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2022年12月31日 (土)

皆さん,よいお年をお迎えください。

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今年も大晦日となった。コロナ禍は感染者数が増えたり減ったりを繰り返しているが,もはやWithコロナを基本に考えていけばいいのではないかと思っている。私自身はコロナ・ワクチンは5回接種したし,インフルエンザの予防接種も受けて,相応に対応はしてきたつもりなので,感染したという自覚はないが,いつの間にか無症状のまま感染していた可能性もあると思う。しかし,基本的には問題なく過ごしてきた(はずだ)。

仕事がほぼ在宅勤務が基本となる中,健康を維持するための施策は必要となるが,毎週のようにゴルフに行ったり,散歩やエアロビクス(笑)で健康を維持する努力はしてきた。こういうご時世であるから,仕事上の付き合いでの宴席が激減したのはいいのだが,在宅ゆえに夕刻になるとついつい飲んでしまうという生活になってしまっているのは否定できないので,肝機能には注意しないといけないのも事実である。何分,父は肝臓がんから転移した脳腫瘍で亡くなっているので,私も気をつけなければいけない。特に年末年始は暴飲暴食が重なることはわかっているので,年齢を考えて少しは控えめにすることも考えるべきなのだが,それが出来れば苦労しない(爆)。

いずれにしても,この一年は大きな変化もなく過ごしてきたように思うが,おそらくは来年以降も仕事のペースには変わりはないだろうし,年相応の働き方をしていけばいいのかなと思っている。その一方,還暦を迎えた際に買ったベースの練習もさぼりっぱなしなので,年明けからはちゃんと取り組むようにしたいと思う(ほんまか?)。

ということで,読者/ヴィジターの皆さま,本年もありがとうございました。よいお年をお迎え下さい。

2022年12月30日 (金)

2022年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)

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いよいよ今年の回顧も最後である。いつものようにジャズ編で締めくくろう。

実のところ,今年最大の衝撃はAlbert Aylerの"Revelations"だとずっと思っていた。新譜ではないものをここに選出することは望ましいことではないかもしれないが,正直言って,今年これを上回るものは私の中には存在しない。私は遅れてきたAlbert Aylerの聴き手ではあるが,これを聴かずして,私は今年のジャズを総括できないのである。このアルバムについての記事を書いた時,私は「発掘盤大賞」なんて書いているが,発掘盤どころか,私が今年聞いた中で最も強烈かつ記憶に残る音源であった。

純粋な新譜の中で,私が最も感銘を受けたのがWolfert Brederodeの"Ruins and Remains"であった。作曲と即興が交錯するこのボーダレスな音楽こそ,まさにECMの真骨頂と言うべきものであり,Manfred Eicherの美学が如実に表れた傑作と思った。何度聞いても素晴らしい音楽である。

そして,その年のベスト盤を考えるとき,毎年のように出てくるのがCharles Lloydであるが,今年も同じであった。今回,3つの異なる編成での3枚のアルバムを合わせ技としてベスト盤とするというは,いささか反則気味でもあるが,振り返ってみればやはりこれは避けて通れなかった。

Enrico RavaとFred Herschのデュオは,リリースが発表された段階から,誰しもが期待するアルバムだったと思うが,見事に期待に応えてくれた作品であり,何とかこのデュオで来日してくれないかと思わせる逸品であった。

DOMi & JD BECKの"NOT TiGHT"のジャケットには,私のような還暦過ぎのオヤジは思わずのけぞるが,この若い二人が生み出す音楽のフレッシュさ,それによってもたらされる驚き,そして何よりも心地よいグルーブ感を評価したい。まさに新世代のジャズ。

最後も発掘盤となるが,坂田明と森山威男の 「ミトコンドリア」である。よくぞこんな音源を発掘してくれたと言いたくなるような,爽快なフリー・ジャズである。記事にも書いたのだが,「坂田明らしいフレージングを煽る森山威男のドラムスによるパルスに興奮しない奴はもぐり」だ(きっぱり)。

ということで,今年もいろいろな音楽に接してきたが,ストリーミングの広がりもあり,ソフトの購入枚数は本当に減ったというのが実感ではあるが,そうした中でもお知り合いの皆さんからの情報も活用しつつ,これからも優れた音楽に接していきたいと思った年の瀬である。

2022年12月29日 (木)

2022年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)

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今年の回顧,音楽編の第1回である。私の場合,全方位ではありながら,結構偏った音楽の聞き方をしているが,そうした中で私が感銘を受けたアルバムを挙げておこう。今回はジャズ以外の音楽からのチョイス。昨今は購入する前にストリーミングで大体はチェックできるから,無駄遣いは減ってはいると思うが,そうした中でも最も印象に残ったアルバムということになる。

今年,私が一聴した瞬間から素晴らしいと思っていたのがAoife O’Donovanの"Age of Apathy"であった。Joe Henryがプロデュースした本作は,まさに私にとっての「どストライク」であった。そもそもJoe Henryへの信頼度が基本的に高い私であるが,やはりこのプロデュース力は素晴らしいと思えたし,それに応えたAoife O’Donovanも見事であった。当ブログで本作を取り上げた際に私は「清新な音」と書いているが,リモートで制作されたとは思えない素晴らしいアルバムだったと思う。

そして,アメリカン・ロック好きの私としては,こういう音を出されるだけで全面的にOKだと思えてしまったのが,Taj Mahal とRy Cooderの"Get on Board"であった。これぞ渋さの極致,歳を取っても枯れることない彼らの音楽に触れて,還暦過ぎのオヤジである私ももっと頑張れるのではないかと思ってしまったのである。

アメリカン・ロック好きにとって,もう一枚忘れられないのがBonnie Raittの"Just Like That..."であった。ほぼ固定メンツのバンド・スタイルでレコーディングしてしまうところも現役感に満ちているが,こちらの想像をはるかに上回る出来のよさだったのには驚かされた。正直,これをストリーミングで済ませようとしていた自分を恥じたアルバム。それぐらい素晴らしいのだ。

そして最後は,Larry KleinがプロデュースしたLeonard Cohenトリビュート作である"Here It Is: A Tribute to Leonard Cohen"である。これぞ見事なプロダクションと言わざるをえない逸品であり,多様なミュージシャンを招きつつ,一本筋が通った優れたトリビュート作品となっていた。Larry Klein,さすがである。これはジャズ編に入れる価値もあるが,歌手の多様性を重視してこちらに入れた。

ほかにもあれはどうした,これはどうしたというものもあるが,私の中ではこれらのアルバムへのシンパシーが非常に強いということにしておこう。付け加えるとすれば,Steve Reichの2作品,そしてECM New Seriesでの現代音楽(+α)作品も大いに楽しんだ私であった。

そして今年残念だったのがChristine McVieの突然の訃報。彼女のソロ・キャリアからのリメイクも施したベスト盤である"Songbird: A Solo Collection"を聞いて,改めて追悼したいと思う。

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2022年12月28日 (水)

2022年の回顧:ライブ編

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コロナ禍でライブ通いもなかなかできない日々が続いたが,ようやく復活への道筋が見えてきた年だったと言えるのではないだろうか。だからと言って,私が今年通ったライブは両手にも満たないが,それでも行けるようになっただけ喜ばなければならないだろう。だって,Blue Note東京に行ったのは3年ぶりとか,とんでもないインターバルだったのだ。

そんな私にとって珍しかったのは,クラシックのコンサートに3回通ったことだろうか。私が最後にクラシックのライブに行ったのは2017年8月のPeter Serkinのリサイタルにまで遡る。そして,今回はオケの演奏が2回入っているが,オケを聞きに行ったなんていつ以来かも覚えていない。しかし,大編成のショスタコの5番とかに尋常ならざる高揚感を覚えた私であった。ということで,突然の今年後半のクラシックのコンサート通いだったのも,ライブへの渇望感の表れだったのかもしれない。

そうした中で,私にとっての今年のベスト・ライブは,エリック・ミヤシロ率いるBlue Note Tokyo All-Star Jazz OrchestraがChris Potterを迎えた演奏であった。とにかく私の眼前でクリポタがテナーを吹きまくる姿に,不覚にも感涙を流してしまったのである。こういう音を聞きたかった,こういう演奏を聞きたかったという私の感情が爆発したのかもしれない。上の写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借したもの。

