George Bensonの20世紀の活動を振り返る好アンソロジー。
"Anthology" George Benson(Warner/Rhino)
主題の通り,George Bensonの20世紀の活動を俯瞰したアンソロジーである。このコンピレーションがリリースされたのが丁度2000年のことであったが,その後も現役として活動を継続する中で,George Bensonのポピュラリティのピークは70年代後半から90年代半ばぐらいではなかったか。それを考えれば,このコンピレーションにはGeorge Bensonの最盛期の演奏が含まれているということになる。
2枚組CDの1枚目には,ヴォーカル重視前のジャズ・ギタリストとしてのGeorge Bensonの演奏も聞かれるが,2枚目のリーダー作である"It’s Uptown"から既に"A Foggy Day"を歌っているから,歌手志向の気配はキャリアの初期からあったってことである。まぁ,弾けて歌えるのだから,それはそれでいいと思うが,徐々にどっちが本業かわからなくなってきたという感じがしないでもない。
CD1枚目の後半は"Breezin'"でブレイクしてからの"In Flight",そして"Weekend in L.A."から5曲は,やはり私の世代には懐かしいものだが,この辺からはクロスオーバー/フュージョン化が著しくなったってところだろう。例えばCTI時代の"White Rabbit"とかもフュージョン化の兆しは示しているが,まだまだジャズ的なところは感じる。Herbie HancockのエレピのソロとかいかにもCTI的でカッコいいしねぇ。
CD2ではブラック・コンテンポラリー化した歌唱が多くなるが,Count Basie Bandとのストレートな演奏も聞かせて,ギタリストとしての腕も全然衰えていた訳ではないところを聞かせる。こっちも歌は歌でこれまた懐かしいものも多いので,総じて満足のいくコンピレーションだと思う。星★★★★。Personnelはコンピレーションにつき省略。
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