FIFA ワールドカップ:ドイツ戦を振り返る

日本中が歓喜に湧いた瞬間だったと言えよう。前日にサウジアラビアがアルゼンチンを撃破したこともあり,私は同じことを日本代表も起こせ!と思っていた(実際FBにはそう書き込んでいる)が,本当に勝ってしまった。これは日本サッカー界の歴史に残る大きな一勝であることは間違いない。本当ならば試合直後にビビッドな感覚でこの記事を書くべきだったが,一日遅れになってしまった。しかし,むしろ冷静に振り返るにはこれぐらいの方がいいかもしれない。
試合の序盤は前田の惜しいオフサイドもあって,そこそこ行けるではないかと思わせていた日本代表だが,前半は完全に守勢に回り,いいところがなかったと言ってもよい。本来,日本代表がやりたいハイプレスもビルドアップもできていない状態では,ドイツ代表にいいようにやられても仕方がないところだが,それにしても,前線での寄せには積極性が感じられず,ほぼ日本陣内で試合をされていたのでは苦戦するのが当然だ。むしろ,PKによる1失点でおさえられたのはよかったと言うべきかもしれない。サッカーでは1点先制されたチームが,逆転へのモチベーションが高まるのはよくある話である。前日のサウジアラビア~アルゼンチン戦もPKで1点先制されたサウジが2対1で逆転勝ちをしている。前半の戦い方のままだったら,そうもいかなかっただろうが,後半に入ってのシステム変更によって,日本代表は本来の姿を示し始めたと言ってよい。
後半に入って,久保を引っ込め,冨安を投入して3バック体制にし,更に長友に代えて三苫,前田に代えて浅野を投入,更には田中に代えて堂安,そして酒井に代えて南野を投入と,モードをオフェンシブに変更したのだが,三苫投入直後は,三苫がディフェンスに走らされたり,左でフリーになっているにもかかわらず,ボールが配給されない等,何のための交代かわからんと言いたくなるような瞬間もあった。しかし,ハイプレスへの意識は高まってきたので,攻撃にもリズムが出てきた。ドイツのような強豪には,リスクを覚悟した上でのオフェンス・シフトが必要ということだ。
堂安の同点ゴールも,起点は三苫の切り込みからであったことを考えれば,攻撃の起点としての三苫,あるいは伊東の働きが今の日本代表においては重要だというのは明らかだと思う。また,浅野の逆転ゴールは手薄なドイツの左サイドを突いたもので,戦前から狙い目と考えられていたところからの得点だった。いずれにしても,あの角度からゴールを決めた浅野は立派だったが,強豪と言えでも穴はあるってことの証だ。
それにしても,アディショナル・タイムの7分が無茶苦茶長く感じられたのはきっと私だけではないだろうなぁ。前半同様ひやひやしっぱなしで心臓に悪かったわ。後半での3バックへの変更,終盤での鎌田のボランチへのシフト等,強化試合のカナダ戦で試したことがことごとくうまく行ったのは采配の勝利とも言えるが,両刃の剣であることは間違いないところ。しかし,こうなったら次戦のコスタリカ戦にも勝って,グループ・リーグ突破の確度を高めよう!

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