Loeb(vo, g), Tim Bright(g), Jonathan Feinberg(ds, perc, g), Joe Quigley(b), Juan Patiño(vo, p), Dan Seiden(g), Jesse Harris (g), Eric Gaenslen(cello), Jennifer Frautschi(vln), Joseph Lin(vln), Daniel Littleton(g), Elizabeth Mitchell(vo), Steve Forman(perc)

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2023年2月14日 (火)

久しぶりに笠井紀美子の”Butterfly”を聞いた。

_20230207 "Butterfly" 笠井紀美子(CBSソニー)

以前からこのアルバムは単体でも保有していたと記憶しているが,現在ではHerbie HancockのCBSボックスの一枚として収まっている。私がこのアルバムを元々購入した理由はHerbie Hancockにあることは言うまでもない(きっぱり)が,当時のHerbie Hancockのワーキング・バンド(同じメンバーで来日した時に吹き込んだのが"Direct Step"である)をバックにした笠井紀美子の歌がどうなるかにも興味があった。

結論から言えば,悪くない。しかし,冒頭の"I Thought It Was You"のノリが強烈過ぎて,ほかの曲がかすむというぐらいインパクトが強い出だしであった。何と言っても,ここでのHerbie Hancockのヴォコーダーと笠井紀美子の掛け合いがこのアルバムのハイライトだったと言ってよい。

このアルバムはHerbie Hancockのオリジナルを中心に,どういう出自の曲かよくわからない"Head in the Clouds"に,Stevie Wonderの"As"が加わる。この"Head in the Clouds"の作者であるDiana GrasselliとMarsha Malanetで検索しても,このアルバムしかヒットしないという珍しい曲で,当時のアニメの主題歌みたいな曲調と言っては言い過ぎか。"As"の本家にはHerbie Hancockも参加していたが,それに比べると,これはう~むとなってしまう程度の出来なのは痛い。

Herbie Hancockのオリジナルに関しても,"Maiden Voyage"みたいな選曲はどうなのよ?って言いたくなるところがあって,私としては"I Thought It Was You"の路線で押せばよかったのにと思えてしまうのだ。しかし,一方で"The Piano"で初演された"Harvest Time"をHancockのピアノとしっとりデュエットでやるというのもなかなかいいと思ってしまうが,これは曲の勝利か。その後の"Sunlight"との落差には笑ってしまうが。

いずれにしても,バックの演奏との相乗効果もあって,そこそこ楽しめるのは事実なので,星★★★★。そしてやっぱりPaul Jacksonのベースは強烈。尚,アルバムのクレジットではレコーディングは79年10月となっているが,79年に来日したかどうかはっきりしないものの,これは78年の来日時だと思うがどうだろう。

Recorded in October, 1979

Personnel: 笠井紀美子(vo), Herbie Hancock(p, key, synth, vocoder), Bennie Maupin(ss, ts), Ray Obiedo(g), Webster Lewis(p, key, org), Paul Jackson(b), Alphonso Mouzon(ds), Bill Summers(perc)

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2023年2月13日 (月)

舞台設定の時代を考えれば,かなりお下劣な「バビロン」。

Babylon「バビロン("Babylon")」(’22,米,Paramaount)

監督:Damien Chazelle

出演:Brad Pitt, Margot Robbie, Diego Calva, Jovan Adepo, Jean Smart, Li Ju Li, Tobey Maguire

映画がサイレントからトーキーへの変化を遂げる時代を描いた作品では「雨に唄えば」があった。この映画にも「雨に唄えば」が登場するが,同じような時代を描いているのだが,作品としてははるかにお下劣というか,この映画に出てくるパーティ・アニマルが実在していたとすれば,狂っているとしか思えないという感じのシーンが続いて,この無茶苦茶感にはいきなり辟易としてしまった。