来年の2月には延期となっていたBrad Mehldauの来日が控えているが,来年はより楽しいライブ生活が送れることを切に願いたい。

そのほかのライブも総じて楽しませてもらったが,今年本当に残念だったのは,NYCでのライブと言えばここと思っていた55 Barの閉店である。長年に渡って,行くたびに訪れていた場所がなくなることの寂しさを痛切に感じた私であった。思えばNYC在住時によく通ったBradley'sも今はなく,Jazz Standardも閉店,そしてついには55 Barもである。もはや私がNYCに出張をする機会などないだろうが,もし次にNYCをプライベートでも訪れる機会があったとすれば,私はどこへ行けばいいのか...と途方に暮れてしまうのである。あまりに悲しいので,55 Barの閉店を悲しむ記事を再掲しておこう(記事はこちら)。

2022年12月27日 (火)

2022年の回顧:映画編

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いよいよ年の瀬も近づいてきたので,今年の回顧をしたい。まずは映画であるが,劇場に観に行ったのが16本(しかもそのうち2本は午前十時の映画祭での旧作)では回顧もへったくれもないのだが,決定的に最高と言える映画はあまりなかったように思う。そんな中で印象に残った映画はなんだったかなぁと考えると,シナリオが優れていたという点もあって,「ベルファスト」を挙げたい。私は常々,映画のよさはシナリオに依存するという考えを持っているが,この映画もシナリオのよさと,Kenneth Branaughの演出もよく,私にとって印象に残る映画となった。

演技という点では,何でもできちゃうと思わせるJoaquin Phoenixに感銘を受けた「カモン カモン」を挙げたい。記事にも書いたのだが,この人の演技の振れ幅は半端ではない。公開を控える「ジョーカー」の続編では,またも怪演を繰り広げると思われるが,この映画のような演技もまた見事にこなすところが凄い。そして,この映画,ついつい自分にストーリーを当てはめてしまうという共感型の実にいい映画であった。

そして,常々似合わないと言われるが,私は映画館で涙することに結構なカタルシスを感じる人間である。しかも単純なので,すぐ泣いてしまうのだが,ベタなストーリーとは思いつつ「コーダ あいのうた」にはついつい泣かされてしまった。ただねぇ,これもフランス映画「エール!」のリメイクってのはどうなのよって感じがない訳ではないのだが,こういうハートウォーミングな映画には弱いのだ。

あとは年齢を重ねても面白い映画を撮り続けるClint EastwoodとRoman Polanskiだが,今年公開の作品ではPolanskiの「オフィサー・アンド・スパイ」の勝ちってところか。これが実話に基づくというところが恐ろしい限りと思わせるに十分であった。

私としては「トップガン マーヴェリック」や「シン・ウルトラマン」も観ていることは観ているのだが,こうして振り返ると選ぶ映画が基本渋い方に行っちゃってるなぁってのは歳のせいか(爆)。

更に昨今は劇場に加えて,ストリーミングで映画を観ることも増えていて,都合30本ぐらいをストリーミングや録画したものを観ているが,最新作としては「ナイブズ・アウト」の続編を早いところ見ないとなぁ。

2022年12月26日 (月)

George Bensonの20世紀の活動を振り返る好アンソロジー。

_20221221_20221223085101 "Anthology" George Benson(Warner/Rhino)

主題の通り,George Bensonの20世紀の活動を俯瞰したアンソロジーである。このコンピレーションがリリースされたのが丁度2000年のことであったが,その後も現役として活動を継続する中で,George Bensonのポピュラリティのピークは70年代後半から90年代半ばぐらいではなかったか。それを考えれば,このコンピレーションにはGeorge Bensonの最盛期の演奏が含まれているということになる。

2枚組CDの1枚目には,ヴォーカル重視前のジャズ・ギタリストとしてのGeorge Bensonの演奏も聞かれるが,2枚目のリーダー作である"It’s Uptown"から既に"A Foggy Day"を歌っているから,歌手志向の気配はキャリアの初期からあったってことである。まぁ,弾けて歌えるのだから,それはそれでいいと思うが,徐々にどっちが本業かわからなくなってきたという感じがしないでもない。

CD1枚目の後半は"Breezin'"でブレイクしてからの"In Flight",そして"Weekend in L.A."から5曲は,やはり私の世代には懐かしいものだが,この辺からはクロスオーバー/フュージョン化が著しくなったってところだろう。例えばCTI時代の"White Rabbit"とかもフュージョン化の兆しは示しているが,まだまだジャズ的なところは感じる。Herbie HancockのエレピのソロとかいかにもCTI的でカッコいいしねぇ。

CD2ではブラック・コンテンポラリー化した歌唱が多くなるが,Count Basie Bandとのストレートな演奏も聞かせて,ギタリストとしての腕も全然衰えていた訳ではないところを聞かせる。こっちも歌は歌でこれまた懐かしいものも多いので,総じて満足のいくコンピレーションだと思う。星★★★★。Personnelはコンピレーションにつき省略。

2022年12月25日 (日)

Glenn Gouldの”Goldberg Variations”のアナログ盤を買うのも無駄遣いと言えば無駄遣いだが...。

Gould "J.S. Bach: Goldberg Variations" Glenn Gould(Columbia)

アナログの復権著しい昨今である。私としては以前保有していたアナログを売って,CDに置き換えたものも多数だ。いまやCDは中古市場に売りに出してもほぼ二束三文のような価格しかつかないことを考えれば,もったいないことをしたと思うものもある。しかし,時代の流れの中でアナログ→CDの流れは避けられなかったというのが実感である。

だが,本作のようにアナログ→CDへの転換が本格的に進む時期直前にリリースされたアルバムは,最初の購入からCDを選択していた私だ。このアルバムが最初に出たのは82年9月のことだから,まだCDは本格的には普及していない頃だろう。私がCDプレイヤーを買ったのは多分もう少し後のことだったと思うが,当時はCDの方が音がいいと信じられていたから,本作なんかは最初からCDで買うという選択肢しかなかったように思う。例えば,私が最初期に買ったCDはBruno Walterのハイドンだったと思うが,録音が古い割に真っ当な音だと思っていたのは事実だ。そんなこともあって,まだCDが1枚¥3,800で売られていたという時代でも,これから買うならアナログよりCDだと思ってしまったのであった。私が現在保有している本作のCDにも¥3,800の価格表示がされている。

しかし,アナログがこれだけ復権すると,どうしてもこの演奏をアナログで聴いてみたいとついつい思ってしまうのが「性」である。正直言って現在のアナログ盤は割高で,これも以前だったら諦めていたかもしれない価格だ。しかし,たまたまショップのポイントもそこそこたまっていて,定価の半額以下で買えるならまぁいいかということでの購入と相成った。

実を言えば,私はGouldの"Goldberg"に関しては,ここのところ55年盤ばかり聞いていて,この81年盤を聞くのは実に久しぶりのことであった。だから,冒頭のアリアを聞いて,わかっていたとは言え,ここまでテンポが違っていたかと感じてしまったというのが実感であった。55年盤より13分遅いというのは尋常なことではないが,この演奏ぶりには,これはもはやGouldのスワン・ソングとしての"Goldberg"であったのかと思わざるをえない。

55年盤と81年盤のどっちがいいかという議論もあるが,どっちもいいと思えばいい。同じ人が演奏しても,全く違う演奏になるところにミュージシャンとしての成熟,あるいは変化が刻まれているのだと思えば,どちらもGlenn Gouldだよなと思ってしまった。今回,改めてこの81年版を聴いて,やはりこれは決定的名演の一つだったと改めて感じた次第。星★★★★★以外はありえまい。

しかし,この時のセッションの模様を網羅した11枚組というのも出ているが,それはそれでドキュメンタリーとしては面白いかもしれないが,そこまで追う財力もないし,私には完成テイクで十分である。

Recorded on April 22, 25, May 15, 19 & 25, 1981

Personnel: Glenn Gould(p)

2022年12月24日 (土)

