久しぶりに聴いたら実に魅力的だったJoe HendersonによるJobim集。
"Double Rainbow" Joe Henderson(Verve)
長年,このブログをやっていながら,Joe Hendersonのアルバムはほとんど取り上げていない。例外は"Joe Henderson in Japan"ぐらいのもの(記事はこちら)。参加したアルバムはある程度取り上げている中で,リーダー作はそれ一枚ってのはさすがにいかんだろうということで,久々に取り出したこのアルバムについて書いてみよう。
晩年のJoe HendersonはVerveレーベルにおいて,企画もののアルバムを連発していたイメージであるが,これもそんな一枚で,Joe HendersonがAntonio Carlos Jobimの曲を演奏したアルバムである。もともとはJobimとの共演アルバムも企画されていたらしいのだが,本作のレコーディング後,Jobimが亡くなって,結果的に追悼アルバムみたいなかたちでリリースされたようだ。
私の感覚ではJoe HendersonとJobimが合うかなぁなんて思っていたのだが,それは全く的外れで,これが実にいい演奏である。前半5曲がブラジル人をバックに,残りをジャズ界の大物がバックアップするというスタイルはやっぱり企画ものって感じだが,この組み合わせがいい塩梅なのだ。前半をSuite IとしてJoe/Brazil/Jobim,後半をSuite IIとしてJoe/Jazz/Jobimというプロデュースの徹底ぶりである。
やっている曲が必ずしも超有名曲ばかりではないところにもこだわりを感じるが,それにしてもJobimはいい曲を書くなぁと思ってしまう。前半ではOscar Castro-Nevesとのデュオで演じられる”Once I Loved"が痺れる出来。後半では"Chega de Saudade"をストレート・アヘッドな感じで攻める"No More Blues"が意表を突く演奏となっていてびっくりしてしまう。そして,最後をChristian McBrideとのデュオで演じる"Modinha"で締めるというのも渋い。
このアルバムもCDラックの肥しのようになっていたが,ちゃんと聞かないといかんなぁと改めて思った次第。星★★★★☆。
尚,日野皓正にも"Double Rainbow"ってアルバムがあるが,本作とは似ても似つかぬ音楽なのが笑える。
Recorded on September 19, 20(track #6-12), and on November 4 &5(track #1-5), 1994
Personnel: Joe Henderson(ts), Eliane Elias(p), Oscar Castro-Neves(g), Nico Assumpção(b), Paulo Braga(ds), Herbie Hancock(p), Christian McBride(b), Jack DeJohnette(ds)
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