監督のDamien Chazelleは「ラ・ラ・ランド」では古き佳き時代のミュージカル映画にオマージュを捧げたって感じだったが,この映画では更に遡った1920年代後半から1930年代前半の映画界へのオマージュのはずが,より強烈な映像,あるいは表現で描いたって感じである。しかし,出てくる役者のセリフは往時のものとは言えない,現代語のスラング炸裂って感じなので,そのあたりは違和感に近い不思議な感触を与える。

それぞれの登場人物の背景も示しながら,映画界における変化を描くこと自体には,私は異論はないし,役者はそれぞれ好演しているので,それなりに楽しめる。だが,この映画に3時間9分という上映時間が必要だったかと言えば,そうではないと思う。もっとコンパクトに描いてもいいだろうし,明らかに冗長なシーンもある。また,登場人物をもう少し整理してもよかったというのが正直なところだ。これはシナリオの欠陥と言われても仕方がない。

Damien Chazelleは往時の状況を野心的に描いたつもりだろうが,はっきり言って,エロ・グロもここまで行くとやり過ぎ,行き過ぎ感があるのも否めないってところだ。確実にこの映画を嫌いだという人も出てくるであろう作品であった。オスカー・ノミネートで主要部門で無視されるのも理解できる。その後の映画界へのオマージュ感は最後になって認められるが,私としては星★★★が精一杯。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2023年2月12日 (日)

Brad Mehldauの新作が届く。ほぼBeatlesで固めているので,紀尾井ホールでのライブの感覚とは異なる。

_20230210 "Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays the Beatles" Brad Mehldau(Nonesuch)

先日の紀尾井ホールでのライブの素晴らしさも記憶に新しいBrad Mehldauの新作である。今回,ほぼBeatles集という告知が成されていたので,ライブにおいても,Beatlesのナンバーは演奏されていたが,その新作がデリバリーされたので,早速聴いた。

新作とは言え,私は以前,本作に関し,収録された演奏が既にブートレッグで聞けてしまっていたので,オフィシャル・ブートレッグか?と書いた(記事はこちら)。ついでに言えば,ブートに関しても記事化している(記事はこちら。私が聞いたブートは,9月19日と20日の2日間のうち,19日はオーディエンス録音,20日がサウンドボードだったが,本作は両日からのベスト・テイクが選ばれている模様なので,そこは存在意義は異なるし,そもそもBrad Mehldau公式音源のコンプリートを目指す私としては無条件購入なのだ。

まぁ,私としては既に聞いてしまっている音源なので,新味や驚きはない。ここは改めて演奏に集中して聞くということが必要になる訳だ。

今回はBeatlesの曲を中心とした編集になっているが,実はこの時の演奏では,ほかにもBeach BoysやZombies,更にはBilly Joelの曲を演奏している。それらの名前はこのアルバムのBrad Mehldau本人のライナーにも登場していて,"Jacob’s Ladder"で聞かれたプログレ愛に加えて,こうしたポップ・フィールドのミュージシャンにも影響を受けていることが明らかになっている。そのほかにもロック界で言えばNeil YoungやRadiohead,更にはNirvanaやSoundgarden等のグランジ系のミュージシャンの曲も取り上げてきたのは,既によく知られたことである。この間口の広さがあって,それを吸収,消化してBrad Mehldauの音楽に仕立てるところがこの人の凄いところなのだ。

私としては,紀尾井ホールでのライブのように,Beatlesの曲にこだわらない選曲こそが,Brad Mehldauのライブの本質だと思っており,受ける感慨も若干異なると改めて感じたが,ここでの演奏が決して悪いということではないことは,ブートで初めて聞いた時,私は「パリの聴衆に嫉妬する」と書いていることからも明らかだ。