今年最後のライブを締めくくったBanksia Trioの見事な演奏@武蔵野市民文化会館

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まだまだ沈静化とは言わないが,コロナ禍もだいぶ落ち着いてきて,ライブ通いも徐々に復活してきた私であるが,今年のライブの締めくくりとして行ったのが,武蔵野市民文化会館小ホールにおける須川崇志率いるBanksia Trioのライブである。相変わらず(自分も含めて)高齢者比率の高いこのヴェニューであるが,8分の入りってところか。私は市民ではないので,一般の入場料であるが,それでも2,800円でこのトリオを聞けるのはありがたい。

彼らのこれまでの2枚のアルバムは,北欧系にも通じる日本のピアノ・トリオとは思えない響きを持っていて,素晴らしい美的な緊張感を醸し出していた。彼らの2ndアルバムを聞いた時,ライブはどうなってしまうのか?なんて書いているが,ライブでもそうした感覚を変わりなく生み出すところが凄い。

こうした音楽をやっているだけに,さぞや深刻,あるいは自己陶酔的な顔でやっているのかと思っていたら,リーダー須川崇志はさておき,ピアノの林正樹のにこやかな表情にはある意味驚いてしまった。やっている音楽と表情の落差が大きいのだ(笑)。

出てくる音はまさに美的で,極めて細かいニュアンスを生み出してしまうだけでなく,3者のヴィヴィッドな反応ぶりが素晴らしい。1曲目に演奏していたのは"I Should Care"だと言っていたと思うが,原曲を「破壊」するのではなく,「解体」して「再構築」するという感じか。そういう意味では普通の,あるいはコンベンショナルなピアノ・トリオでは決してない訳だが,このレベルの高さは半端ではない。

このトリオ,3者が全て素晴らしい実力者であるが,私はドラムスの石若駿のプレイぶりにびっくりしてしまった。スティック,ブラシ,マレットのどの使いっぷりも実に的を得たものであり,こういうドラマーがバックにいれば,演奏も楽しかろうと思ってしまった。そして林正樹のピアノのフレージングは見事だし,リーダー須川崇志のベースも実にうまく,ずっと唸りっぱなしの私であった。

休憩をはさんで約2時間,彼らの演奏を堪能した私であった。須川崇志がMCで3rdアルバムをレコーディング済みと言っていたので,おそらくは来年のリリースを首を長くして待ちたいと思わせるに十分な演奏ぶりであった。Banksia Trio,恐るべし。

Live at 武蔵野市民文化会館小ホール on December 22, 2022

Personnel: 須川崇志(b, perc),林正樹(p),石若駿(ds, perc)

2022年12月23日 (金)

ジャズ・ヴォーカルはあまり聞かない私だが,今日はJune Christy。

_20221219 "June’s Got Rhythm" June Christy(Capitol)

毎度毎度同じようなことを書いている気もするが,私はジャズ・ヴォーカルをあまり聞かない。端的に言えば,趣味の問題であるが,全然保有していない訳でもないというのは,このブログにも書いてきた。

先日,風呂に入りながら,後藤雅洋の「一生モノのジャズ・ヴォーカル名盤500」を読んでいたら,このアルバムのことが書かれていて,そう言えば,これは持っていたなぁということで,取り出してきたもの。June Christyについては以前"Somothin’ Cool"について記事をアップしたことがあるが,そこには「改めて,June Christyの魅力に気づかされた」なんて図々しことを書いている。まぁ,ジャズ・ヴォーカルに関しては「食わず嫌い」な部分もあることは否定できないので,たまにはこういう気まぐれも重要なのである(笑)。

このアルバムは,ウエスト・コーストの錚々たるミュージシャンをバックに,June Christyが小粋に歌ったアルバムで,これがなかなか楽しい。スウィンギーな曲とバラッドのバランスもよいのだが,必ずしもよく知られている訳ではなさそうな曲も選曲しているセンスが良いと思う。例えば,冒頭の"Rock Me to Sleep"はBenny Carterの曲らしいが,それがGershwinナンバーの"They Can’t Take That Away from Me"と同居していながら,きっちりどっちも楽しめてしまうところがいいと思う。

また,先述の通り,バックを固めるミュージシャンのソロも魅力的。気楽に聞き流すもよし,傾聴するもよしって感じの佳作。星★★★★。

Recorded in June and July, 1958

Personnel: June Christy(vo), Ed Reddy(tp), Frank Rosolino(tb), Bud Shank(as, fl), Bob Cooper(ts, oboe), Red Callender(tuba), Russ Freeman(p, celeste), Laurindo Almeida(g), Monty Budwig(b), Shelly Mann(ds), Mel Lewis(ds)

2022年12月22日 (木)

この静謐さがたまらない:Ketil BjørnstadとDavid Darlingのデュオ第2作

_20221217-4 "Epigraphs" Ketil Bjørnstad / David Darling(ECM)

David Darlingが亡くなったのは2021年初頭のことであった。David Darlingの音楽はニューエイジとも取れる響きを持っているが,そのDavid DarlingがKetil Bjørnstadと組んだデュオ作"The River"については私は「実に静謐にして美しい。ささくれ立った心さえ落ち着かせるであろう音楽である。」なんて書いている(記事はこちら)。"The River"でもKetil BjørnstadはByrd,Gibbonsにインスパイアされていると言っていたが,このアルバムでは二人のオリジナルに加え,そのByrd,Gibbonsの曲や,これまたルネッサンス期の作曲家,DufayやGregor Aichingerの曲もやっている。

それでもって,この音楽を聞いていても,私が抱く感想は「実に静謐にして美しい。ささくれ立った心さえ落ち着かせるであろう音楽である。」でしかないのだから,私のボキャブラリーも実に限定的なものだと言いたくなる。しかし,そう思わざるをえない響きなのだ。

正直,ここまで行くと,これはもはやジャズではないでしょうと言いたくもなるが,ジャンルを超越するのがECMレーベルのECMたる所以であり,そもそも総帥Manfred Eicherにはジャンルなんて関係ないだろうと思いたくなるような,美的音源。こういうのがバーとかで流れていると,環境として気持ちよくなって酒量が増えること必定という意味では,これは良質なアンビエント・ミュージックだと言いたい。好きなんだよなぁ,こういうの。星★★★★☆。

Recorded in September, 1998

Personnel: Ketil Bjørnstad(p), David Darling(cello)

2022年12月21日 (水)

「展覧会の絵」ピアノ版:これがオリジナルだとは言え,原体験がオケやEL&Pだとどうもなぁという感じも...。

_ 「ムソルグスキー:展覧会の絵/ショスタコーヴィチ:24の前奏曲(抜粋)」Lazar Berman(Deutsche Grammophon)

主題の通りである。クラシックではラヴェル編曲のオーケストラ版,ロックではEL&Pのアダプテーションが私のこの曲に関しては原体験としてある。ムソルグスキーのオリジナルがピアノ曲だとはわかっていても,オケ版やロック版のぐわ~っとした感じがこの曲の基本となってしまった人間には,ピアノ・ヴァージョンがどうしても地味に思えてしまうのは致し方がないところだろう。

この曲はムソルグスキーのメロディのセンスを楽しめばいいのだという話もあるが,それでも身体がこの曲には劇的な「盛り上がり」を求めてしまうのだ。こればかりは仕方がないとは思いつつ,正当なクラシック・ファンからすれば,邪道と言われても仕方がない。しかし,この曲についてはピアノ版とオケ版のカップリングってのも結構あるから,「聞き比べ」という意味に加えて,やはりオケ版が好きな人が多いのではないかと思ってしまうが,どうなんだろう?

それでもって,私が保有しているピアノ版は多分このBerman盤だけのはずだが,それはDGにおけるBermanのレコーディングを集成したボックスの一枚としてである。そもそもそのボックスをどういうつもりで買ったのかも覚えていないが,価格的に手頃だったからというのが一番の理由に違いない(きっぱり)。

この音源,後半にはショスタコの「24のプレリュード」から10曲演奏されているが,どうせなら全曲聞いてみたかったと思うのは私だけではないかもなぁ。結構好きなんだよねぇ,この曲(笑)。

Recorded in April, 1977 and June, 1978

Personnel: Lazar Berman(p)

2022年12月20日 (火)

祝祭の終わり:FIFA ワールドカップ決勝戦を振り返る。もの凄い試合であった。感動した!

