まさかChristine McVieの追悼記事になってしまうとは...:Fleetwood Macのオルタネイト・テイク集成ボックス。
"The Alternate Collection" Fleetwood Mac(Reprise/Warner Brothers)
まさかこの記事がChristine McVieの追悼記事になってしまうとは思わなかった。それぐらい突然の訃報だった。彼女の訃報に接する前に本作に関する記事は書いていたのだが,急遽書き直しとなった。
これは,今年のRSD Black Fridayでリリースされたボックス・セットである。このAlternate音源集は,Record Store Dayの度に,Fleetwood Macの最盛期のアルバムを小出しにしてきたものを,今回CD6枚(アナログは8枚組)に集成したもの。そう言えば,私もアナログの"Alternate Tusk"は保有していたのであった。まさかその購入直後に訃報に接することになるとは夢想だにしなった。
私はFleetwood Macの熱烈なファンとは言えないが,アルバムはそこそこ保有しているし,このブログに最後に書いたのは69年から74年のアルバムを集めたボックスについてであった(記事はこちら)。そこにも書いているが私がFleetwood Macを聞くのはChristine McVieが聞きたいからにほかならない。今回のボックスを買ってしまったのはそれが理由と言っても過言ではない。だからこそ,今回の訃報に対するショックは大きい。
確かに"Alternate XXX"は別テイクやデモ音源を集めたものに過ぎないから,本質的にはオリジナルのアルバムを聞いていればいいのは間違いないのだ。それでも買ってしまうのは,無駄遣いと言われればその通りであり,レコード会社の策略にまんまと乗せられているのだが,ストリーミング全盛の時代に,フィジカルな媒体を残すことに貢献している訳だが,そこに今回はChristine McVieを偲ぶという意味合いが加わってしまったのは実に悲しい。
スタジオ録音に関しては,完成前の不完全テイク(ほぼ完成していると言っていいものもある)や,完成に向けてクォリティを高めていく様子を聞けるのはそれなりに価値はあるとしても,多くの人には勧めにくいというのが正直なところ。また,既に発売されているExpandedあるいはDeluxe Editionで公開されているものと変わらないから,そっちを持っている人には用なしだろう。
Christine McVieの訃報のショックが大きく,彼女のアルバムや,Fleetwood Macのオリジナル音源を聞くのに時間を取られてしまい,まだボックスのすべてを聞いた訳ではないのだが,私としては"Alternate Live"を面白く聞いた。オリジナルの"Live"については,私はあまり評価していない(そちらに関する記事はこちら)のだが,この"Alternate Live"はオリジナルと曲のダブりがないというところが魅力なのだ。こういうプロダクションはいいと思うし,単体で買うなら,私はこの"Alternate Live"は推奨してもいいだろう。まぁ,そうは言ってもオリジナル同様,粗っぽい部分はあることは否定しがたいが,これなら許せる。これはオリジナル"Live"のデラックス・ヴァージョンのCD3と同じと思われるので,このボックスを買わなくても入手は可能だから,ご関心のある方はそちらをどうぞってところか。
ということで,Christine McVieを偲びながら,暇を見つけて,ゆっくり聞き進めることにしたいと思う。
改めてR.I.P.
Personnel: Stevie Nicks(vo), Lindsay Buckingham(g, vo), Christine McVie(key, vo), John McVie(b), Mick Fleetwood(ds)
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