だが,改めて聴いてみると,全ての曲がBrad Mehldau向きだったかと言うとそうでもないような気がする。私が最も違和感を覚えるのは"I Saw Her Standing There"なのだが,このストレートなロックン・ロール的なノリは,Brad Mehldauに合っているとはどうしても思えないのだ。また,曲調の影響も大きいが,"Maxwell's Silver Hammer"もBrad Mehldau向きではなかろう。最後をDavid Bowieの"Life on Mars?"の美しくも痺れるような演奏で締めるなら,ここはBeatlesにこだわるよりも,紀尾井ホール的なバランスでの選曲の方がよかったようにも思えるのだ。プロデュースとしては,Beatles集という方がコンセプトが明確なのはわかるが,逆にそれでBrad Mehldauのピアノの魅力の発露が限定的になったようにも感じられるところがある。

それほど,紀尾井ホールでのライブが素晴らしいと思えたことの裏返しなのだが,それでもやはりBrad Mehldauの左手の強力さが強く感じられるのは紀尾井ホールの時と同様。いくつかの曲でミスタッチもあるのだが,それも含めて収録してしまうところも潔い。星★★★★☆。この時の演奏の全貌を知るためにはブートを聞く必要はあるが,普通の人にはこれで十分だろうな。

Recorded at Philharmonie de Paris on September 19 & 20, 2020

Personnel: Brad Mehldau(p)

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2023年2月11日 (土)

追悼,Burt Bacharach。

Burt-bacharach-2

Burt Bacharachの訃報に接して,この人の残した足跡の偉大さを改めて痛切に感じている。近々,Elvis Costelloとの共演を集成したアルバムが出る予定だったはずだが,それが追悼盤となってしまうとは何とも悲しい。

亡くなったことを知り,改めて"The Burt Bacharach Collection"を聞いているのだが,この3枚組のコンピレーションを聞いても素晴らしい曲ばかりで,ポピュラー音楽界に残したレガシーは不滅だと改めて感じざるをえなかった。先日,Herb Alpertのアルバムを取り上げた時には,特に触れなかったとは言え,そこには"The Guy’s in Love with You"と"Casino Royale"のBacharachナンバーが入っていたのは,何かの偶然かって気がしてしまう。

いずれにしても,Burt Bacharachが生み出した名曲の数々は,時代を越えて今でも訴求力十分という感じで私に迫ってきた。こんな人はもう出てこないだろうと思わされるだけに,喪失感があまりに大きい。しかし,改めてその業績の大きさを偲びつつ,今一度Burt Bacharachの音楽の魅力に触れたいと思った私である。

そして,私にとってKing of Popの称号はMichael Jacksonではなく,Burt Bacharachにこそ相応しいと言っておきたい。94歳の大往生だったとは言え,私たちはまた偉大な音楽家を失った。悲しい。つくづく悲しい...。

R.I.P.

2023年2月10日 (金)

当時,日野元彦の追悼の意味もあったであろう穐吉敏子のブルーノート東京でのライブ盤。

_20230203 "Live at Blue Note Tokyo, '97" 穐吉敏子トリオ(Ninety-One)

97年にレコーディングされながら,2001年になって本作がリリースされたのは,主題の通り,おそらくは日野元彦追悼の意味を込めたものであったと思われる。このアルバムがFeaturing Motohiko Hinoとなっているのはそのためだろう。ドラムスのミキシング・レベルが若干高めなのもそうした意図の反映と思われる。

これだけの実力者によるトリオである。演奏は悪い訳はない。この当時,穐吉敏子はまだ古希を迎える前であり,ピアノ・タッチは相変わらず鋭い。その割に声がか細いのはのどの調子でも悪かったのかと思ってしまうが,ピアノについては"Un Poco Loco"までやってしまうのだから,そのタッチは推して知るべしである。バップ・フィーリング溢れる曲からオリジナル,スタンダードまで何でもござれであるが,私はバラッド表現も素晴らしいと思っていた。やはり大したピアニストである。それに呼応する鈴木良雄,日野元彦のリズムも見事なもので,レベルの高さを実証したものとなっている。