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4年に一度の祝祭,FIFA ワールドカップが終わった。アルゼンチンとフランスの決勝戦は,ワールドカップの決勝に相応しい死闘,あるいは激闘と呼んでよいものであった。

前半こそ完全なアルゼンチン・ペースで,フランスはなす術がない状態だったので,この試合はアルゼンチンの完勝で終わるのかと思ったのは大間違いであった。フランスの大胆なメンバー交代が機能した部分もあったが,おそらく前半のオーバー・ペースから明らかにアルゼンチンの運動量やパスの精度が落ちてきた後半35分のPKと,その直後のエムベパの凄いシュートで同点となって延長に突入。延長後半の序盤にメッシのゴールで勝ち越して,勝負あったと思ったら,土壇場でアルゼンチンがハンドでPKを献上,ついに3対3でPK戦に突入なんていう試合経過を,前半の試合運びを見ていて想像した人間がどれだけいただろうか。

これぞまさに死力を尽くした戦いであり,サッカーというスポーツの本当の醍醐味を感じさせてくれた試合と言いたい。この試合を観ていた人間はすべからく感動していたと思いたくなるような素晴らしい試合であった。そしてPK戦になって,2人はずしたフランスに対して,4人全員成功させたアルゼンチンのプレーヤーのメンタルの強さを見て,対クロアチアでPK戦の末敗れた日本代表とのレベルの違いを痛感していた私である。だって,決勝のPK戦である。もの凄いプレッシャーの中で決めるアルゼンチン代表,実に見事であった。

一方,フランスの3点はエムベパのハットトリックによるものだが,2本のPKはもちろん,フランスの2点目のエムバペのシュートはまさにビューティフル・ゴールと呼ぶべきものであり,惜しくも敗れたとは言え,エムベパがいる限り,フランスはサッカー強国としての地位を維持するに違いない。あのスピード,まさに化け物であった。多分,どう切り込むかは想像できていてもついていけないのだろうと思わせる。

いずれにしても,TV観戦は深夜に及び,私にとっては体力的にもきついものがあったが,こんな素晴らしい試合が見られるならば,多少のしんどさなんて大したことはないと思っていた私である。やはりワールドカップは祝祭である。4年後はどのような試合が見られるのか。今から楽しみにして待つことにしよう。

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2022年12月19日 (月)

これも久々に聴いた高橋悠治の「ゴルトベルク変奏曲」

_20221217-3 "J.S. Bach: Goldberg Variations" 高橋悠治(AVEX)

主題の通り,これを聴くのも実に久しぶりのことだ。そして感じるのは,この演奏は好き嫌いがわかれそうだなということである。冒頭の「アリア」からして,一筋縄でいかない感覚を呼び起こす。一言で言えば,妙に引っ掛かったような演奏なのだ。なるほどこういう表現もあるのかと思わせるが,変奏に入ると,もう少し真っ当な感じにはなるのだが,テンポ設定もへぇ~と思わせる部分もあれば,やはりフレージングも個性的と感じる部分も残存している。

私が聞いていて思ったのは,何となくチェンバロの演奏を思わせる部分があるかもなぁって感じだったが,それでもやはりこの演奏はかなり変わっているというのが正直なところである。

Gouldの演奏に慣れ過ぎてしまっているのか,はたまたSchiffの旧盤のような演奏を好むからなのか,私としては不思議さが勝って,今一つ没入感がなかったというのが正直なところだが,これも演奏者の個性だよなぁって改めて感じるアルバムであった。星★★★★。

Recorded on July 6-8, 2004

Personnel: 高橋悠治(p)

2022年12月18日 (日)

山下洋輔の「ピアニストを聴け!」ボックスから:"Invitation”

_20221217-2 "Invitation: Yosuke in the Gallery" 山下洋輔(Frasco)

Frascoレーベルの山下洋輔のアルバムを集成したボックス「ピアニストを聴け!」がリリースされたのが1998年のことなので,もやは四半世紀近く経過しているが,それだけの時間が過しながら,ちゃんと聞いていないアルバムもある。このアルバムもプレイバックの回数は決して多かったとは言えないが,久々に聴いてみた。

このアルバムにはライナーがついていないが,裏面にある当時のマネージャー,岩神六平のコメントによれば,当時の山下洋輔は,新たなレコーディング場所を探す過程で,フジTVギャラリーに行きついたようだ。その折,そこで画家,谷川晃一の個展が開催されていたということらしい。個展の会場にピアノを持ち込んでの録音なので,"Yosuke in the Gallery"という副題がついているって訳だ。アルバム・カヴァーは当然のことながら谷川晃一作である。

本作はピアノ・ソロだが,いつものような破壊的な音が繰り出されるというよりも,実に味わい深い演奏が展開されていると言うべきアルバムで,選曲も山下洋輔の"On the Road"と,中村誠一の「木喰」以外はよく知られたスタンダード,ジャズマン・オリジナルで固められている。当時の山下洋輔トリオのドシャメシャ感は快感をもたらすものだと思うが,こういう演奏を聞くと,山下洋輔はコンベンショナルな世界においても,実に優れた実力を示すことを実証したアルバムである。

いつもの山下洋輔を期待すると,この意外なまでの「まともさ」(笑)には面食らう人も出てきそうだが,これは実にいいアルバムだったと改めて思った次第。星★★★★★。これがボックス・セット以外ではCD化されていないというのは,何とも不思議である。中古でアナログを見つけたら即買いしても後悔はしないと断言してしまおう。

Recorded Live at フジTVギャラリー on February 22, 1979

Personnel: 山下洋輔(p) 

2022年12月17日 (土)

John Legendのゴージャスで楽しいホリデイ・アルバム。

_20221215 "A Legendary Christmas: Deluxe Edition" John Legend(Columbia)

最近はホリデイ・アルバムを聞くことも少なくなった私だが,先日,John Legendの新作を聞いて,そう言えばこのJohn Legendのホリデイ・アルバムって聞いてなかったなぁと思って,慌てて発注したもの。

本作はそもそも2018年にリリースされたものに,4曲追加したデラックス・エディションが翌年発表されたようで,私がゲットしたのは後者。お馴染みのホリデイ・ソングにオリジナルを加えた構成は実に楽しくも,ゴージャスな作りで,Stevie Wonder,Kelly Clarkson,そしてEsperanza Spaldingがゲストとして華を添える。オリジナルとは曲順も変わっているようだが,Donny Hathawayの"This Christmas"の追加なんかは嬉しいところ。ポップ,ソウル,ブルーズ,何でもござれみたいな感じになっているが,John Legendの歌のうまさがあってこそって感じである。

更に"My Favorite Things"も追加されているが,これは米国内で毎年のように,映画「サウンド・オブ・ミュージック」がホリデイ・シーズンにTV放映されていることを受けたものなのかなぁと思っていた。いずれにしても,ホリデイ・シーズン感たっぷりで,誰しもが楽しめるアルバム。やっぱりJohn Legendは信用できるわ。参加ミュージシャン多数なので,Personnelは省略。

2022年12月16日 (金)

Michael Landauのライブ盤:ギターがカッコいいのは相変わらずなんだが...。

Michael-landau-group-live "Live" Michael Landau Group(Tone Center)

セッション・ギタリストとしては超一流と言ってよいMichael Landauである。私が彼のプレイに初めて接したのは,1983年にBoz Scaggsのバックで来日した時だったが,そのソリッドでSteve Lukatherを彷彿とさせる演奏には驚いたのを鮮明に覚えている。その時はMichale McDonald,Joe Walshとのジョイント・ライブだったので,出番そのものは1時間ぐらいだったと思うが,彼のギターは実に印象深かった。

その後,Joni Mitchellのライブ・ヴィデオ"Refuge of the Road"で見ても,実にカッコいいギタリストだと思っていたが,"Tales from the Bulge"に始まるリーダー作は,どれもイマイチ感がつきまとうもので,やはりこの人はバックでこそ光るとずっと思っている私である。

