日野元彦の未発表音源:バンド全体も強烈だが,中でも渡辺香津美が凄い。
"Flying Clouds" 日野元彦カルテット+2(Days of Delight)
Three Blind Miceレーベルが録音しておきながら,ライナーに書かれているような様々な理由でお蔵入りしていた音源が,46年という時を経てリリースされたもの。あの名盤「流氷」から3か月後の演奏で,ほぼメンツも同じということからも,期待が高まる音源であった。そして,期待は裏切られることはなかった。
この日,日野元彦は時差ボケの体調不良だったらしいが,ここでの音楽を聞いている限り,そうした感じは全然感じられないぐらいパワフルである。それはゲスト参加したパーカッションの今村祐司のサポートゆえってところもあるが,全編に渡って「流氷」同様の熱いジャズを聞かせてくれる。
とりわけ私が強烈だと思ったのが,渡辺香津美のソロ。若い頃から凄かったんだねぇというのがよくわかる,目くるめくようなフレージングにはまいったとしか言いようがない。あまりに渡辺香津美のソロに耳が行きすぎて,2テナーの音にまで注意が向かなかったではないか(爆)。
いずれにしても,70年代の日本のジャズがいかに強力だったかを改めて痛感させられる痛快ライブ音源。それにしても古い音源をここまで復活させるとは現代のデジタル技術,恐るべし。星★★★★☆。
Recorded Live at ヤマハ・ホール on May 27, 1976
Personnel: 日野元彦(ds), 山口真文(ts), 清水靖晃(ts), 渡辺香津美(g), 井野信義(b)
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