2曲目に入っている"Count Your Blessing Instead of Sheep"の曲名の表記が間違っているが,Irving Berlingが"White Christmas"のために書いたこういう曲を選ぶのも珍しい。更に"When You Wish upon a Star"なんて選曲は穐吉敏子っぽくないようにも感じるが,全然問題なくプレイしている。ビッグバンドではオリジナルにこだわっていた穐吉敏子だが,こういうプレイも聞き物なのだ。

もはや望むべくもない組合せのトリオ演奏に,時の流れを痛切に感じてしまった私である。星★★★★。

Recorded Live at Blue Note東京 on September 22-24, 1997

Personnel: 穐吉敏子(p), 鈴木良雄(b),日野元彦(ds)

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2023年2月 9日 (木)

Herb Alpertのベスト盤:"Bitter Sweet Samba"が入らないってのが日本との事情の違いか。

_20230203-2"Definitive Hits" Herb Alpert(A&M)

これは2001年にリリースされたHerb Alpertのベスト盤。全20曲中13曲がHerb Alpert & the Tijuana Brass,そのほかがソロ名義から構成されたキャリア総括盤。Herb Alpertと言えば,日本で一番有名なのは「オールナイトニッポン」のテーマ曲である"Bittersweet Samba"だろうが,ここには収録されていないってのが,本国との事情の違いを感じさせる。

それでも,Tijuana Brassとの曲にはどこかで聞いたことがある感じが強い。TVやラジオの番組で盛んに掛かっていた記憶がある。ここでのTijuana Brassとの演奏は67年の"Casino Royale"が最後だ。この曲は映画で観た時に聞いていたこともあるが,時は私が小学校に入る頃のことで,Tijuana Brassについては子供心に聞いた記憶が原体験として呼び起こされるだろうし,その後の生活において"A Taste of Honey"や"Spanish Flea",あるいは"So What’s New?"のような曲はしょっちゅう聞いていたはずだ。誰が演奏しているか知らなくても,曲は知っているというあの感じ(笑)である。

Nat Adderleyの"Work Song"なんかもやっているが,全然Adderleyの演奏とは違う軽さが面白いっていうか,それがTijuana Brassだよなぁってところだ。

そこから一気にこのアルバムでは79年の"Rise"まで飛んでしまうが,この辺は私が高校生の頃なので,同時代感がたっぷりってところだ。シングルの"Rise"は確かチャートのトップになったはずで,突然のヒットに驚いた記憶がある。82年の"Fandango"のタイトル・トラックや,同作収録の"Route 101"は何かのCMに使われていたように思う。そして最後の3曲なんてJam & Lewisプロデュースというのにはびっくりしてしまう。これぞ新しいものを取り入れる進取の精神ってところだろう。"Diamonds"にはJanet Jacksonまで参加しているしなぁ。

いずれにしても,長年の活動の中で,第一線の活躍を続けてきたというのは凄いことだが,本人のミュージシャンとしての活動だけでなくA&Mレーベルを立ち上げて,多くのミュージシャンを世に出した功績も大きい人だと思う。なんだか聞いていて懐かしくなってしまった一枚であった。

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2023年2月 8日 (水)

追悼,Butch Miles。

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Butch Milesが亡くなった。多くの人にとっては誰?ってなるかもしれないが,Mel Torméとの共演や,Count Basieのバンドでも演奏したドラマーである。肺の病気を患っていたようで,肺の移植手術を受けて療養中だったらしいが,去る2/2に亡くなった。既にButch Milesも78歳だったというのが信じ難いが,ということは自分もそれだけ歳を取ったってことだ。それはさておき,この人のスイング感溢れるドラミングは,聞いていてワクワクしてしまうところがあった。

このブログでも,Butch MilesのFanous Doorレーベルにおけるリーダー作,"Miles and Miles of Swing"はこのブログでも取り上げたことがある(記事はこちら)が,私にとっては昔から聞いていた人だったのだ。そのアルバムもアナログも保有しているが,CDが出た時には買ってしまったぐらい好きなアルバムだった。

同時代で聞いてきた人が,こうして世を去っていくというところには時の流れを感じてしまうが,それにしても最近の訃報の多さには悲しくならざるをえない。今日はCount Basie時代のMilt Jacksonとのアルバムを聞いて追悼することとしたい。

R.I.P.