とは言いながら,Michale Landauのリーダー作も何枚か保有する中で,久しぶりに聞いたのがこの2枚組ライブ盤だったのだが,2004年1月から2006年1月にかけて,Baked Potatoで収録された複数音源から構成されている。ここではブルーズ・ロック的なアプローチで,ギターを弾き倒しているのだが,ギターのフレージングそのものは無茶苦茶カッコいいと思えるのだが,よりスピーディな曲を何曲か入れてもよかったのではないかと思ってしまう。悪くはないんだけどねぇ...って感じがいつものようにつきまとうのがこの人のアルバムの難点。星★★★☆。

Recorded Live at the Baked Potato between January 7, 2004 and January 19, 2006

Personnel: Michael Landau(g, vo), Chuck Kavooras(slide-g), Scott Kinsey(key), Jimmy Johnson(b), Chris Roy(b), Ronalsd Bruner, Jr.(ds), Toss Panos(ds), Gary Novak(ds)

2022年12月15日 (木)

佳境を迎えるFIFAワールドカップ:アルゼンチン対クロアチアのセミ・ファイナルを振り返る。

Messi

日本代表は敗退したとは言え,FIFAワールドカップは今こそ佳境である。本当の国の威信を掛けた戦いはクォーター・ファイナル以降に始まると言ってもよい。その場に日本代表がいればなおよかったが,それでも本当のサッカーの醍醐味を味わえる瞬間がやって来ている。

それでもってセミ・ファイナルのアルゼンチン対クロアチアである。日本を破ったクロアチアだけに応援したくなるのが人情。しかもブラジルを撃破してのセミ・ファイナル進出は立派としか言えないだけに,Abemaの解説を担った本田圭佑も完全クロアチアのサポーター化していたのがおかしかった。

しかし,試合自体は3-0というスコア以上に,クロアチアの完敗だったと言ってよいだろう。いかんせんオフェンスが決定的なチャンスを生み出せないのではどうしようもなかった。アルゼンチンのディフェンスが無茶苦茶固いという感じでもないにもかかわらず,得点(を感じさせる)シーンを生み出せなかったというのが正直なところであった。コンディションもあったかもしれないが,アグレッシブさに欠けたというのは誰が見ても明らかだろう。それでもクロアチアは3位決定戦できっと頑張るだろうと思う。その時はやっぱりクロアチアを応援してしまうだろうなぁ。

そして,この試合を見ていて感じたのがメッシのボール・キープ力。とにかくボールを取られないのが凄いと思わせるに十分。決勝はフランスが相手になるのではないかと思うが,今回はメッシに勝たせてやりたいと思ってしまうような今回のワールドカップである。

2022年12月14日 (水)

Supremes:今日は懐メロ(笑)なんだが,結構不思議なコンピレーション。

_20221212-2 "Classic Diana Ross and the Supremes" The Supremes(Motown)

懐メロである。私が保有しているSupremesのCDはこれだけなのだが,これが結構曲者なのだ。ベスト盤だけ持ってりゃいいやっていうなら,これから買うか?と言われそうなセレクションなのだ。彼女たちの超有名曲と言うより,裏ベスト,あるいは見逃されがちなカヴァー曲やあまり売れなかった曲を中心に選ばれているって感じなのだ。例外は「恋はあせらず("You Can't Hurry Love")」ぐらいだし,Diana Ross脱退前の大ヒット,「またいつの日か("Someday We'll Be Together")」だってもとはカヴァー曲なのだから,これだけ聞いてSupremesを聞いた気になってはいけないとしても,それでも十分魅力的な歌の数々である。

このアルバム,多分中古でただ同然みたいな値段で購入したと思うが,今でもジャケットを変えて売られているというのが凄い。でもあくまでもこれは「裏ベスト」的な位置づけとして考えるべきなので,購入を考える際には注意が必要だろう。しかし,彼女たちの歌で,"Unchained Melody"とか"(What a) Wonderful World"を聞けるということにはそれなりの価値はあると思っている。アルバムの最後は"With a Song in My Heart"だしなぁ。Rogers/Hartがこの曲を書いたのは1929年だってことを感じさせない実にいい曲だ。

廉価盤ゆえ,全くデータとかはわからないのだが,聞き流していると心地よく時間は経過することは間違いない。和むよねぇ(笑)。星★★★★。

2022年12月13日 (火)

ジャズは気合いだ!(笑)と思わせる森山威男クァルテットのライブ。熱い!

_20221212 "Flush Up" 森山威男(テイチク)

山下洋輔トリオを脱退した森山威男が,自分のグループでレコーディングしたライブ音源である。このアルバムが録音された1977年と言えば,クロスオーバー/フュージョンの全盛期である。そんな時期に,日本においてはこれほど熱いジャズが演奏されていたということに,感動すら覚えてしまう。

森山威男はいまだに現役でドラムスを叩いているが,山下トリオでの演奏の時から,そのパワーは全く変わることがないと言ってよい。しかし,本作は山下トリオ脱退後の暫しの沈黙を破っての演奏だけに,気合の入り方が違うって感じである。冒頭のタイトル・トラックは板橋文夫のオリジナルであるが,"Impressions"を焼き直せばこうなるという曲だし,2曲目は"Softly"であるから,いくらでも熱くしようと思えば熱くできるってところだろう。そして3曲目の"Yellow Bear"まで,クァルテットの熱量は全く落ちることがない。

逆に言えば,一本調子だと言われればその通りかもしれないが,このアルバムはその熱量を感じ,音を浴びることの方が圧倒的に重要だと思わせる。だから,このアルバムは音量を上げて聞かなければならないことは言うまでもない。

実に素晴らしく,森山威男の凄さを感じさせるに十分のアルバム。メンバーの実力も十分で日本ジャズのレベルの高さが実証されている。これでもう少し音がよければと思うが,それも時代であると考えよう。星★★★★☆。それにしても凄いわ。

Recorded Live at 新宿Pit Inn on March 1 & 2,1977

Personnel: 森山威男(ds), 高橋知己(ts, ss), 板橋文夫(p), 望月英明(b)

2022年12月12日 (月)

富樫雅彦の”Bura・Bura”:いいメンツにして,なかなかいいアルバムである。

_20221210-2 "Bura・Bura" 富樫雅彦(VideoArts)

これは富樫雅彦の1986年に行われた音楽生活30周年記念のライブの模様を収めたものだが,それに相応しいメンツが揃っていると言ってよいだろう。だって,Steve LacyにDon Cherry,更にはDave Hollandである。これは結構凄いことだ。

このブログに富樫雅彦は何度か登場しているが,基本的に富樫の音楽は聞き手にとってはハードルが結構高いというのが実感である。このブログに直近で記事にした富樫のアルバムは"Speed And Space"だが,正調フリー・ジャズと言ってよい作品だったが,刺激に富んだ傑作だったと思う。しかし,富樫のアルバムは思索的な部分も多分にある場合が多く,そういう音楽には私も頭を抱えてしまうこともあるのだ。特にパーカッション・ソロとかは厳しいよねぇ(苦笑)。

しかし,このアルバムはメンツにも恵まれてというところもあるが,フリー・ジャズの範疇には入っても,ジャズ的な表現が十分に感じられるので,実はそれほどハードルは高くないと感じる。確かに万人向けの音楽とは言えないし,メンツだけ見れば,ついつい「構えてしまう」ところはあるものの,音楽的な響きにはそんなに抵抗感はないだろう。

まぁ,ここでの音楽は激しさというよりも,「間」を重視している部分もあると思えるので,その辺りで好き嫌いは分かれる部分もあるかもしれない。それでもやはりこのメンツならではの音に浸ればよいというのが実感だ。この演奏をライブで聞いていたらどうだったかなぁ(当時の私ならば,やはり???だったかも...)なんてことを考えるのもありなので,そうした気分で今から36年前に思いを馳せるのも一興だろう。星★★★★。

それにしても,このアルバム,中古市場でとんでもない値段がついているなぁ...。

Recorded Live at 郵便貯金会館 on May 14, 1986

Personnel: 富樫雅彦(perc), Steve Lacy(ss),Don Cherry(tp, p, vo), Dave Holland(b)

2022年12月11日 (日)

