Glenn Gouldの”Goldberg Variations”のアナログ盤を買うのも無駄遣いと言えば無駄遣いだが...。
"J.S. Bach: Goldberg Variations" Glenn Gould(Columbia)
アナログの復権著しい昨今である。私としては以前保有していたアナログを売って,CDに置き換えたものも多数だ。いまやCDは中古市場に売りに出してもほぼ二束三文のような価格しかつかないことを考えれば,もったいないことをしたと思うものもある。しかし,時代の流れの中でアナログ→CDの流れは避けられなかったというのが実感である。
だが,本作のようにアナログ→CDへの転換が本格的に進む時期直前にリリースされたアルバムは,最初の購入からCDを選択していた私だ。このアルバムが最初に出たのは82年9月のことだから,まだCDは本格的には普及していない頃だろう。私がCDプレイヤーを買ったのは多分もう少し後のことだったと思うが,当時はCDの方が音がいいと信じられていたから,本作なんかは最初からCDで買うという選択肢しかなかったように思う。例えば,私が最初期に買ったCDはBruno Walterのハイドンだったと思うが,録音が古い割に真っ当な音だと思っていたのは事実だ。そんなこともあって,まだCDが1枚¥3,800で売られていたという時代でも,これから買うならアナログよりCDだと思ってしまったのであった。私が現在保有している本作のCDにも¥3,800の価格表示がされている。
しかし,アナログがこれだけ復権すると,どうしてもこの演奏をアナログで聴いてみたいとついつい思ってしまうのが「性」である。正直言って現在のアナログ盤は割高で,これも以前だったら諦めていたかもしれない価格だ。しかし,たまたまショップのポイントもそこそこたまっていて,定価の半額以下で買えるならまぁいいかということでの購入と相成った。
実を言えば,私はGouldの"Goldberg"に関しては,ここのところ55年盤ばかり聞いていて,この81年盤を聞くのは実に久しぶりのことであった。だから,冒頭のアリアを聞いて,わかっていたとは言え,ここまでテンポが違っていたかと感じてしまったというのが実感であった。55年盤より13分遅いというのは尋常なことではないが,この演奏ぶりには,これはもはやGouldのスワン・ソングとしての"Goldberg"であったのかと思わざるをえない。
55年盤と81年盤のどっちがいいかという議論もあるが,どっちもいいと思えばいい。同じ人が演奏しても,全く違う演奏になるところにミュージシャンとしての成熟,あるいは変化が刻まれているのだと思えば,どちらもGlenn Gouldだよなと思ってしまった。今回,改めてこの81年版を聴いて,やはりこれは決定的名演の一つだったと改めて感じた次第。星★★★★★以外はありえまい。
しかし,この時のセッションの模様を網羅した11枚組というのも出ているが,それはそれでドキュメンタリーとしては面白いかもしれないが,そこまで追う財力もないし,私には完成テイクで十分である。
Recorded on April 22, 25, May 15, 19 & 25, 1981
Personnel: Glenn Gould(p)
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