2023年2月 7日 (火)

Brad Mehldau@東京オペラシティを振り返る:はっきり言ってピアノ・コンチェルトは失敗作だと思う。

Brad-mehldautokyo-opera-city

先日の紀尾井ホールでのライブに続いて,東京オペラシティでのBrad Mehldauのライブに行ってきた。今回の注目は何と言っても,Brad Mehldauが書いたピアノ・コンチェルトの実演であった(上の写真は前日のライブの模様をネットから拝借)。

第一部はBrad Mehldauのピアノ・ソロで,紀尾井ホールでの演奏と1曲も被らないというのが嬉しかった。今回は私の座席が最前列はいいのだが,ステージに向かってかなり右側だったため,Brad Mehldauの表情も,指先もよく見えなかったのはちょっと残念だったし,演奏は紀尾井ホールで堪能してしまっていただけに,若干印象が薄れた感覚は否めない。しかし繰り出されるフレージングは実に素晴らしかった。"Resignation"とか"Come Rain Come Shine"なんかは痺れる出来だったと思う。

そして第二部がピアノ・コンチェルトだが,私はこの曲をブートレッグで既に聞いていて,その時に「クラシックのピアノ協奏曲というよりも,私には映画音楽的,あるいはそれが言い過ぎならばオーケストラを伴ったピアノ音楽という感じなのだ。それはここでの音楽が劇的な展開を示さないというところに起因すると思うのだが,私としてはコンチェルトとするならば,楽章ごとにもう少しメリハリをつけてもよかったかなと思う。」なんて書いている。今回,生で聴いたら印象も変わるかなと期待したのだが,ピアノのメロディ・ラインにも魅力が足りないし,何よりもオーケストレーションが面白くないと演奏中,ずっと思っていた。

ブートで聞いた時から私の評価は辛口だったと思うが,今回のライブを聞いて,ますますこの曲については,失敗作だという印象を強くしたのは間違いない。聴衆も聴衆で,ピアノ・コンチェルトなんだから3楽章形式だってことを理解して臨めよと思ったのは,第1楽章が終わった瞬間,一部聴衆が拍手したことも何だかなぁって感じである。それはさておき,コンチェルト終演後の拍手より,アンコールに対する拍手の方がずっと大きかったというのが実感であり,聴衆も戸惑っていたのではないかと思ってしまった。私にとっても,ピアノ・コンチェルトはBrad Mehldauに期待している音楽ではないというのが正直なところである。

だからと言って,私がBrad Mehldauのファンをやめる訳ではない。Brad Mehldauにもいい作品もあれば,そうでもないものあるという中の一つに過ぎないのであって,次なる次元へのワン・ステップだと考えることにしたい。それよりも今回は紀尾井ホールでの演奏の余韻に浸っていればいいのだ(きっぱり)。

Live at 東京オペラシティ タケミツ・メモリアル・ホール on February 6, 2023

Personnel: Brad Mehldau(p), Clark Rundell(cond), 東京フィルハーモニック交響楽団

2023年2月 6日 (月)

オスカー有力候補の「イニシェリン島の精霊」を観た。純文学的とでも言うべきか。

Banshees_of_inisherin_poster 「イニシェリン島の精霊("The Banshees of Inisherin”)」(’22,アイルランド/英/米,Searchlight)