改めてRadu Lupuを偲んで。

Lupu"Schubert: Impromptus" Radu Lupu(Decca)

今年の4月にRadu Lupuがこの世を去ったが,私にシューベルトのピアノ音楽の魅力に気づかせてくれたのは,Radu Lupuその人だったと言ってよい。正直言って,私は極めて偏ったシューベルトの音楽の聴き方をしていて,Lupuのピアノ演奏以外では,Peter Schreierのギター伴奏版「美しき水車小屋の娘」を偏愛するのみというのが実態である。それ以外は「グレイト」があるぐらいで,ほとんどCDも保有していないはずだ。だからお前にシューベルトの何がわかる?と言われれば,返す言葉はないが,それでもLupuの弾くシューベルトには何とも言えない魅力を感じるし,Lupuを聴いていなければ,ほかのピアニスト(と言っても内田光子だけだが...)のシューベルト演奏を聞きに行こうなんて思わなかったはずだ。

Lupuのシューベルトを聞いてから,ほかのピアニストのシューベルトも聞いたことはあったのだが,あまりピンと来なかったというのが実態で,今,手許に残っているのはPolliniぐらいである。しかし,それを聞いてもPolliniはシューベルト弾きじゃないよなぁとしか思っていない。Lupuの持つリリシズムに満ちた演奏こそが,私にとってのシューベルトのピアノ音楽なのだ(きっぱり)。

_20221210 改めて,今回即興曲集を聞いてみて,私はLupuのタッチに魅力を感じているのではないかと思えた。音そのものが私の感覚にフィットするというところなのだろうと思えた。尚,私が保有しているCDのジャケは右のものだが,オリジナルもこっちもどっちもどっちって感じだな(笑)。

いずれにしても,Radu Lupuは素晴らしいシューベルト弾きであったと思わせるに十分。つくづく惜しい人を亡くした。

R.I.P.

2022年12月10日 (土)

Joachim Kühnのトリオのアルバムではやっぱりこれが一番好きだなぁ。

_20221209 "Live: Théâtre de la Ville, Paris, 1989" Joachim Kühn / Daniel Humair / J.-F. Jenny-Clark (CMP)

この3人によるアルバムを結構買い集めるようになった契機となったアルバム。多分,これは私がNYCにいた頃に購入したはずであるが,この硬派な響きが非常に魅力的に感じられたのも懐かしい。ややフリーっぽくなったりする瞬間もあり,基本は硬派なのだが,"Clever Feelings"のような曲はリリシズムも感じられて,単なるゴリゴリ硬派って感じではないところも実に魅力的なのだ。唯一のスタンダード,"Yesterdays"だって見事なものだ。

私が特にはまってしまったのは2曲目"Last Tango in Paris"だったのだが,全編を通じて硬軟バランスよく,クォリティの高い演奏を聞かされてしまっては,追い掛けてくなるのも当然と言うべきトリオであった。

スリリングな展開といい,三者の一体感と言い,私としてはケチのつけようがない演奏。これでもう少し音がよければって感じだが,演奏としては星★★★★★。

Recorded Live at Théâtre De La Ville, Paris, on November 27, 1989

Personnel: Joachim Kühn(p), Daniel Humair(ds), J.-F. Jenny-Clark(b)

2022年12月 9日 (金)

Roberta FlackがALSで闘病中と聞いて,彼女のアルバムを改めて聴く。

_20221208"Oasis" Roberta Flack(Atlantic)

Roberta FlackがALSで闘病中であることが明らかになったのは1か月ほど前のことだったと思う。難病であるALSの罹患,そして85歳という年齢を考えれば,もはや歌うことがかなわないという広報担当者の弁に間違いはなかろう。彼女の活動のピークは1970年代だと思うが,長きに渡って活躍をした名歌手であることに疑いはない。そんな思いもあって,久しぶりに取り出したのがこのアルバムである。

このアルバムが出たのが1988年のことであるが,私が痺れてしまったのが冒頭のタイトル・トラックであった。Marcus Millerがプロデュースしたこの曲はポップな感覚もあり,なかなかの佳曲だと思うが,私に強い印象を与えたのはDavid Sanbornのアルト・サックスのソロであった。私がこのアルバムをプレイバックするのは,そのSanbornのソロを聞くためのようになってしまっていたのは事実だ。改めてこのアルバムを聞いてみても,その感覚に変わりはない。

だが,今回このアルバムを聞いていて思ったのは,なるほど80年代後半っぽい音だったなぁということだ。時代というか,バッキングの音がかなり分厚い。それは重いという訳でなく,重層的に積み上げられた感じがして,決してシンプルなものではない。Roberta Flackのような歌手にこうしたサウンドがフィットしていたのかと考えれば,やっぱりちょっと違うのではないかなぁと思えてしまった。

それでもそのサウンドをつかさどっているのは相当に豪華な面々で,2曲目の"All Caught up in Love"のエグゼクティブ・プロデューサーはQuincy Jonesである。まぁ,この当時って複数のプロデューサーによってアルバムが制作されるってのはよくあったと思うが,このアルバムもMarcus Millerはじめ,Jerry Hey,Michael Omartian,そして懐かしやAndy Goldmarkがプロデューサーとしてクレジットされている。プロデューサーがそんな感じであるから参加ミュージシャンも多岐に渡るが,やっぱり私にとっては冒頭のDavid Sanbornになってしまうかなぁって感じである。

やはり彼女の歌を聞くなら,もう少しシンプルなバッキングの方がいいかなと思ってしまった次第。星★★★☆。闘病生活に思いを馳せつつ,結構渋い評価になってしまった...。

Personnel: Roberta Flack(vo, p), Michael Omartian(key, ds), Randy Kerber(key, synth), Jason Miles(key, prog), John Barnes(key, prog), Greg Phillinganes(key, prog), Pete Robinson(key, prog), Andy Goldmark(key, prog), Jeff Lorber(key, prog), Mike Boddiker(synth), Barry Miles(el-p, synth), Dan Huff(g), Mike Landau(g), Paul Jackson, Jr.(g), Earl Klugh(g), Chieli Minucci(g), Marcus Miller(b, key, vo), Neil Stubenhaus(b), Nathan East(perc), Buddy Williams(ds), Harvey Mason(ds), Steve Ferrone(ds), Jimmy Bralower(ds), Steve Gadd(ds), Steve Thornton(perc), Paulinho da Costa(perc), Michael Fisher(perc), Don Alias(perc), David Sanborn(as), Larry Williams(sax, key, synth), Dan Higgins(sax), Roger Viam(ts), Jerry Hey(tp), Jeff Bova(prog), Lani Groves(vo), Chude Mondlane(vo), Brenda White-King(vo), Dennis Collins(vo), Mark Stephens(vo), Phil Perry(vo), Simon Climie(vo), Tawatha Agee(vo), Yvonne Lewis(vo), Lori-Ann Velez(vo), Gabrielle Goodman(vo), George Duke(vo), Bob Henley(vo)

2022年12月 8日 (木)

Brad Mehldauの新譜はもはやオフィシャル・ブートレッグ?(笑)

Your_mother_should_know"Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays the Beatles" Brad Mehldau(Nonesuch)

Nonesuchレーベルから告知が出ているが,Brad Mehldauの新作が延期された来日に合わせるように,来年の2月10日にリリース予定となっている。タイトルは文字通り,Brad MehldauによるBeatles曲集である(1曲だけDavid Bowieが"Hunky Dory"で発表した"Life on Mars?"が最後に入っているが...)。これまでもBrad MehldauはBeatlesの曲を演奏することはあったから,このアルバム自体は予想がつかなかった訳ではないので,これはこれで喜ぶべきだ。

だが,Nonesuchからの告知を見ると,このアルバムは2020年9月にPhilharmonie de Parisで録音とある。この時,9月19日と20日の2日間に渡ってBrad Mehldauは同地で演奏している。しかもその時の様子は既にブートレッグで聞くことができるのだ(それに関する記事はこちら)。既にレコーディングから1か月も経たないうちに私はこの時の演奏を聞いていた訳だが,私が聞いているのは1日目がオーディエンス録音,2日目がサウンドボード。私は見ていないが,2日目の模様はプロショットのDVDとしてブートも売られているはずだ。

