バブル期に向かう日本を象徴するようなOTBのライブ・アルバム。
"OTB Live at Mt. Fuji" OTB(Blue Note)
今にして思えばマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルというのは,日本のバブル経済を象徴するようなイベントであった。私も確か一度だけ参戦した記憶はあるのだが,誰を聞いたのかの記憶が全くない。結局参加することに意義があるみたいな感じだったのかと思うが,バブルが崩壊した後も続いていたのだから,ある意味大したものだ。
そんなマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルにおけるOTBのライブ盤は,バブル期に向かうその当時の日本にフィットしたイケイケ感たっぷりって感じの演奏を収めている。
前半4曲はピアノ・トリオ,後半3曲をセクステットという構成はなかなか面白いと思え,前半はピアノのHarry PickensがBud Powellに捧げるというかたちで演奏しているが,私はこの人のピアノは実力あるなぁと思っていた。だが,その後,あまり名前を聞かなくなってしまったのはちょっと惜しい気もするここでの演奏ぶりである。
後半のセクステット演奏は,それこそ勢いでブチかますという感じの演奏となっていて,オーディションを経て集められただけあって,相応に実力のあるメンツが揃っていたと思える。Ralph Petersonは亡くなってしまったが,今ではKenny Garrettが一番現役感を醸し出しているってところか。そう言えば,ここに参加しているRalph BowenとKenny Davisは出張中にSmallsで観たことがあったのも懐かしいが,彼らやMichael Philip Mossmanは教鞭を執っているというのも面白い。まぁ,人に教えるだけの実力はあるってことの裏返しだ。
まぁ,当時はみんな若かったってこともあり,勢いが勝ってしまって,コクとかは感じられないってのも事実なのだが,時代がそういう方向に流れていたってことにすればいいと思う。星★★★★。
Recorded Live at Mt. Fuji Jazz Festival on August 31, 1986
Personnel: Michael Philip Mossman(tp), Kenny Garrett(as), Ralph Bowen(ts), Harry Pickens(p) Kenny Davis(b), Ralph Peterson, Jr.(ds)
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