監督:Martin McDonagh

出演:Colin Farrell, Brendan Gleeson, Kerry Condon, Barry Keoghan, Sheila Flitton

今年のオスカーで作品賞ほか9部門にノミネートされている本作である。Martin McDonaghとしては「スリー・ビルボード」とは全く異なるテイストの作品を作ったものだと思わされる。一言で言えば,主題の通り,純文学的な感じであり,エンタテインメントと思って見ると,訳がわからんということになりかねない作品であり,心して見る必要がある。

Brendan Gleeson演じるColumの心理的な変化と極端な行動がどうしてそうなるのかというところは,多くは語られないのだが,それがColin Farrell演じるPádraicの孤独感を増幅させていく心理ドラマはなかなかに難しい。背景としてアイルランドの内戦が設定されているが,この二人の軋轢も同胞同士の「個人的な内戦」のようにも映れば,どこか離れきれず,つながっている描写もあって,人間心理の難しさが描かれているってところだろう。

いかにもSearchlightが作りそうな映画だなぁと思わせるが,描かれるアイルランドの島の風景も美しい。Martin McDonaghの映画としては「スリー・ビルボード」の方が好きだが,これはこれで優れた作品。星★★★★☆。

それにしても,Martin McDonaghって人は,同じ役者と仕事をするのが好きだねぇ(笑)。Colin FarrellとBrendan Gleesonは「ヒットマンズ・レクイエム」に続く共演らしいし,Kerry Condonは「スリー・ビルボード」からの続投だ。まさにMartin McDonagh組って感じか。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2023年2月 5日 (日)

Brad Mehldau@紀尾井ホールを聴く。

Kioi-hall_20230205181501

昨年7月に予定されていたBrad Mehldauの来日が彼の手術(結石か何かだったかな)で延期になっていたが,ようやくその振替公演が開催された。既に東京オペラシティでもソロ・ライブをやっているが,私は振替となっている紀尾井ホールでの公演に出向いた。2/6にはピアノ・コンチェルトを聞くべく改めて東京オペラシティに向かうが,今回はピアノ・ソロである。前回,ピアノ・ソロを聞いたのは大手町のよみうりホールだったが,紀尾井ホールの方が若干広め(上の写真はネットから拝借)ながら,Keith Jarrettもやったこのホールで,Brad Mehldauのソロを聞くのは感慨深いものがあった。

そして,セットリストは招聘元の情報をベースに記載すると,下記のようになっていたはずだ。"Here There And  Everywhere"の曲順は違っているかもしれないが,大体こんな感じであった。

  • The Falcon Will Fly Again
  • Untitled
  • C Tune
  • Think of One
  • From This Moment on
  • Don’t Let It Bring You Down
  • If I Needed Someone
  • Baby’s in Black
  • Don’t Think Twice It’s All Right
  • Uncertainty
  • Lithium
  • Here There and Everywhere
  • Hey Joe

(Encore)

  • Here’s That Rainy Day
  • Maybe I’m Amazed
  • Mother Nature’s Son
  • How Long Has This Been Going on

どれもが聴きどころたっぷりの演奏だったと思うが,今回,ポップな曲もやる中で,右手で紡ぎ出されるメロディ・ラインは結構シンプルながら,左手による装飾音により,実に豊かな表現に変貌するのを目の当たりにしたって感じである。

そして,時折Keith Jarrettを彷彿とさせるフォーク・タッチも聞かせたが,Keithのようには腰を浮かしたり,唸ったりはしないで,淡々と弾いているのは大きな違いであった。今回のレパートリーを見てもらえば,Brad Mehldauというピアニストが様々な音楽を経由,消化して,演奏しているのがわかるが,"Think of One"なんかはストレートにやりながら,アンコールでやった"Here's That Rainy Day"は6/8拍子で演奏して変化をつけていた。本編の最後にやったJimi Hendrixの"Hey Joe"はバラッド的にメロディを弾きながら,その後壮大なカデンツァに移行しながらも,エンディングにはちゃんと落とし前をつけるというところも凄かった。