そうなるとこれはもはやオフィシャル・ブートレッグの趣である。当然,公式盤であるから音は更によくなっているものと思うので,私としては買うことは言うまでもないのだが,若干の何だかなぁ~って感覚は避けられないところ。因みに私が保有する2日目のサウンドボード版のブートは,この公式盤以上の曲が収録されている。ご参考ではあるが,次のような曲目である。ご覧頂ければわかる通り,Beatles,David Bowieに加え,Paul McCartneyのソロ,Zombies,Beach Boys,Billy Joelにジャズ・スタンダードと,この時の演奏が相当にポップ畑を意識した音源であることは間違いない。

Disc  1:

  1. I Am the Walrus
  2. Your Mother Should Know
  3. I Saw Her Standing There
  4. For No One
  5. Baby’s in Black
  6. She Said She Said
  7. Here There And Everywhere
  8. If I Needed Someone
  9. Maxwell's Silver Hammer

Disc 2:

  1. Goleden Slumber
  2. Mabe I'm Amazed
  3. A Rose for Emily
  4. God Only Knows
  5. Life on Mars?
  6. New York State of Mind
  7. Strike up the Band
  8. Smoke Gets in Your Eyes
  9. Blackbird
  10. The Nearness of You

1日目にはDisc 2の7,8,10曲目に代わって,"And I Love Her","Come Rain or Come Shine","Brownie Speaks","Pannonica"を演奏している。

私はこの音源を既に聞いてしまっているので,内容は保証できるのだが,どうせならスタジオで再録して欲しかったなぁってのも正直なところ。しかし,公式盤コンプリートを目指す立場としては買わない訳にはいかないのだが(苦笑)。どういう音になっているかは2月のリリースを待つことにしよう。

2022年12月 7日 (水)

FIFA ワールドカップ: クロアチア戦を振り返る。惜敗であった。

Photo_20221207082001

FIFA ワールドカップにおいて,E組を首位で通過し,決勝トーナメントに進んだ日本代表と,クロアチアの戦いはほぼ互角だったと言ってよいと思う。日本が前田のゴールで1点先制した時は,追加点も期待できるかと思えたが,後半に追いつかれ,延長戦でも決着がつかず,PK戦で散った。

私は正直言って,延長戦で決着がつかず,PK戦に持ち込まれれば,日本代表は厳しいと思っていた。PKというのは極めてメンタルの強さが求められる中で,日本人の勝負弱さというものが露骨に出てしまう可能性があると思っていたからである。残念ながら私の予想は当たってしまったが,4人蹴って3人失敗では勝ち目がない。

しかし,そこに至る敗因は,クロアチアに三笘が徹底マークされて,動きを封じられたことだろう。今の日本代表はそうしたシチュエーションを感じ取り,例えば伊東純也をもっと使うというオプションを使わなかった(使えなかった)ことにより,得点力が落ちてしまったことは痛かった。この辺りの修正能力を高めていかないと,世界の強豪と伍して戦うことは難しいのではないかと感じた。

更に,やはりPK力を高めていくことは,勝負が厳しくなればなるほど必要なはずだ。メンタルの強度を高めるためには,練習と成功体験を積み重ねる以外ないと思えたPK戦であった。一番手に立候補した南野には悪いが,私は南野が出てきた段階で失敗懸念を抱いていた。現在の彼の状態では成功する確率が高いと思えなかったからだ。それが二番手以降の悪循環につながっていったとしか思えない。

とは言え,今回の日本代表の戦いは見事だったと思えるし,今回の敗退の経験は,次なるステップアップへの糧となることは間違いない。反省点はないとは言えないが,下を向く必要はない。多くの日本国民が今回の活躍に胸躍らせたことは間違いないのだから,私としてはありがとうと言いたい。

4年後に向けて,新生日本代表を応援していくことにしよう。

2022年12月 6日 (火)

Netflixで「モスラ」を観た。

Photo_20221126124601 「モスラ」(’61,東宝)

監督:本多猪四郎

出演:フランキー堺,小泉博,ザ・ピーナッツ,香川京子,ジェリー伊藤,上原謙

Netflixでこの映画が見られることを知って,ついつい見てしまった。この映画自体は,何度かTVで見たことがあるようにも思えるのだが,それもはるか昔のことなので,細部については記憶から飛んでいる部分が多かった。しかし,東京タワーで繭を作るシーンと,ザ・ピーナッツの出演シーンは間違いなく記憶に残っていた。

当時の円谷英二が関与した東宝の特撮映画については,以前このブログにも「妖星ゴラス」を取り上げた時に書いているが,とにかくミニチュアで何でも作ってしまうことには驚かされる。それはこの映画でも同様で,本当にこの労力を惜しまない対応には頭が下がるって感じである。現代のようにCG万能の時代においては,特撮もちゃっちいと言えばその通りだが,さまざまな技法を駆使して,何とかリアリティを持たせようとしているところに,往時の大変さを感じざるをえない。だからこそ,そういうところに価値を見出すべきだとも思える。

こういう映画に小難しいことを言っても仕方がないが,シナリオはかなり雑。最後にニューヨークを模したようなニューカーク・シティなる架空の街並みがモスラに蹂躙されるのだが,そこは全く記憶になかった私である。しかし,ジェリー伊藤演じるネルソンのような,人間の悪役が出てくるというのは新機軸であったろうし,何よりもザ・ピーナッツを担ぎ出して,あの「モスラの歌」を歌わせただけでも価値がある。

私が生まれた年に作られたこの映画を改めて見て,当時の東京の街並みってのはあんな感じだったのねぇなんて思いをはせるだけでも,見ていて面白かった。星★★★☆。

2022年12月 5日 (月)

後付けでAubrey Johnsonのデビュー・アルバムを聞いた。

_20221130 "Unraveled" Aubrey Johnson(Outside in Music)

先日のRandy Ingramとのデュオ・ライブも楽しく,その後リリースされたデュオ・アルバムも大いに楽しめたAubrey Johnsonであるが,これは彼女のデビュー・アルバム。エグゼクティブ・プロデューサーに叔父のLyle Mays,プロデュースにSteve RodbyとAubrey Johnson本人,そして,In-studio ProduceとしてRandy Ingramがクレジットされている。Randy Ingramの役割がよくわからないところだが,演奏に関してはかなりRandy Ingramの意向が反映されていると考えるのが妥当ではないか。

冒頭のタイトル・トラックから,コンテンポラリーな感覚が強く,一聴して私はGretchen Parlatoを思い出していた。選曲もAnnie Lenoxも歌った"No More 'I Love You's"をカヴァーしたり,ブラジル音楽を入れたりと,王道のジャズ・ヴォーカルって感じではない。しかし,コンパクトで結構ユニークな編成ながら,適切な伴奏陣の好演もあって,なかなか楽しめるアルバムであった。最後に収められたEgberto Gismontiの"Karate"はもともとインスト曲だと書かれているが,それだけにスキャットで通すというのも面白かった。星★★★★。

Aubrey-johnson-unraveled このアルバム,米国盤に1曲,ボートラを入れるというのもありながら,曲順も大幅に変えている。これが誰の判断なのかはわからないが,違和感はない。この変更をAubrey Johnson本人が認識,認可しているかはわからないが,一度,並べ替えて聞いてみると,印象が違うかもしれない。ついでに,ジャケットも右の米国盤と異なるのは,確かに米盤のポートレートは...って私も感じてしまうものなので,まぁ日本でリリースすることを考えれば,笑顔が魅力的な国内盤のジャケで正解だよなって思うのはきっと私だけではあるまい(笑)。

Recorded on May 29, 30 and August 4, 2017

Personnel: Aubrey Johnson(vo), Chris Ziemba(p), Matt Aronoff(b), Jeremy Noller(ds), Michael Sachs(b-cl, as), 大村朋子(vln),Vitor Gonçalves(accor)

2022年12月 4日 (日)

まさかChristine McVieの追悼記事になってしまうとは...:Fleetwood Macのオルタネイト・テイク集成ボックス。

Alternate-fleetwood-mac "The Alternate Collection" Fleetwood Mac(Reprise/Warner Brothers)