Bob Dylanの"Don’t Think Twice It's All Right"では,ストライド・ピアノ的な響きも聞かせるのも実に面白かったし,とにかく多様なスタイルを消化して,素晴らしいソロ・ピアノを聞かせたと言うべきである。Nirvanaの"Lithium"は,グランジ・ロックの曲ではあるが,この曲の持つ美しさを際立たせる感じというのも,見事な解釈だったと思う。

改めてBrad Mehldauが現代最強のピアニストの一人であることを再認識させるに十分なライブであり,ファンでよかったとつくづく思った私である。ということで,次はオペラシティでのピアノ協奏曲に参戦だ!

Live at 紀尾井ホール on February 4, 2023

Personnel: Brad Mehldau(p)

2023年2月 4日 (土)

今日は趣向を変えて,Count Basieの「猫ジャケ」アルバム。

Lester-leaps-in "Lester Leaps in" Count Basie and His Orchestra Featuring Lester Young (Epic)

クラシックな音源である(笑)。これは1939~40年という古い音源で,私がこうした時期の音楽について,このブログにアップした記憶はないし,基本的にジャズはビ・バップ以降しか聞いていない私がなぜこれを保有しているかと言えば,「猫ジャケ」がおしゃれだからである。Epicレーベルの「猫ジャケ」のアルバムは6枚あって,それが一度紙ジャケで再発された時に全部買ったのは,こういう企画は好き者しか買わないから,持っていれば後々何かの役に立つ(?)だろうという思惑からという,極めて不純な動機による。だが,こうした時期はCount BasieバンドにおけるLester Youngの全盛期ということもあって,音楽的な興味があったことは一方で事実である。

そして本作を聞いていると,この時期,ジャズはダンス音楽だったんだろうなぁと思ってしまうようなスイング感に満ちた演奏群である。古い音源だけに当然音はよくないが,往時のジャズの演じられ方を想像させるに十分な楽しさは感じられる。そして何よりもLester Youngの流れるようなフレージングが素晴らしい。そうは言っても,サウンドはどうやってもCount Basieだという感じで,Count Basieのピアノってのはスタイルが明確だったなんて改めて思ってしまった。最後に収められてあ"Boogie Woogie"にはJimmy Rushingのヴォーカルも入るが,さすがに声が若々しい。

購入の動機は不純でも,こうして楽しんでいるからよしとしよう(笑)。プレイヤー多数なので,詳細のPersonnelは省略するが,Lester Youngに加えて,Buck ClaytonやVic Dickenson等の名プレイヤーも参加している。この二人はJimmy RushingとEddie Condon All Starsで来日していたなんてこともあったなぁ。その時のライブ・アルバムについても記事にしたことがあったのも懐かしい(記事はこちら)。

Recorded on March 19,20,April 4, 5,August 4, September 5,1939 and on August 28, 1940

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2023年2月 3日 (金)

Bonnie Raittが豪華ゲストを迎えたライブ盤を久々に聞く。

_20230202"Road Tested" Bonnie Raitt(Capitol)

昨年リリースされた"Just Like That..."も実によかったBonnie Raittであるが,今なお現役で頑張る彼女のデビュー25周年を記念した95年のライブ・アルバムを久しぶりに聴いた。アルバム"Nick of Time"により勢いづいた後のライブであり,当時のアルバムを支えたDon Wasとの最後のコラボレーションとなっている。

25周年を祝うだけに多様なゲストを迎えており,そうした点は聞きどころとなるが,ゲストを迎えていない曲の演奏がこれまたいいだけに,バンドだけのライブ・アルバムも聞きたくなってしまう。10年後に録音された"Decades Rock Live"は私は未聴だが,そちらも35周年記念ということでゲストを迎えたものだけに,企画を変えてもいいのになぁと思ってしまう。

しかし,ここで聞かれるBonnie Raittのスライド・ギターの技にはまじで唸らされる。エレクトリックであろうが,アコースティックであろうが,Bonnie Raittのギターの腕は確かなものであり,「歌って弾ける」Bonnie Raittの魅力であり,強みを感じさせられるものである。アコースティック・セットの渋さも素晴らしい。

このアルバムには"Louise"も入っているが,どこかで聞いたことがあるなぁと思っていた。Bonnie Raitt本人もアルバム"Sweet Forgiveness"でカヴァーしているようだし,Linda Ronstadtも歌っているようだが,考えてみると,私がこの曲を聞いていたのは,Leo Kottkeの"My Feet Are Smiling"においてであったなぁと気づいた。Bonnie Raittでもなく,Linda Ronstadtでもなく,Leo Kottkeってことに我ながら笑ってしまったが,いろいろなミュージシャンがカヴァーしたくなるいい曲であった。

ともあれ,歌手であり,ギタリストであるBonnie Raittの魅力を再認識できるアルバムであった。星★★★★☆。

Recorded Live at the Schnitzer Auditorium, Portland on July 11-13, and at the Paramount Theater, Oakland on July 16, 18 & 19, 1995

Personnel: Bonnie Raitt(vo, g, key), Glen Clark(key, hca, vo), Debra Dobkin(perc, vo), Ricky Fataar(ds), James "Hutch" Hutchinson(b, vo), Mark T. Jordan(key, g, mandolin, vo), George Marinelli(g, mandolin, vo) with Bruce Hornsby(vo, p, accor), Ruth Brown(vo), Charles Brown(p, vo), Kim Wilson(hca, vo), Bryan Adams(vo, g), Jackson Brown(vo, g) 

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2023年2月 1日 (水)

改めてDerek Trucks入りのAllman Brothers Bandを聞く。

_20230130-2 "Hittin’ the Note" The Allman Brothers Band(Peach/Sanctuary)

全くもって不思議なことに,このブログではDerek Trucksについては何度も記事を書いているのだが,Allman Brothersについては何も書いていないってのはどういうことか?と思ってしまった。Gregg Allmanについては書いているし,Duane Allman関連の記事も書いているが,Allman Brothersの記事が一本もないっていうのは,我ながら「なんでやねん?」と言わざるをえない。

とかなんとか言いつつ,先日Little Featのボックスも買ったばっかりやんけ!と言われれば,返す言葉はないのだが,ここでAllman Brothersについて記事を書くべく,Derek Trucksが入ったAllman Brothersとしての唯一のスタジオ作,そしてAllman Brothersとしては最後のスタジオ作である本作を取り出した私である。

このアルバムが出た頃は,Dicky Bettsが抜けて,ギターはWarren HaynesとDerek Trucksになった訳だが,長年のファンにとってはDicky Bettsの不在は残念だったらしい。この「らしい」というのは自分ではそんなことは感じてもいないからにほかならないが,Dicky Bettsの抜けた穴を感じさせないほどのDerek Trucksの働きには改めて感心してしまう。この時,Derek Trucksは22歳の頃だが,スライドの技はまさに完璧と言っても過言ではない。まじでこの当時から凄かったよねぇと思わざるを得ないのである。

昨今のDerek Trucksは,カミさんのSusan Tedeschiとのバンド活動がほとんどで,正直言って最近Susan Tedeschiの声に飽きてきたところがある私としては,このアルバムにおけるGregg AllmanやWarren Haynesのようなヴォーカルとの演奏もそろそろ期待したくなるような出来。最近のアルバムより興奮してしまったと言っては言い過ぎかもしれないが,実にカッコいいと思えるアルバム。星★★★★☆。

Recorded in December, 2001 & April, 2002

Personnel: Gregg Allman(vo, org, p, key), Butch Trucks(ds), Jaimoe(ds), Warren Haynes(g, vo), Marc Quinones(perc), Oteil Burbridge(b), Derek Trucks(g)

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