まさかこの記事がChristine McVieの追悼記事になってしまうとは思わなかった。それぐらい突然の訃報だった。彼女の訃報に接する前に本作に関する記事は書いていたのだが,急遽書き直しとなった。

これは,今年のRSD Black Fridayでリリースされたボックス・セットである。このAlternate音源集は,Record Store Dayの度に,Fleetwood Macの最盛期のアルバムを小出しにしてきたものを,今回CD6枚(アナログは8枚組)に集成したもの。そう言えば,私もアナログの"Alternate Tusk"は保有していたのであった。まさかその購入直後に訃報に接することになるとは夢想だにしなった。

私はFleetwood Macの熱烈なファンとは言えないが,アルバムはそこそこ保有しているし,このブログに最後に書いたのは69年から74年のアルバムを集めたボックスについてであった(記事はこちら)。そこにも書いているが私がFleetwood Macを聞くのはChristine McVieが聞きたいからにほかならない。今回のボックスを買ってしまったのはそれが理由と言っても過言ではない。だからこそ,今回の訃報に対するショックは大きい。

確かに"Alternate XXX"は別テイクやデモ音源を集めたものに過ぎないから,本質的にはオリジナルのアルバムを聞いていればいいのは間違いないのだ。それでも買ってしまうのは,無駄遣いと言われればその通りであり,レコード会社の策略にまんまと乗せられているのだが,ストリーミング全盛の時代に,フィジカルな媒体を残すことに貢献している訳だが,そこに今回はChristine McVieを偲ぶという意味合いが加わってしまったのは実に悲しい。

スタジオ録音に関しては,完成前の不完全テイク(ほぼ完成していると言っていいものもある)や,完成に向けてクォリティを高めていく様子を聞けるのはそれなりに価値はあるとしても,多くの人には勧めにくいというのが正直なところ。また,既に発売されているExpandedあるいはDeluxe Editionで公開されているものと変わらないから,そっちを持っている人には用なしだろう。

Christine McVieの訃報のショックが大きく,彼女のアルバムや,Fleetwood Macのオリジナル音源を聞くのに時間を取られてしまい,まだボックスのすべてを聞いた訳ではないのだが,私としては"Alternate Live"を面白く聞いた。オリジナルの"Live"については,私はあまり評価していない(そちらに関する記事はこちら)のだが,この"Alternate Live"はオリジナルと曲のダブりがないというところが魅力なのだ。こういうプロダクションはいいと思うし,単体で買うなら,私はこの"Alternate Live"は推奨してもいいだろう。まぁ,そうは言ってもオリジナル同様,粗っぽい部分はあることは否定しがたいが,これなら許せる。これはオリジナル"Live"のデラックス・ヴァージョンのCD3と同じと思われるので,このボックスを買わなくても入手は可能だから,ご関心のある方はそちらをどうぞってところか。

ということで,Christine McVieを偲びながら,暇を見つけて,ゆっくり聞き進めることにしたいと思う。

改めてR.I.P.

Personnel: Stevie Nicks(vo), Lindsay Buckingham(g, vo), Christine McVie(key, vo), John McVie(b), Mick Fleetwood(ds)

2022年12月 3日 (土)

FIFA ワールドカップ: スペイン戦を振り返る。祝!グループ・ステージ1位通過。

Photo_20221203135101

日本代表には申し訳ないが,前半11分に完全に崩されてスペインに先制された時には意気消沈した私であった。しかし,前半のスペインの猛攻を1点でしのいだ段階で,ドイツ戦がデジャヴとして蘇ってきたところへ,後半3分の堂安の強烈なミドルは実に見事であった。まさに目が覚めるような一撃とはあれのことだ。今大会のベスト・ゴールの一つになることは間違いないシュートであった。

同点になってスペインが浮き足だったところに,後半6分,三笘が粘って折り返したところを,田中が押し込んで勝ち越すという,絵に描いたような逆転劇に興奮しない人間はいなかっただろう。

VARがなければ,ゴール・ラインを割ったと判定されても仕方のなかったボールを折り返した三笘の働きは賞賛に値する。そして折り返しを信じて,ゴール前に突っ込んで行った田中も立派で,諦めないことの重要性が明らかになった瞬間であった。あれはそれでもゴール・ラインを割っているというのもわからないではない。横から見ていれば確かに出ているように見える。しかし,下の写真のように,上から見れば,明らかにボールはゴール・ラインに乗っていて,「三笘の1ミリ」と後世までの語り草になること必定だろう。

これに文句を言うなら,VARに文句は言えないし,VARに依存したくなければ,アンパイアのジャッジに文句を言うことは一切できないはずだ。今回のジャッジについては,少なくともスペインは文句は言っていないのだから,ドイツがどうこう言うのはおかしいのだ。 VARのせいでアディショナル・タイムが以上に長くなるなどの批判もあるようだが,ジャッジの公正性,正確性を取るか,スピーディな展開を取るかの話で,どちらがいいとは言い切れない。しかし,ルールはルールである。ルールにケチをつけるのは負け犬の遠吠えだ。

得点シーン以外の日本代表はほぼ防戦一方だったと言ってもよいが,完全に崩されたのは失点時ぐらいで,DFは集中していたと思うし,コスタリカ戦のような凡ミスもなかった。特に後半,鎌田に代わって入った冨安によって,守備の安定感が増したのは,またもナイスな森保采配だった。そして遠藤の対人能力が最後の局面では効いたのもよかった。

ボール支配率だけでは勝負は決まらないことを改めて実証した日本代表は,本当にハラハラさせてくれたが,いいものを見せてもらった。16強進出おめでとう。次戦のクロアチア戦もベストを尽くして勝利して欲しい。

1_20221203134001

2022年12月 2日 (金)

追悼,Christine McVie。

Christine-mcvie

あまりにも急な訃報であった。Fleetwood Macでも長きに渡って活躍したChristine McVieが亡くなったと知って,衝撃を受けた私である。私はFleetwood Macの大ファンって訳でもないのだが,時代を彩った彼らの活躍の中で,私とFleetwood Macを結び付けていたのはChristine McVieの存在だったと言ってよい。彼女がいなければ,アルバムも買っていたかどうか...。

今年だけでも私はChristine McVieのソロのベスト・アルバムや,Fleetwood Macの69-74年のボックスを記事にしているし,つい先日,RSD Black Fridayで6枚組のFleetwood Macの"The Alternate Collection"を入手したばかりだった。やはり好きなミュージシャンだったのである。

"The Alternate Collection"については,ストック記事として既に文章化していたのだが,この訃報を受けて,新たに書き直す必要が生じた。そちらは改めてアップするとして,彼女の訃報は本当に残念なニュースである。

しかし,考えてみれば,Christine McVieも既に79歳だったということが時の流れを示しているが,それでも彼女が生み出した音楽は私にとって,不変の魅力を放ち続けるだろう。訃報を受けて,私が最初にプレイバックしたのは,84年のセルフ・タイトルのソロ・アルバム。今聞いても全然古びていないし,いい曲が揃っていた。惜しい人をまた一人失った。

R.I.P.

2022年12月 1日 (木)

さらば,Twitter。

思うところあって,私は11月末を以て,Twitterのアカウントを削除することにした。このブログをお読み頂いている読者の皆さんには,私がかなりリベラルな思考を有していることはお分かり頂いていると思うが,Elon Muskによる買収によって,Twitterは私にとって,全く無意味かつ好ましからざるSNSに堕したことが決定的な要因である。

これまでもブログの記事アップを連動させるぐらいで,大して使っていなかったTwitterなので,アカウントを閉鎖しようが私にとっては何の問題もないのだが,はっきり言ってElon Muskの傍若無人ぶりには愛想が尽きたというのが正直なところである。こんなSNSを使って,Elon Muskをもうけさせるぐらいなら,せめてアカウントを削除して,抗議の意思を示すことにしたいのだ。所詮,私のアカウントなんてのはフォロワーの数も限られているから,Elon Muskにとっては痛くもかゆくもないだろうが,「塵も積もれば山となる」である。440億ドルも払って買収した案件が失敗だったと思い知ればいいのだ。

ということで,さらば,Twitter。R.I.P.

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